水槽の苔対策

 ここでは誰でも一度は悩む苔や藻類の対策について考える。以下は水草水槽を前提としている。

 

一般論

 コケやすさはコケの原因となる栄養分(主に窒素)の収支で説明できる。たとえば次のように表せる。

 K=Fm + Fe + Fp – Cf – Pa – Pr

 K=栄養分の量(コケやすさ)  Fm=給餌量  Fe=排泄物の量  Fp=肥料の量  Cf=濾過能力(脱窒)  Pa=水草による吸収量  Pr=換水などによる物理的除去

 Fm 、 Fe 、 Fp らは水が富栄養化する要因=「プラス要因」、Cf 、 Pa 、 Pr らは、貧栄養化する要因=「マイナス要因」だ。コケやすさは、このような多くのプラス要因とマイナス要因との綱引きによって決まる。すなわち、合計値Kがプラスであれば水槽はコケやすく、ゼロ以下であればコケにくい。

 コケ問題が発生している水槽では慢性的に合計値Kがプラスになっていると推測できる。
 世間では、換水頻度を増やし、エビや貝などを導入する一方で、魚には毎日餌をたっぷり与ているケースを見かける。この行動は矛盾しているので、コケが減らないのは当然の結果になる。餌は魚が食べても食べなくても、最終的にはコケの栄養になることを忘れないで欲しい。

 コケ対策では、供給源としてのプラス要因を減らすことが最も肝要になる。プラス要因の中でも最も重要なのは、 Fm (給餌量)になる。 Fe (排泄物)も結局は Fm が原料であり、肥料 Fp がゼロであれば、供給源は Fm にほぼ集約される。

 プラス要因をすべて水草が吸収し、コケに回さない状態がベストと考えられる。これは、魚の数、水草の量、エビや貝などのバランスコントロールによって実現される。

 

魚の数と水草の量のバランスについて

 魚や給餌に起因する栄養分のほとんどを水草に吸収させてしまえば、コケは発生しない。このバランスの目安は、経験上小型カラシン20匹に対し、水草は、60cm水槽底面に密生となる。60cm水槽に魚が20匹いて、少量の水草が散在している状態ではどうしてもコケていく。

 最初から水槽に水草を密生させることはできない。ゼロから水草水槽を立ち上げる場合は、水草の増殖に連動して魚を増やしていく形にするのが良いと考えられる。

 

 

溜まった栄養分を除去する

 コケ対策は給餌制限から始まる。しかしコケコケの水槽では、これまで蓄積された栄養分がある。底床が余剰肥料や排泄物によって富栄養化してしまっていると、給餌制限をしても効果が現れない。
 そこで、手作業で取れるコケは、可能な限り取り除いておく。水槽内のコケは枯れると、栄養分に還元され、ふたたびコケの原因になってしまう。
 水に溜まっている栄養分は、換水によって除去できる。最初のうちは換水頻度をあげるといい。
 底床に溜まっている栄養分は、プロホースなどを使い、丹念に吸い出す。底床が石系の場合、この方法によりほとんどを吸い出すことが出来る。

 

水草に栄養分を吸収させる

 水草に栄養分を吸収させると、水草が生長し、トリミングが必要になる。そこで、伸びた水草を水槽外へ取り出すことで、栄養分の除去ができる。

 栄養分の吸収量を増やすには、水草を増やすか、水草の生長を促進させればよい。
 コケ対策に光量を弱めるアドバイスがあるが、これは水草が無い場合に有効な話だ。水草に栄養分を吸収させるために、光は必要だ。ヘタに光量を落とすと、水草の生長が鈍り、逆効果になる場合がある。

 既に水草の葉がコケに覆われている場合は、水草の生長も、栄養分の吸収も期待できない。この場合、新しい水草を植え直すことも検討して欲しい。

 

スカベンジャーの投入について

 エビやオトシンクルス、貝類などのスカベンジャーは、コケの増殖抑制に効果があることが知られている。しかし、これらのスカベンジャーが苔を食べても、その排泄物が再びコケの栄養となり、栄養分が水槽内で循環するだけになる。スカベンジャーを投入する目的は、水草以外の藻類を除去し、再び水草のための栄養分に還元することであって、本質的な対策にはならないことに注意して欲しい。

 オトシンクルスは面の掃除が得意で、エビは細かく入り組んだ部分の掃除が得意というようにそれぞれ担当が異なるので、両方を組み合わせたほうがいい。
 エビはヤマトヌマエビがもっと働きがよいが、大型のものはメダカなどの小型魚を捕食することがあるようだ。できるだけ小型のものがよい。
 貝類は一般に言われているように石巻貝が定番。非常によい働きをしてくれる。

 

コケ抑制剤の投入について

 病気の治療でもそうだが、原因を放って置いて、薬で抑えようとするのは本末転倒であり、対策をしたことにはならない。

 

対策効果の確認方法

 ガラス面に付いたコケをよく落としておいて、1週間後にどの程度コケが付くか、観察する。目立つようなコケがついていなければ、ひとまず対策は成功したと判断出来る。

 

黒髭藻、黒房藻の対策

 見た目ではもっとも見苦しく、やっかいなものの一つ。濾過が完成してしばらくたった水槽内で、冬場によくみられる。水流の激しいところや、成長が鈍った水草などに発生しやすい。しっかりと固着していて、手作業ではまず取れないし、エビやオトシンも喰わない。これはイースト菌発酵式CO2添加装置を導入することで増殖を抑制できる。

mokusaku 黒髭藻は、強い水流が壁面に衝突している部分に発生しやすい。このような場所ができないように、排出口の位置や方向を工夫して、改善する。

 既に発生してたものに対してハイターや木酢液が有効。器具はハイター処理でよいが、水草は3~5倍程度に希釈した木酢液をコケの付いている部分に塗ってすぐに水で洗い流すことを繰り返す。水草全体に液がかかると枯れることがあるので注意。

 部分的に付着しているのであれば付着している葉を切り取ってしまうとよい。水草を外に取り出せない場合は、水槽内で作業することができる。この場合、原液をスポイトに少量とり、ターゲットに向けて至近距離からゆっくりと噴射する(水のPHが下がるので、入れすぎに注意)。

 

 この処置をすると、すぐに赤く変色し、その後次第に溶けて消滅する。木酢液は園芸用品を扱う店で手に入る。

 

<参考購入先>
プロホース一覧
木酢液一覧

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