水草水槽の作り方

 これまでの経験をもとに、水草水槽を立ち上げる際に役立つノウハウをまとめてみました。
 水草水槽をいったん始めたら、それなりに時間、手間、お金がかかりす。完成まで半年くらいかかると考えてください。
 以下の手順は、結果を保証するものではありません。書いてある通りに実施していっても、うまくいかない場合がありますので、ご承知置きください。

 

目次

STEP1 準備
STEP2 水槽のセット
STEP3 濾過の立ち上げ
STEP4 水草の導入
STEP5 完成&日常のメンテナンス

 


 

STEP1 準備

 まずは、次のものを準備してください。

水槽
 60cm以上の水槽がお勧めです。両端を折り曲げて継ぎ目をなくしているタイプがおすすめです。
 縦長に深い、または浅くて横長のものや、前面が大きく湾曲しているインテリア水槽は専用の器具しか使えず拡張性に乏しい欠点があります。
 60cmより小さい水槽は水質の変動が激しく管理が難しくなります。60cm以上より大きい水槽は高額ですが、水質が安定しやすく見ごたえのある水景が作れます。

 以下に挙げるものが最初からついているセット商品がお得です。最近は水槽セットの形で売られていて、壁掛け式フィルタが付属している場合があります。これはろ過に適さないので使いません。

塩素中和剤
 テトラ コントラコロラインでいいでしょう。中身を使い切ったら、次からはハイポを使って自作すると安あがりです。詳しくはこちら

照明
 2灯式2台か、3灯式以上を選びます。水槽セットを買うと2灯式が付いている場合があります。この場合は水草を植えるまでに1台追加してください。
 照明はインバータ式かLEDが消費電力が小さく長寿命です。

サーモ・ヒーター
 一体式ものものが安く売られていますが、ヒータは消耗品です。きめ細かく温度制御ができるよう、サーモとヒータが別々になっているものが望ましいです。
 安いサーモはヒステリシス(ONまたはOFFが作動する温度幅)が大きく、水温の変動幅が増えて魚が体調を崩す原因になります。サーモはできるだけ品質の良い良い商品を選んでください。

温度計
 鑑賞の邪魔になるアクセサリです。小さく目立たないものを選んでください。


 テトラミンの一番小さいものを買ってください。小さいものでも量が多いので開封後は変質を避けるため小分けして保存してください。えさに関してはこちらも参考にしてください。

濾過装置
 外部式フィルタを選びます。定番のエーハイム クラシックフィルターがお勧め。メーカー表記の適合サイズより一回り以上、大きいものを買ってください。パイプやホース類がたくさん付属しているものを選んでください。後からパーツを買い足すと割高になってしまいます。

濾材
 カーショップから洗車用のスポンジを買ってきて裁断してください。製作法はこちらをご参照ください。

プレフィルタ
 吸水部に付けるためのプレフィルタ。φ50-100 接続部16/21 サイズをよく確認してご購入ください。


 粒サイズ 2mm以下の石系のものを用意します。数量は60cm水槽で12~16Kg使います。必ず淡水産の砂を選んでください。大磯など海砂の場合は事前に塩酸処理を行う必要があります。

亜硝酸試薬一覧
 テトラの亜硝酸試薬を購入します。試薬はこれが最低限ですが、予算に余裕があれば、PHなど別の試薬も買っておくと水質管理に役立ちます。


 ガラス製とし、水槽上面全体をぴったり覆える枚数を購入します。

断熱材
 冬場の電気代を節減する効果があります。こちらをご参照ください。

バックスクリーン
 模様や絵の描かれたものでなく、黒一色が勧めです。水槽の背面(水中ではなく外側)に密着させて固定します。

ヒーターカバー
 ヒータを目立たたず配置するために必要です。

 


 

STEP2 水槽のセット

 上記の材料を使って水槽のセットアップを行います。構成の例を次に示します。

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 シャワーパイプは末端のキャップを取って図のようにセットします。
 ヒータはカバーをかぶせて水槽の角に縦置きし、シャワーパイプの排水の流れ場よく当たるようにします。これは底面積を確保するための工夫です。

 注意:ヒータを縦置きにした場合水の蒸発による水位の低下に注意してください。また、水換えをする場合、濾過装置をストップした状態で水替えする場合は、空焚きを防ぐため必ずヒータのコンセントを抜いてください。

 外部式フィルタ(パワーフィルタ)の吸水口にはプレフィルタを付けて、シャワーパイプの出口とは反対側にセットします。電子コントローラのセンサは、プレフィルタの近くに付けます。

 水を入れたらシャワーパイプの高さを調節します。水面が少し波立つようにセットして油膜の発生を防止します。

 底砂は平らに均せばOKです。傾斜を付ける例がありますが、水草を抜き差ししているうちに平らになってしまいます。

 


 

STEP3 濾過の立ち上げ

 

パイロットフィッシュの導入

 ブラックネオン、グローライト、アカヒレの中から合計10匹購入して水槽に導入します。これらの魚は、水槽立ち上げ後は不要になりますから、後のことをよく考えて種類を決めて下さい。これらの魚は水質の悪化に強く、濾過が完成するまでのパイロットフィッシュに最適です。

 魚を水槽に入れるときは、水あわせをしてください。  魚を入れたら、照明を点灯して昼夜を作ってやりましょう。省エネ対策夏場の水温対策も合わせて参考にしてください。

<参考購入先>
ブラックネオンテトラ一覧 グローライトテトラ一覧 アカヒレ一覧

 

濾過の立ち上げ

 エアレーションをします。シャワーパイプの小さい穴が水上に出るようにすると、水が落ちるとき小さな気泡がたくさん出来るのでこれを利用します。エアレーションは水中の溶存酸素を増やし、有機物の分解を助けるのに役立ちます。

 パイロットフィッシュに給餌しつつ、毎日亜硝酸濃度を測りながら濾過が立ち上がるのを待ちます。PHや他の試薬があれば、同時に測定していってください。測定値は記録するだけでなくグラフを書いてみると面白いです。

 途中、水が濁ったり、水面に油膜や泡が大量に発生したりしますが、放って置いてかまいません。これらの現象は、水が出来上がるまでのプロセスの一部です。焦って水替えする必要はありません。

<補足>
 水が濁る原因の多くは、従属栄養微生物です。水面に浮かぶものは、藍藻類の仲間か、何らかの有機物です。これらは、水質や食物連鎖が不安定な時期に大量発生しますが、次第に減少していきます。従属栄養微生物は、魚の糞や、餌の食べ残し(有機物)を分解し、アンモニアを生成します。

 

 アンモニア濃度はどんどん上昇していきますが、アンモニアを亜硝酸に分解するアンモニア酸化細菌が次第に増えてきてアンモニア濃度が減少し、かわりに亜硝酸濃度が上昇してきます。
 亜硝酸濃度が1.6mg/Lを越えたら、1/3程度の水換えをします。アンモニアも、亜硝酸も、魚にとって有毒ですが、パイロットフィッシュは、この厳しい環境を乗り切る強さを備えています。

 亜硝酸濃度を毎日測定していると、ある日突然、検出されなくなるときがあります。この確認をもって、濾過が完成したと判断できます。亜硝酸濃度がゼロになったということは、亜硝酸を硝酸塩にする亜硝酸酸化細菌が働きだした証拠です。

 水槽立ち上げに関する詳しい実例はこちらをご参照ください。

 

 濾過が完成したら一度濾過装置を開けて、濾材の様子を観察してください。濾材に繁殖したバクテリアにより、若干茶色味がかり、独特の臭いがすると思います。この状態をよく観察して覚えておくといいです。

 水槽が立ち上がったら、パイロットフィッシュの役目は終わりです。パイロットフィッシュと入れ替えに、飼いたい魚を導入しもかまいません。その際、水槽負荷が大きく変わらないように注意してください。パイロットフィッシュを飼い続ける予定がなければ、ペットショップに引き取ってもらうといいでしょう。

 魚の数(水槽負荷)は、時間をかけてゆっくりと増やしていきます。水草が順調に生育するのを確認するまでは、負荷を増やさないのが無難です。

 


 

STEP4 水草の導入

 

照明の追加

 2灯式でスタートした人はStep1でガイドした通りここで照明を追加して3灯以上にしてください。

 

パイロットプラントの導入

 マツモ、ガボンバなどを買ってきて植えます。これらの水草は生長が早く、増やすのが容易なのと、安価なことから、パイロットプラントとして適当です。伸びたらトリミングして植え直す、という作業を繰り返し、これらの水草を水槽内でどんどん増やしてください。
 パイロットプラントにコケが付き、成長が止まってしまったら、コケの付いた水草を捨てて、導入し直します。コケた状態を放置しないようにしてください(一度コケたら回復は見込めません)。

 水草の葉にコケが付いてしまうのは、最初に導入した水草の数量が少なすぎたか、給餌量が多すぎるのが原因です。これは、水草と水槽負荷のバランスに関する貴重な体験ですので、この機会に適切なバランス感覚を養うといいです。

 <参考購入先>
マツモ一覧 ガボンバ一覧

 

スカベンジャー(掃除屋さん)の導入

 水草の導入と同時に、オトシンクルス2,ヤマトヌマエビのできるだけ小さな個体を2匹以上導入します。特にヌマエビは重要です。スカベンジャーなしでコケの抑制はほとんど無理ですので、必ず導入します。

<参考購入先>
オトシンクルス一覧 ヤマトヌマエビ一覧

 

CO2添加を開始

 水草を植えたら同時に、CO2添加をスタートさせます。CO2添加装置は、市販のガスボンベを使ったものでもかまいませんが、高価です。この機会にイースト菌による発酵式を試してみるのもいいでしょう。発酵式添加装置の作り方はこちら

 CO2添加を開始したら、シャワーパイプを水中に沈めます。エアレーションをしたままだと、せっかく水に溶けたCO2が逃げやすくなります。

 

レイアウトの構想を練る

 パイロットプラントを増やしている間に、どんな水草を入れて、どのような配置にするか、魚は何を入れるか、いろんな資料を参考に構想を練っておきます。
 光量、CO2添加量などの最適値が水草によって異なりますので、こちらも参考にして植える品種とレイアウトを決めて下さい。石などのアクセサリもあわせて検討ください。天然の流木は水を色づけするので水草水槽ではあまりお勧めできません。

DSC02094 石組みは三尊石[1]が基本になります。無駄なものを買わないようご注意ください。
 角ばった自然石は入手困難ですのでネット通販などをご利用ください。黒っぽい溶岩がお勧めです。

 レイアウト用天然石

 

 

水草の導入

 マツモ、ガボンバが順調に育ち、コケ(苔)もほとんどない状態が続くようになったら、パイロットプラントを、あらかじめ構想を練って置いた本命の水草に入れ替えていきます。
 一度に全部植え替えると硝酸塩の吸収が悪くなってコケる可能性があります。少しずつ入れ替えるか、追加する形で導入するのが安全です。

 


 

STEP5 完成&日常のメンテナンス

 

魚を増やす場合の注意

 水草の入れ替えが終わったら、魚を所定の数まで増やしていきます。魚(水槽負荷)を増やす場合は、現在のうまくいっている状態の、水草の量と給餌量のバランスを変えないよう注意してください。

 魚の数や給餌量を2倍に増やした場合、水草の量も現在の2倍に増やさないと、バランスが崩れてしまいます。濾過が追いつかなくなって、亜硝酸濃度が上昇し、病気が発生したり、死魚が出ることもあります。

 魚を増やす場合は、水草も同時に増やしていくのが安全です。魚を増やしたら、時々亜硝酸濃度をチェックして、濾過が追いついていることを確認してください。

 

低床の管理

 低床は基本的にいじってはいけません。砂と砂のスキマにできる茶色いものは水草の育成にとって大切な有機物です。掃除する場合は、表面の糞や枯れ草の破片等をプロホースで吸い取る程度とします。以後の管理はこちらをご参照ください。

 

<参考文献>
1.日本庭園のデザイン