オシロスコープの選び方~デジタルオシロの表示は問題だらけ

 アナログオシロが市場から消えて久しい。2000年頃はまだ、岩通やA&Dなど数社が細々と作っていたが、現在ほぼなくなっている。今はほとんどがデジタルオシロだが、映し出される波形は問題が多い。

 

折り返し雑音(エイリアシング)の問題

 スイッチングレギュレータやインバータ出力電圧など、高調波ノイズが多く含まれる信号をデジタルオシロで映しても、折り返し雑音の影響を受けた嘘の波形しか見えない。TMIEレンジによって見た目が大きく変わる。いったいどれが正しいのかわからない。

 こうなってしまうのは、処理速度を優先しアンチエイリアシングフィルタを省略していることが原因だ。

 アナログオシロではこういうことは起こらない。高い周波数の高調波は減衰して薄くなる。TIMEレンジを速くすると、それに応じた周波数の波形が良く見える。

 

縦軸分解の問題

 デジタルオシロは縦軸の分解能が低すぎる。大半のA/Dが、高速化を優先して8bitしかない。するとどうなるか。

 写真は、アナログのファンクションジェネレータで正弦波を出して、アナログオシロ(岩通DS-8608A)とデジタルオシロ(レクロイ社製100万円クラスの機種)で観察した様子。

 アナログオシロ(左)は山の先端が小さく尖っているのがわかるだろうか。デジタルオシロ(右)ではそれが見えないし、波形もギザギザしている。

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 アナログオシロが映す波形は本物。生の信号をそのまま映し出すため、見ていて安心感がある。これに対し、デジタルオシロの波形は「作り物」に見える。アナログよりはるかに高周波まで測れる超高性能オシロなのに、波形の形がよく見えない。

 最近のデジタルオシロは長いメモリを搭載し、突発的な異常の発見が得意なことを強調している。しかし、アナログ波形の観察には向かないことがわかる。

 

 デジタルオシロが主流になったのは、オシロで観測する対象が変わってきたせいかもしれない。CANバスに流れる波形や簡易なロジアナとして使われることが多くなり、低周波のアナログ波形を観察する機会がなくなってきた。

 ロジアナ的な使い方では、電圧の分解能はあまり必要ない。なので、電圧の分解能は8bitで十分、ということなのだろう。

 昔ながらのアナログオシロはもう生産していないが、まだアマゾンから入手できる。但し、純アナログのオシロは連続波形を見るだけでストレージや波形の測定ができない。岩通のDS-86シリーズはそんな欠点を解消した、アナログにデジタルを組み合わせたハイブリッドオシロ。今ではとても貴重な逸品だ。

 

<参考購入先>
アナログ式オシロスコープ まだ一定の需要があるのか、一部のメーカーが作っています
USBオシロ アマチュアに手が届くオシロです

岩通のDS-8608Aは中古のみ。FFTアナライザのHP35670Aと並ぶ、知る人ぞ知る名機と思っています。