過密飼育のワナ

初心者が失敗する原因のほとんどは過密飼育にある。今回は、過密飼育に至るプロセスをみてみよう。

黎明期
 熱帯魚に興味を持ち、自宅で飼おうと決心する。慎重な人はネットから様々な情報を入手して事前勉強を行うことだろう。 濾過の立ち上げという作業を知らない人は、わずか数週間で死なせてしまうが、事前に得た知識に基づいて立ち上げに成功した人は、次に魚の数を増やすことを考える。
試行期
 最初はネオンテトラだけだったのが、ショップで魚をみているうちに、あれも飼ってみよう、これも飼ってみようと欲が出てくる。気がついてみると、水槽内はネオン、コリドラ、グッピー、エンゼルなどが混在し、統一感のない、ワケのわからないものとなっている。水草も同様に、いろんな形、種類の物が混在している。数が増えるとコケが蔓延するようになり、その対策にとヌマエビやオトシンがさらに追加される。
苦難期
 水槽内は、超過密状態になっている。給餌も多く、毎日が病気とコケとの戦いである。いろいろ調べて様々な手を打つが、なかなか改善しない。
末期
 ある日突然死魚が急激に増え、ついに破綻。水槽リセットの憂き目にあう。

 

 過密飼育の水槽では、どのような対策も努力も無駄である。散々の苦労の末、待っているのは水槽の破綻だ。初心者の水槽をみると、過密飼育になっていることが多い。
 では、どの程度の数が適当だろうか。諸説はいろいろあり、どのような水槽にするかによっても異なる。水草水槽の場合は、水草が吸収できる窒素栄養分の最大値によって決まる。例えば、60cm水槽に水草を密生させた状態だと、窒素収支のバランスが取れる限界は、小型カラシン20匹程度のようである。
 エンゼルフィッシュの場合は、大きくなることや争いをすることを考えると、せいぜい2匹(1ペア)が限度である。グッピーの場合は、グッピー1匹=カラシン2匹分としてカウントし、必ずオスだけとする。グッピーは勝手に増えるので、品種改良が目的でない限り、ペアで飼うことはお勧めできない。

 

 当然、この基準は水草の種類や数量、給餌量によって異なるので、実際に魚をいれて様子をみてみないとわからない。実際はもっと少ない数になることが多いと予想される。
 もっとたくさん魚を入れたい人は、水草をやめて魚だけの水槽にする必要がある。低床(砂)もなくしてベアタンクにするといい。この場合は、1匹あたりの水量によって上限が決まるが、小型カラシン1匹/2Lを目安にすると、トラブルが少なく、管理も楽である。60cm水槽(50L)の場合は25匹が上限値となる。

 あとよくありがちなのが、オトシンやヌマエビを追加したのに、これらを数に入れていないことがある。これらのスカベンジャーを入れた場合は、その分をカウントしなければならない。石巻貝も1個=1匹分である。 (但し水槽内にコケが豊富にあって、これらの給餌を別途用意する必要がないうちは、水草水槽の上限値20匹のうちには入れなくて良い。このときの個体の合計は、ベアタンクの上限値を目安にする。)

 自分の水槽にいる個体数をチェックしてみて、もし過密状態にある場合は、早やかにこれを解消することを強くお勧めする。
 少々過密状態でも、自分のところは濾過装置が大きいから大丈夫、と考える人がいるかもしれない。しかし、過密は、濾過能力の向上によって解消することはできない。それは、上記の基準値が、濾過能力と、環境変動に対する緩衝作用の2つから決まると考えられる為である。環境変動がゼロなら、濾過能力に比例して数を増やせるが、なんらかの原因で水質が悪化した場合、水量に余裕がないと濾過が追いつかなくなって破綻してしまう。