4:3テレビでまともな画質のものはあるか

ワイドテレビは10年くらい前からあるが、10年たった現代でも映像ソースの主流は4:3である。私も10年前にワイドテレビを買ってはみたものの、そこに映したソースは99%以上、4:3であり、ワイドのメリットが生きたのは、レンタルビデオで映画をみる程度だった。デジタル放送が始まっても、当分の間、同様の傾向が続くと考えられる。

 テレビを買う際には、4:3のソースが圧倒的に多い現状を考えると、ワイドテレビよりも4:3のテレビを選択をするのが賢明である。例えば、同じ前提のもと、28インチのワイドと、29インチの4:3を比較した場合、世間でよく言われているように、29インチの方が画面の広さの点で有利である。

 表示デバイスはなにがいいだろうか。重さが許されるのなら、ブラウン管をお勧めしたい。最近液晶テレビが登場してきたが、階調や分解能が乏しく、デジタル処理によってディテールが失われた人物の肌は、まるで蝋人形のようだ。液晶の描写力は、長年熟成を重ねてきたブラウン管にはとうてい届かないのが現実である。高価なプラズマはまだ当面、購入対象外だろう。

 しかし、4:3のブラウン管式テレビにも問題がある。それは、デフレが長びく中、無理なコストダウンを重ねてきたせいで価格が異常に安くなってしまったことだ。21インチで4万円を切るようなテレビは、まるで風船のように見える。これだけ安いと、品質に疑問が生じて、買う気になれない。値段が安い物は、それなりのものでしかないと考えられるからだ。

 たくさんある中からテレビを選ぶにはどうしたらよいか。まず、大きい量販店に行く。ここには多くのテレビが並んでいて手軽に画質のチェックが出来る。

 店頭で見るテレビの画質は、いわゆる店頭効果をねらった設定※1になっている為、絵は参考にならないが、この状態で最初にチェックすることがある。それは、輝度が変化したとき画面が歪まないかみるのだ※2。
 しばらく画面を観察していて、画面が白っぽくなったとき全体が縮んだり、テロップ表示されたとき、その周囲の絵が歪むものは、電源まわりに十分な余裕を見ていない証拠である。昔は安物の3流メーカー品でしか見られなかったが、最近ではごく普通に見られるようになった。

※1:コントラストをあげ、色を過剰に濃くした設定で、よく目立ち、素人には一見、綺麗な絵に見える。
※2:店頭効果をねらった設定の方が電源の負荷が大きく、アラが出やすい。

 次に、画質を調整してまともな絵が出るかどうかをみる。画質の調整はどのメーカのものでも大抵、リモコンのメニューボタンからアクセスできる。
 コントラストを下げ、NR、VM、輪郭強調、白補正などの余計な機能を全てOFFにすると、テレビの裸の特性が見える。この状態を出発点に、画質の調整を試みる。チェックソースは人物の肌が一番参考になる(テレビにとっては一番厳しい)。すなわち、明るさ、コントラスト、色合い、色の濃さを調整し、人物の肌をどの程度リアルに映し出すことができるか、試みるのだ。

 あと余裕があれば、ドット妨害をチェックするといい。これはテロップなどの文字や、色の濃い図形の輪郭部分にドット状のノイズが乗る現象である。Y/C分離の精度に応じて、静止していても見える場合、静止していれば見えないが、動くと見える場合、動いても見えない場合の3通りがある。後者にいくほど、高精度のY/C分離回路が搭載されている。小さいテレビではドット妨害そのものが目立たない為、高精度な回路は必要ないが、21インチ以上のテレビでは目立つので、できるだけ精度の良い回路を搭載している物が望ましい。

 私が以上のような観点から最近の機種(21型以上)をくまなくチェックした結果、まともな絵が出るテレビが1つだけあった。ソニーのKV-29DX650である。

 このテレビは第一に輝度の変化に対して絵が揺るぎなく安定している。また、AVプロを使って余計な画質補正をすべてOFFにするだけで、良好な肌色が得られるし、絵が全体的に上品である。DX650シリーズにはワイドタイプもあるが、不思議なことに、4:3のほうが絵の品がいい。

 問題がないわけではない。DRCという余計なデジタル処理回路が入っていて、デジタル臭い絵になっていることである。特に受信状態が悪いと、ジョワジョアしたノイズが目立つのだ。この機能は、残念ながらOFFにすることはできない。また、プログレッシブテレビに全体にいえることだが、輪郭が甘い。しかし、発色そのものが上品であり、この一点が他のテレビでは得難い特徴といえる。
 大型のCRTは消費電力が大きいため、省電力機能が重要※だが、このテレビにはオフタイマーしかない。それもメニューの深いところにあって、ほとんど使えない。

※主婦などに一日中付けっ放しにされることが多いことを考えると、目の前から人がいなくなったら、輝度を下げるか、画面をOFFにして音声のみにする機能も欲しい(PAT.Pend 2006/1/22)。ひと気の無い時間が一定時間を超えたら、電源そのものをOFFにしてしまうと、消し忘れを防止できる。液晶が主流になっても、このような機能は有用である。

 次点はパナソニックのFP5であるが、ソニーほど画質調整の自由度がなく、絵はごく普通、輝度変化に対する安定度はいま一歩である。この2機種以外の21~29型テレビは、お好きな人はどうぞと言うしかない。

 このソニーのKV-29DX650は、購入して自宅にある。狭い部屋に29型の大画面など必要ないのだが、これしかマトモなものがないのだから仕方がない。しかし、値段が8万円前後というのがやや安すぎる。今度買い換えるまで、無事に動作してくれることを祈ろう。

 

<参考購入先>
ブラウン管テレビ