金メッキは錆びる~コンタクトオイルで金メッキの錆を防ぐ

 次にご紹介する写真は、プラグが完全に錆びてしまった金メッキ高級ケーブル。肉眼では艶がなくなったように見えるが、顕微鏡で見ると金は錆びておらず、下地が錆びてメッキが浮き上がっている。これでは、何のための金メッキかわからない。

 

錆びた金メッキの例

 オーディオ用品の金メッキは、様々な手抜きがされている。なかには下地メッキを省略して銅合金に直接メッキをした粗悪な商品もある。

 これらの金メッキは「見た目が金色」というだけで、その信頼性、性能はスズメッキやニッケルメッキに劣るのが実態だ。

pin2b  すっかり錆びてしまった金メッキプラグの例。遠くからは埃が付いたように見えるが、拭いても綺麗にならない。

 

pin3b 拡大。下地にニッケルメッキがあるものは細かいブツブツが出るため綺麗なつや消しに見える。

 中央のサンプルは下地メッキがない粗悪な商品の例。ところどころ金メッキが膨れあがっている。これは金メッキの下を潜り込むようにして錆びが広がった結果。

 

 

 

金メッキはどうして錆びるのか

 メッキでは通常「ピンホール」と呼ばれる微小な穴が無数にできることが知られている。金は錆びないが、穴から見える下地は錆びてしまう。

 これによって、ブツブツした模様ができ、遠くから見るとつや消しに見えるというわけだ。

 

錆びない金メッキの要件

 金メッキを錆びないようにするためには、下記の要件を満たしていることが必要とされる。

  1. 24K以上の純度でメッキしてあること。
  2. 金メッキの厚みが3ミクロン以上あること
  3. 良質な下地メッキがしてあること。
  4. ピンホールの封孔処理がされていること。

1 はコンタクトがある程度柔らかいことと、表面に酸化物ができないという金本来の性質を発揮するために必要な条件。
2 は金メッキのピンホールを十分減らすには、少なくとも3ミクロン以上のメッキ厚が必要という[1][2]
3 は母材に対する金の熱拡散を防ぐためにも重要であり、一般にニッケルメッキが多いがニッケルと金の間にパラジウムを挟んだ物もある。
4 メッキ厚が3ミクロンない場合は封孔処理しないと錆びる。封孔処理剤は様々なものがある[2]

 オーディオアクセサリをみると、1 の能書きを見ることはあるが、2~4に関しては全く不明。中には、金メッキと称しているものの、下地がスケて見えるほど薄いものもある。

 このような金メッキの錆を防ぐためには、防錆効果のあるコンタクトオイルを塗るのが効果的だ。上記の要件とは無関係に、塗るだけで錆を防ぐことができる。

 

金メッキの錆を防ぐ実験(21日後)

 高品質なオーディオ用ピンプラグを作るメーカーにWBTがある。金メッキは3層だという。錆びなければ大したもの。そこで、WBTのプラグ(0147)を入手し、雨が直接あたらない屋外に放置する屋外暴露試験をしてみた。

  WBT(0147)を2つ用意し、1つは未処理、他方にはRational001(フッ素オイル)を塗布して防錆効果を調べた。

 暴露期間は、2004年11月29日から3週間(21日)。表面にブツブツが見え始めたので調べてみた。次の写真がそれ。

wbtsabi1WBT-0147の未処理品
(3週間屋外暴露の結果)

 

 

wbtsabi2WBT-0147オイル(Rarional001)塗布品
(3週間屋外暴露の結果)

 

 

toubai1WBT-0147の未処理品(拡大)

 

 

toubai2WBT-0147のRarional001塗布品(拡大)

 

 未処理品は表面にブツブツした瘢痕模様が見える。金はもちろん錆びないから、これは金メッキのピンホールから下地が錆びて出来たもの(下地が腐食する際にガスが発生し、これが抜けるとき金メッキがはがれてブツブツ模様が出来る)。

 金メッキが錆びるということは、上記要件によると金メッキの厚みが3ミクロンない証拠。この場合封口処理が必要だが、WBTはそれもやってない模様。WBTには5層メッキもあるが、この様子だと結果は同じかもしれない。

 Rational001 を塗布したものはほとんど変化していない。このオイルが封口処理に効果があることを実証できた。

 

金メッキの錆を防ぐ実験(163日後)

 同じ試験片を続けて屋外暴露試験を行い、163日経過した結果。WBTとメッキの品質を比較するため途中でカナレF-10を実験に加えた。こちらは159日。

写真は左から、

WBT(Rational001塗布品)、暴露日数163日
WBT(未処理品)、暴露日数163日
カナレF-10(新品)
カナレF-10(未処理品)、暴露日数159日

 

wbtsabi3

 表面のブツブツしたものはピンホールから錆びた証拠。カナレのF-10も同様にブツブツが見える。

 

 ブツブツ部分の拡大。錆びるときにできた水素ガスによって、表面のメッキ層が吹き飛ばされたようにも見える。

 カナレの本体(シルバーの部分)は新品のときツヤツヤだが、錆びると落ち着いたツヤ消しになる。スプリングの部分はニッケルメッキのようだが、ここもつや消しになるだけで、外観を損ねるような錆び方はしなかった。

 結局、金メッキした端子は、ほとんど例外なく錆びてしまうと考えたほうがよさそうだ。

 

結論~金メッキの錆はコンタクトオイルで対策できる

 上記の実験結果から、金メッキの表面にRational001 を塗ることで錆の防止に効果がありそうだ。これはメッキ表面のビンホールを封口した結果と考えらえれる。

 これによって、新品の輝きをずっと維持できるはずだ。

 

<参考購入先>
Rational001s Rational001の後継品。後で開発したRational003も同様の効果があります

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<参考文献>
接点復活剤・コンタクトオイル研究のまとめ
1.内田裕康,めっきピンホールによる故障例と封孔技術,日本航空電子工業(株)
2.金めっきの封孔処理剤,株式会社ケミトロン