アンプの出力はどれだけあればよいか

 アンプでどのくらいの出力がいるか、判断するには、何らかの基準がいる。その一つに、「コンサートホールの客席におけるピーク音圧レベルが109dB」というものがある。
 周波数別に見るとオケの場合は低音のエネルギーが最も大きく、109dBが必要なのは100~200Hzの間であり、それ以外の帯域は103dBもあればよいようだ[1]

 

 アンプに必要な出力はスピーカの能率に関係する。例えば109dBの音圧確保に必要なアンプの出力は、スピーカの能率が92dBのとき約60W(片ch)となる。必要な出力と能率の関係を計算したグラフを次に示す。

ampgraph1

 アンプの実用出力は、カタログデータではなく、100~200Hz付近においてTHDが十分小さいと判断できる値で考える必要がある。また、が100~200Hz付近のスピーカのインピーダンスは公称値と異なる場合があるので注意。

 

 パワーアンプは出力が大きい機種ほど低出力時の歪みが多い(詳細は下の関連記事参照)アンプの出力は大きいほど良いというわけではなく、スピーカの組み合わせによる最適値がある。

 Hi-Fiオーディオでは現実の音よりも大きな音を出す必要はないから、グラフの線を越える出力のアンプを用意するのは意味がない。

 それでも「アンプは余裕があったほうが良い」などと考えてグラフの線を大幅に上回るアンプを選んでまうと、常に歪の多い(音の悪い)部分を使って音楽を聴くことになってしまう[1]

 事情により109dBを出す予定がない、もしくは普段大音量を出さない人は、より出力の小さなアンプを選んだ方が得策だ。

 

 この曲線を見ると、能率が90dBを下回るとアンプにかなりの出力を要求することがわかる。このような低能率のスピーカでは、許容入力がボトルネックになって要求する音量が得られない場合がある。たとえパワーが入っても振幅が増大し歪みも大きい。低能率の小型スピーカでは、良質な大音量再生は最初から期待できないと考えておきたい。

 スピーカにパワーが入らないのにそれ以上の大出力アンプを用意するのは無駄でないと書かれている記事もあるが、歪みのことを考えるとやはり無駄だ。スピーカの最大入力の方がグラフの線より低い場合は、それに合わせるのが適当だ。

 

 スピーカの能率が高い場合は、出力の低い良質なアンプを選ぶ必要がある。グラフの線を数倍も超えるようなハイパワーアンプを組み合わせてしまうと、常に音の悪い領域で音を聞くハメになってしまう。能率が100dBを上回るとアンプ選びも大変である。小出力で質のよいアンプ自体、あまり無いからだ。

 

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<参考文献>
[1]オーケストラの音圧レベル 中島平太郎著「ハイファイスピーカ」日本放送出版協会 P11