ピンケーブルの選び方2~【結論】

 ピンケーブルのポイントは「軽くてしなやか」「接触の信頼性」「ノイズ耐性」の3つだと以前ご紹介した。今回はこれらの条件を満たすプラグとケーブルを実際に探して得た結論をご紹介する。

 

 

プラグを探す

 RCAのプラグで接触の信頼性を求めるとチャッキング式となる。このようなコネクタはMonitor,WBT,FURUTECHなどが有名だが、高価なのが難点。

 そこで、チャッキング式で安価な商品を探してみた。その結果、DAYTON AUDIOのLOCKING RCA PLUGと、ZAOLLAのRCGシリーズが見つかった。国内販売価格はいずれも500円/個程度とWBTの半分以下。

 

connect 各種プラグを並べた写真。
左からWBT-0147 , ZAOLLA RCG-1R , カナレF-09 , F-10

 センターポール(+端子)の寸法を測ったところ、直径に1割近い寸法のばらつきがあった。これだけマチマチでは接触不良や相性問題が生じて当たり前。RCA規格のプラグに信頼性を求めること自体が間違いなのかもしれない。

 

 

 コンタクトの仕上げを観察すると、ZAOLLAだけ鏡面仕上げされてピカピカ。残りはすべてバイト痕が残る仕上がり。写真はないがDAYTON AUDIOも同じだった。

 センターポールを観察すると、ZAOLLAが4分割φ3.05、WBTが2分割先開きφ3.35。カナレはただの棒でφ3.20、写真からわかるようにこの部分が長めに作られている。

 センターポールが分割されているとバネ特性を得るが、RCAではプラス側のバネ要素はジャック側に持たせるのが普通でありプラグ側のバネ要素は不要だ。

 

はめあいのテスト

 はめあいとは、相手との勘合を言う。無理なく適度な力でスムースに差込&抜去できるか、何度も抜去して相手に傷を付けないかどうかがチェックポイントになる。

connect2

写真はRCAジャックとはめ合いのテストをしている様子。見た目ではわからない寸法や工作の精度を確認できる。相手に傷を付けてたり、きつすぎてメッキを削ってしまうものは論外。

 

 

金属同士の勘合では、磨耗や傷を防ぐために潤滑油(コンタクトオイル)を併用することが望ましい。今回のはめあいテストではRational001を使用した。テスト結果を次に示す。

 

表1.RCAプラグ、ジャックのはめあいテスト結果

品名 抜去力 相手の傷つきにくさ スムースさ
WBT-0147 やや強 ×
RCG-1R(ZAOLLA) 非常に強 × ×
F09(カナレ) 適度
F10(カナレ) やや強

 

 WBTはマイナス側切込部の内側にカエリがあり、挿し込みが少しきつい。抜くと相手に傷が付くのが確認された。

 ZAOLLAはプラス側が緩く、マイナス側がかなりきつい。抜くのにペンチが必要だった。当然、抜いた後のジャックは傷だらけ。ZAOLLAにはチャッキング機能があるが、これだけ抜けにくければ必要ない。プラス側が緩いのは、上記したように細く作られているせい。

 カナレの2種はいずれも相手に傷を付けなかった。F-10はややひっかかりを感じるが、F-09はどんな相手に対してもスムースなフィーリングだった。F-10のひっかかりは、マイナス端子のテーパーが大きいせい。

 

 はめあいの結果は、高級なプラグが必ずしも良いとは限らないことを示唆する。少なくとも、ジャックを傷付けるようなプラグの付いたケーブルに、高いお金を払う価値はないと考える。

 

 

金メッキの錆び

 高級プラグに期待されるのは、接触部がいつまでも錆びず性能が安定すること。しかしこれまでの調査では、金メッキで錆びないものは一つもなかった。

 マメな人は時々プラグを抜いて洗浄するかもしれない。このとき金メッキの色艶が何となく悪いことに気が付く[1]が、汚れと勘違いしたり、「金メッキしてあるものが、錆びるはずがない」という思い込みから、このことを気にとめる人は少ないようだ。

 高級プラグが塩水噴霧や腐蝕ガスによる耐蝕試験をパスしていれば、価値を認めることが出来るが、そのような試験データを掲げたプラグは見あたらない。

 コンタクトの錆に関しては、今のところ防錆効果のあるコンタクトオイル(Rational003など)を塗布する以外、改善策は見つかっていない。

 

 

ケーブルを探す

 しなやかさと耐ノイズに注目して選んだケーブルの候補を示す。ほとんどがアンテナケーブルになる。

 

表2.ピンケーブルの候補一覧

品名 外径(mm) しなやかさ 耐ノイズ 経年変化 中心導体(スケア) 価格(円/m)
S4CFB 6.0 0.50 70
L-4CFB(カナレ) 6.1 0.50 63
S5CFB 7.7 0.87 120
S5CFBL 7.7 0.87 130
L-5CFB(カナレ) 7.7 0.87 87
GS-6(カナレ) 5.8 1.0 180~500

価格は目安(2017年調べ)。※は100m単位の販売です。

 GS-6以外はシールド線がスズメッキされていて錆びによる経年変化が少ない(被覆内部といえど、次第に錆びる)。
 耐ノイズは、数メートルの短い配線では変わりない。

 プラグを選ぶ場合はケーブルの外径に注意したい。カナレのF-09、F-10の適合は最大φ7.5までだが、F-09はφ7.7まで結線できる。F-10はNG。

 

 

ピンケーブルの結論

 結局ピンケーブルは次のものを使えばよい。

 ピンケーブル(完成品)の候補:なし

 プラグ:カナレF-09
 ケーブル:カナレGS6もしくは S4CFB

 完成品の候補がないので、上記のプラグとケーブルで自作する[2]。 この組み合わせは安上がりなだけでなく、市販のほとんどのピンケーブルを上回るはず。
 
 カナレのプラグは上位のF-10より小型軽量で全長の短いF-9の方がお勧め。ケーブルも上位のS5CFBより細くしなやかに曲がるGS6かS4CFBがよい。
 アンテナケーブルはグレーが一般的。オーディオ配線では目立たないほうが良いので、S4CFBの黒を探してほしい。

 

<参考納入先>
Rational003 コストパフォーマンスに優れた万能オイルです

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