洗車スポンジ濾材11~洗車スポンジ濾材はこうして生まれた

洗車スポンジ濾材が生まれた経緯について説明する。最初の記事に書いたとおり、始まりは1999/7/30 東京ビックサイトの下水道展だった。

 当時、最もらしい理屈をつけた濾材があふれ、ユーザーがそれに振り回されている状況を問題に感じていた私は、ここでいろんな専門メーカの話を聞いて濾材の基本的な性質を知ることが出来た。そしてこれを元に濾材に要求される特性を見出すことができ、満足できそうな商品を探してみた。
 ところが、アクア用に売られている濾材の多くは業務用の流用で、一般家庭で使う小型ろ過装置には適さないものだった。そこで、身近な日用品から濾材に使えそうなものを探すことにした。アクア用として市販されている濾材は高価なものが多かったから、「安く、手軽に使える物」を見つけたいという思いが最初からあった。

 

 私が最初に注目したのが台所にある食器洗い用のスポンジだった。濾材を長期間使うには、ある程度の通水を確保して目詰まりを防がなければならない。そこで、通水性を調べるため、水道の蛇口のすぐ下に配置して水を流してみた。ところが、このスポンジは気泡が細かすぎて※、水が中を通りにくい。大半の水が表面を伝わって落ちてしまった。

※目の細かいスポンジは気泡の独立性が高く、水が流れにくい。

 台所には、コゲ付いた汚れ落し用の目の粗いスポンジもあった。これも同様にテストしたところ、今度は抵抗なく水が貫通した(これが後に、プレフィルタの選定基準になった)。水がよく通るということは、気孔率が大きい(表面積が小さい)ことを意味し、問題のように思えた。また、最近の台所用のスポンジには、「抗菌」の文字が目につき、これを濾材として使うことに抵抗があった。

 

 そんなとき、たまたまカーシャンプーのオマケに付いてきた黄色いスポンジが余っているのを思い出した。早速実験してみたところ、良い具合に(主観だが)水が貫通した。気泡の細かさは台所のスポンジと同じくらいなのに、なぜだろう?
 その秘密は、大小の気泡が混ざった構造にあるようだった。すなわち、小さい気泡だけでは水が通りにくいが、大きい気泡が抵抗を小さくして水の通りを良くしている。大きい気泡は詰まりにくく、長期間、濾過面積として機能すると考えられる。これは、少ない量で多くの表面積がほしい家庭用濾過装置に適している。

 しかし、これをそのまま使えばウールマットのようにすぐ目詰まりを起こすことは容易に推測できた。そこで、適当なサイズに角切りしたのである。こうして、「洗車スポンジ濾材」は誕生した。

 

 スポンジ濾材を検討しているとき、ADAから同様の濾材が市販されているのを知った。この濾材ももちろんいい物だが、私の見立てでは気泡のサイズが大きすぎ、どちらかといえば、プレフィルタ用に近いし、価格も問題だった。

 ただ、当初は私も「スポンジ」というイメージから来る安っぽさと脆さから、あまり期待していなかった。この時点で、洗車スポンジが濾材に使えると主張しても、「ふーん、そうかもしれないね」で終わっていたと思う。当時、一般に入手できる角切りしたスポンジ濾材といえばADAのバイオキューブくらいしかなかったし、スポンジを濾材として積極的に使おうと考える人も少なかった。

 

 ところが、実際使ってみるとなかなか具合がよろしい。亜硝酸の濃度はわずか2週間で下がり、従来言われていた1ヶ月という目安が半分に短縮された。それに、これまで確認が難しかったバクテリアの定着度合いが、臭いと色の変化ではっきりと確認できるのは、新しい発見だった。これは、黒っぽいスポンジ濾材を使っていては、決してわからないことである。こういうことは、実際やってみることが重要だ※。
 それから、本格的に耐久性試験、最適なカットサイズの検討、長期運用試験を経て、濾材として十分使えることを実証し、現在に至る。

※通常、新しいアイデアが世に出て広まると、それを妬んで根拠のない批判をしたり、「似たようなものが、過去にもあった」「私は、前からそれを考えていた」と主張する人が現れる。前から知っていたのなら、なぜ行動しなかったのだろう。

 

  当サイトでは、洗車スポンジ濾材のことを、しばらくの間「オリジナル濾材」と書いてきた。10mm程度に角切りカットしたスポンジ濾材の商品は、ADAから既に出ていたから、それ自体はオリジナルではない。では何がオリジナルかといえば、「洗車用のスポンジが、濾材として使えることを見いだした」ことだけである。

 この濾材の最大のメリットは、圧倒的な低コストにある。これだけ普及したのも、安いからだろう。目下の欠点は、カットに手間がかかりすぎる点だ。ただ、アクアリウムは趣味なのだから、自分の水槽で使う最も重要な部分を、せっせと手作りするのも、愛着が沸いていいかもしれない。

続き>>洗車スポンジ濾材12

 

<参考購入先>
濾材一覧 能力と価格は関係ありません
スポンジ系濾材

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