子々孫々まで祟る?~ALC外壁住宅の知られざる欠点

 ALC(発泡コンクリート)は軽く断熱に優れた建材だが、脆くて欠けやすく水が染みこむ欠点がある。ALCを外壁に使って家を建てると、どのような問題が起こるのか。これを整理してみた。

 

ALCは先々までメンテナンスコストがかかる

 ALC自体は丈夫で劣化しない材料だが、水が染み込む。外壁を作るハウスメーカではこの欠点を塗装と目地でカバーしている。つまりALC外壁の性能は、塗装と目地、つまりゴムや樹脂によって支えられていると言っていい。

 サイディングは塗り替えをサボっても汚くなるだけ。ひび割れしたり、目地が劣化して水が入っても、内側に空気層があるので直ちにどうこうならない。しかしALCはそうはいかない。

 ALCの外壁の内側はすぐ断熱材なので、水の侵入は絶対許されない。防水は塗装の皮膜と目地にかかっている。

 そこで、塗装と目地の劣化を防ぐために定期的な塗り替えと目地の補修が不可欠になる。しかも、その費用がかなり高い。

 従い、いったんALCで家を建ててしまうと、それが存在する限り、延々塗り替えと目地の補修を続けていかなければならない。

 親がALCの家を立てても35年くらいで躯体がダメになればあきらめがつく。しかし、へーベルハウスの場合は駆体の耐久性が60年と長いため、子世代にも維持費がのしかかる。

 

ALCに水が入って凍るとヒビ割れする?

 そんな噂が流れているが、一度染み込んで凍ったくらいでは何も起こらないはず。しかし凍って解凍されて、凍って解凍されて・・というサイクルを繰り返した場合は、何も起こらないとは言い切れない。

 たとえそれで割れるとしても、それが起こるのはメンテをサボって水が染み込んで、それが冬に起きて、それが何年も繰り返された場合の話。塗り替えなどのメンテを続けている限り、実際に起こる可能性は、ほとんどないと考えられる。

 

外壁のひび割れはどうして起こるのか

 実際コンクリートの外壁にひび割れをみることがある。これは水が入って凍ったとかではなく、日夜の冷熱サイクルによる建物の繰り返し変形、建物の経時的な歪や変形などによって生じた力が外壁にかかり、材料の限界を超えてバキ!となったのだろう。

 「変形は目地のコーキングで吸収するから大丈夫」といえるのは平坦な部分のみ。ひび割れは力の逃げ場が少ない角の近くで起こりやすいようだ。

 

ダインコンクリートは大丈夫か

 ALCと似た商品に、積水ハウスのダインコンクリートがある。これは独立気泡に近いから水が染みにくい。それと、外壁と断熱材の間に通気層があるから、ALCほどメンテに気を使う必要はなさそうだ。

 しかし、外壁の構造には疑問な点が多い。特に気になるのは、外壁側に防水シートがない点と、室内から石膏ボードにビスを打つと防湿層に穴があいてしまう点。

 

結論~コンクリート系の外壁は避けた方が無難

 いずれにせよ、硬くて変形しにくいコンクリート系の外壁は、ひび割れする可能性が高い。そして、ひび割れすると水が容易に入り込んでしまう。従い、この手の外壁は避けた方が無難というのが私の考えだ。

 

結局外壁は何がいいのか

 まずはごく一般的なサイディングを候補に入れたい。我が家は新築するときにいろんな外壁材を検討してケイミューのセラ(サイディング+セラミックコート)になった。

 サイディングは木の繊維くずをセメントで固めたもの。水は僅かに染みるが、ここで防水を保証するわけではないので問題ない。問題は美観の維持だけだが、ケイミューのセラは10年余裕で持つことを確認している。

※:昔は「セラ」「光セラ」の2種類ありましたが、2018年のラインナップに「セラ」はなくなりました。

 

ケイミューのセラで作った外壁 10年目の様子 10年になる我が家の外壁(ケイミューのセラ)。何も触っていないのに綺麗なまま。チョーキングも見られない。

 メーカーに聞くと、セラミックコートは表面が風化すると親水性が生まれ、光触媒と同じように汚れにくくなるという。これなら光触媒は必要ない。

 

 サィディングはデザイン豊富だが、廃番になると同じものが入手できない。変わったものを注文すると補修の時困るので注意したい。

 

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<改訂履歴>
2018/1/19 ケイミュー セラの外壁写真を追加しました。