クルマの究極ボディケア2~ワックスをかけると塗装が痛む

ボディケアの究極は、「何もしないこと」だと、2年前にこちらで紹介した。しかし未だに多くの人が「保護」を目的にワックスやコーティング剤を一生懸命塗っているようだ。そこで今回は、これについてもう少し補足しよう。

 

塗装の劣化要因

 ボディケアが問題になるのは、結局のところ青空駐車などによってクルマが汚れるところに発端がある。青空駐車の場合、ボディを痛める要因には次のものがある。

鳥のふん、虫痕
酸性雨
紫外線
鉄粉

1 は即取り除かないとマズいが、最近の塗装は優秀であり、あとのものはそれほど大した被害を受けない。上記以外にもタール、ピッチがあるが、これらはむしろ保護の役目を果たす。

ところで、世の中には、これらよりもはるかにボディを痛める要因がある。それが次のものだ。

石油系溶剤
合成界面活性剤

1 はコーティング剤やワックスに含まれ、2はワックス、カーシャンプー、水性のツヤだし保護剤等に大量に含まれる成分である。これ以外にも、およそケア用品と呼ばれるもののほとんどが、これらの成分を含んでいる。これらは人間が塗らない限り、決してボディに接触することはない化学物質である。

 

カーシャンプーやワックスの弊害

 カーシャンプーを使って洗車すると、界面活性剤が残留して塗装を侵食し、シミやクレータを作るという。これは、「水洗いの不十分」によって起こるといわれる。だとすれば、どうしたら十分な水洗いをチェックできるのだろうか。合成洗剤で手を洗った時のことを思い起こして欲しい。泡は洗えばすぐに流れるが、ヌメリはなかなか落ちない。食器の場合も同様で、一時期洗剤の残留濃度が問題になったように、どんなにすすぎ洗いしても残留をゼロにすることは困難である。これは、界面活性剤が物体に強固に吸着する性質をもつからだ。カーシャンプーも同じように、泡はすぐに落とせても塗装に吸着している残留成分を完全に落とすことは難しい。多くの人が、泡が見えなくなったところで「水洗い完了」と判断しているのではないだろうか。

 ワックスやコーティング剤に含まれる石油系溶剤は、灯油とほぼ同じ成分である。灯油をボディにぶっかけてそのまま放置する人はいないだろう。しかし、コーティング剤やワックスを塗るのは、これにほぼ等しい行為だ。溶剤の害に比べたら、酸性雨などミネラルウオータみたいなものである。

 カーシャンプーやワックスに害があるといっても、その程度は小さいし、問題が起こらないケースもある。例えば、洗車が数ヶ月に一度だったり、ワックスを頻繁にかける人でも、ガレージを持っていて紫外線にさらされない保管状況であれば、問題が起こる可能性は低い。結局この問題は、青空駐車の環境で、過剰な手入れを長期間続けることで起こる
 手入れの好きな人は毎週一生懸命ボディを洗い、ワックスをかけている。界面活性剤を塗ったところへワックスを塗ると、それがワックスの内側に封じ込められてしまう。この後ガレージ行きなら問題ないが、屋外だと紫外線が当たることで劣化が促進されるようだ。結局、洗ったりワックスを塗る回数が多ければ多いほどボディは痛み、気が付いてみればクレータだらけという悲劇が起こる結果になる。

 ワックスの主成分、ロウに保護効果があるのは確かだが、それは、「ナマ」で使った場合の話だ。ワックスを塗りやすくするために使われているこれら添加剤は、本来の保護作用をはるかに上回る害をボディに与えてしまう。結局ワックスも水性ツヤだし保護剤同様、その効果は「ツヤ出し」だけであり、これと引き換えに相手を劣化させる「ツヤだし劣化剤」だ。

 

天然のコーティング膜に注目する~青空駐車でクルマを長持ちさせようと思ったら、汚れを味方に付けよ

 青空駐車のクルマを洗車しないで放っておくと、表面に薄い汚れの皮膜、「天然のコーティング膜」が出来る。何もしないメンテ法案では、この皮膜を利用する。この皮膜は次のような特性を持っている。

ほとんどの成分が塗装に対して無害である
不透明であり波長の短い光を吸収しやすい(紫外線を通しにくい)
酸性雨の害が軽減される(濃縮される際、汚れに含まれる有機物が先に犠牲になり塗装へのダメージが軽減)
完全な親水性がある(水玉のレンズがまったく出来ない)
除去しても自然に皮膜が復活する(自然に汚れる)

ツヤは期待できないが、保護作用は、ヘタなコーティング剤以上である。あるメーカが、ウオータースポットを再現しようと、何ヶ月も屋外に放置したが、なかなかできなかったという。これも、上記の保護作用で説明できよう。

 汚れの被膜はほぼ完全な親水性があり、水膜が薄く広がって乾燥時間が非常に早い。これは、部分的に汚れを洗浄した部分に同じように水をかけて比較すると、一目瞭然である。中途半端な親水は害になる。大きな水の塊が出来て、乾くのに時間がかかり、濃縮される残留物の濃度も高くなってしまう。ワックスをかけたクルマは、雨が降る度に水滴をふき取らなければ塗装にダメージを与える。しかし、汚れの皮膜があればその必要がない。
 汚れの皮膜は無機の土ホコリに由来するものが多く、それ自体は無害である。ただ、工業地域が近いと、塩や酸が付着する場合があるが、微量なため、溶剤や界面活性剤に比べれば害は少ないのではないか。気になる人は、新車のうちにプロのコーティング※をしておくと良い。

※世の中いろんなコーティングがあるが、成分や能書きは無視してよい(実際、どれも大差ない)。耐久性や性能に最も効くのは被膜の「厚み」である。出来るだけ厚い被膜を作るものを選ぶことが重要だ。
何もしないといっても、鳥のふんや、虫痕だけは、直ちに除去しなければならない。そのためにトランクに水を入れたペットボトルを常備しておけば十分だ。

 

何もしないメンテ法案に適した塗装色

 こういうボディケアが成立するには、クルマの方が汚れが目立たない色である必要がある。メタリックシルバーやメタリックグレーは目立ちにくく、お勧めだ。黒やグリーン、青などの濃い色は汚れが目立ち、青空駐車では一週間で見るに耐えない見栄えになる。こういう色は紫外線による退色や老化も早く、手入れしなければ擦り傷が目立つようになり、手入れをすれば劣化を促進するという悪循環に陥る。濃色車は、青空駐車には向かない色だ。
黒塗りの高級車は金持ちの車というイメージがあるが、濃色の高級車をつねにピカピカのまま乗れるのは、やはり屋根つきのガレージを持っていて、手入れを他人任せにできる人、つまり金持ちだけに許された色なのだろう。

 

最後に

どんなに一生懸命洗車しても、他人が感心してくれるケースは少ない。洗車も結局は、自己満足である。

 

続き>>クルマの究極ボディケア3

 

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