クルマの究極ボディケア3~従来の常識は正しいか

 みなさんは、カーシャンプーやワックスを使って手入れをすればするほど、塗装が痛む」 と聞いたら、どういう反応をするだろうか。「そんなこと言うヤツは、聞いたことがない」「手入れをしない方が、痛みも早いに決まってるだろう」などの声が返ってきそうだ。

 

 長い間、常識と考えられてきたことが間違いで、実は逆効果だった、という話は、ままあることだ。「手入れをしなければ、痛みも早い」といのは、誰か確認した人はいるのか。この論理はわかりやすいから、皆が「その通りだろう」が思って疑わなければ、間違いは永遠に訂正されないままになる。

 現在、クルマの手入れを扱うほとんどの記事が「汚れを放置するのは悪い」とし、こまめなケア(カーシャンプー&ワックスがけ)を勧めている。つまり、塗装の劣化を防ぎ、長持ちさせたいのなら、

「こまめに洗い、月に一度はワックスをかけなさい」

というのが今時の常識だ。そのための、「洗車のコツ」なるものを書いた書き物は山ほどある。

 カーシャンプーやワックス、水性ツヤだし保護剤など、ケア用品の害について主張する人はほとんどいない。こういう趣味の世界には専門家が少なく、素人だけで集団を作るケースが多い。そこでは技術に無知なライターが幅をきかせ、おかしな常識や宗教がまかり通ることが多い。世の中にはそんな商品が多いが、業者に責があるわけではない。業者は、それが良かろうが悪かろうが、単にユーザーに迎合した商品を作るだけ。

 

 なぜこんなことを言い始めたか。それは、私がこの常識と矛盾する経験をしたからだ。

 私は過去、毎週カーシャンプーをかけてクルマをせっせと洗い、1ヶ月に一度、ワックスなりコーティング剤を塗布していた時期がある。他人が見たら、それこそ「病的」と思われるくらい、クルマを一生懸命手入れしていた。ところが、1年も経つと、ボディにクレータがたくさんみられるようになり、ワックスがけの度に、この窪みが目立ってふき取りが大変だった。特に、プラスチック製のエアロパーツ(リアウイング)のクレータがひどかった。ゴム製モールにもクレータが出来、爪でボロボロと崩れた。4年もすると、樹脂製のエアロパーツの塗装に深刻な問題が生じた。塗装が剥げてきたのだ(プラスチック製のパーツはボディより塗装が弱い)

 同年式のクルマを駐車場でみかける機会もけっこうあった。塗装やゴム部品の劣化に悩んでいたから、他車のコンディションには興味があった。

「私ほどマメに手入れする人は少ないだろう、私のクルマがこんなにひどいのなら、他のクルマはもっとひどいに違いない」

 そう思って他人のボディを観察してみると、期待は裏切られた。それほど手入れしているように見えないのに、クレータなど塗装の問題がほとんどなく、プラスチックやゴム部の劣化も明らかに少なかった。5年目の車検の時、ディーラから借りた同年式の代車を見たときが最もショックだった。手入れを手抜きされてきたこのクルマの方が、ずっとコンディションが良かったのだ。そこで、この差はいったい何が原因だろう、と考え始めたのだ。

 

 ボディに付着する汚れをそのまま放置しておいた場合、どのような不都合があるだろう。そもそもボディに付着する汚れは、無害な物と有害な物の2種類に分かれる。汚れ成分の大半は無機の土埃であり、これは取り除かなくても何の問題も起こらないことは想像できる。 それ以外の有害成分は微量だし、汚れの皮膜も雨が降る度に剥離し再生を繰り返すから、それほど問題になるようにも思えない。鳥の糞や虫痕だけ注意してこまめに取り除いてやれば、問題なく維持できるはずだ。ひっとしたら、青空駐車においては、これは究極かもしれない。これを、「何もしないメンテ法案」と名付け、実際に取り組み、実証したのが次だ。

 下の写真は自分のクルマを使って「何もしないメンテ法案」でそろそろ5年になるトランク上面部とそれにつながるエアロパーツの塗装部分(R34スカイライン)。

最も痛みやすいトランク上面とリアスポイラーの部分。 R34tosou2

最も痛みやすいトランク上面とリアスポイラーの部分。時計はリアスポイラーの上に置いてみたところ。表面がまだらに見えるのは雲が映り込んでるため。

R34tosou3 R34tosou4

 夜中に懐中電灯で表面を照らしたところ。普通なら5年も経てば光源の周りにクレータやヘアスクラッチがたくさん見えるところだが、注意深く観察しても、クレータはおろかスクラッチ傷も見当たらない。

 

 洗車は年に1回するかどうかで去年はとうとう一度もしなかった。水洗いして表面の汚れ被膜を取り除いてからいろんな角度からライトを当てたり、ルーペで観察してみたが、ウオータースポットはおろか、スクラッチ状の小キズも探すのが困難なくらい。新車の塗装は「ゆず肌」と言われるわずかな凹凸があるが、これがそのまま残っている。

 ただ、問題が無かったわけではない。時計の映り具合からすると、表面が荒れてざらざらした感じがするし、ツヤも減っている。この程度の劣化は、屋外ではやむを得ないようだ。リアウイングとトランクとの継ぎ目が少し黒ずんでいるが、これは「カビ」。そのほか、藻類が付着した部分もある(カビと藻類についての予防策は後述のリンク参照)。

 

 世間では、「汚れを放置するのは悪い」と言われている。確かに、何もしなければクルマは汚れていく。しかし、それが劣化に結びつくかというと、必ずしもそうはならない。鳥の糞など、有害なものだけ取り除いていいれば、劣化はほとんど進行しない。こまめに洗車&ワックスかけをすれば、クルマはいつも綺麗だろう。しかし、劣化は確実に促進されてしまう。

 

(2006/10/29補足)  新車から6年目を迎え、ボンネット、天井、トランクの上面をミガキに出したところ、新車を超える鏡面になった。以前、R32をミガキに出したときは、クレータが深くて取りきれず、残念な経験をしているだけにとてもうれしい。

続き>>クルマの究極ボディケア4

 

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