接点にオイルを塗ると、接触が悪くなるか

これまでコンタクトオイルの有効性を述べてきたが、電気接点にオイルを塗ることに抵抗を示す人は多い。そんな人は大抵、

「オイルは絶縁物だろ? 接点にオイルを塗れば、余計接触が悪くなるに決まっている」

という意見である。オイルを塗った場合の接触抵抗に関しては、こちらに実測データを示してあるが、接触圧によっては確かに絶縁になってしまう場合がある。これは、次のグラフをみればわかるだろう。

contactgrph

このグラフは、接触圧と接触抵抗の関係を示した模式図である。オイル接点と乾式接点の違いをよく見てほしい。オイル接点の場合は油膜が切れるポイントがあって、接触圧がそれ以下だと接点間に油膜ができるため絶縁になってしまう。このポイントは、表面粗さやオイルの粘度によって異なるため一概には言えないが、一般に表面が平滑なほど、オイルの粘度が高いほど、このポイントは高い。スクワランオイルとRational001(フッ素オイル)では、後者の方が粘度が高いので、接点を守る力が強いかわりに、接点不良が起こる可能性も高い。

ところが油膜が切れるポイント以上の接触圧をかけると、乾式よりずっと低い接触抵抗で安定させることが出来る。

通常、接点の表面は酸化皮膜や汚れで覆われている。接点同士を押し当てるとこの皮膜を突き破り、導通が得られるしくみだ。
乾式の接触抵抗が高いのは、接触によって新しい金属面が露出しても、空気に触れることで直ちに酸化皮膜が形成される為と考えられる。それに、乾式接点では時間とともに腐食が進行し、接触抵抗が次第に上昇する。振動が伴うと磨耗粉が発生してさらに接触が悪化することがある(フレッチングコロージョンという)。
ピンコードや電源ケーブルを交換することで、音が改善することに関する最も有力な説明は、接点を抜去することで、上昇していた接触抵抗がリセットされる為である。

防錆効果のあるオイル接点ではこのような問題が起こりにくく、長期的に接触抵抗を安定化させることが可能だ。コンタクトオイルはすべての接点に使えるわけではないが、上記のような性質をよく理解し、上手に使えば、接点のメンテナンスをフリーにできる有用なアイテムである。

 

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