インクジェットプリンタの選び方~エプソンのプリンタは買ってはいけない

 私は以前エプソンのプリンタを買い繋いでいた。ところがヘッドが頻繁に目詰まりした。ヘッドクリーニングによって沢山のインクと紙、時間が無駄になった。

「何度クリーニングしても目詰まりが直らない」
「なかなか印刷が始められない」

この精神的なストレスは相当なものだった。

 

 エプソンのランニングコストはきわめて高かった。印刷で消費するインクよりも、クリーニングで失われたインクの方が多かった。新品のインクを装着してクリーニングしているうちに1本まるまる空になったこともあった。

 取説をみると、一定回数やって目詰まりが直らない場合は修理に出しなさいとか、非現実的なことが書かれていた。いますぐ印刷したいのに、修理に出してるヒマなどないのだ。

 この問題に嫌気がさして捨てることにした。捨てる前に本体を分解してみて驚愕した。内部にはクリーニングで捨てたインクを吸い取るためのフェルトが大量に仕込まれ、そのほとんどが捨てられたインクで染まっていたのだ。

 

エプソンのプリンタの中にあるインクを吸い取るためのフェルトの様子 エプソンのプリンタの内部。大量のフェルトが見える。手前の4枚は捨てられたインクで染まっている。これらは元々は白いもの。左上には端だけ染まった白いフェルトがみえる。

 

私はこれを見て「エプソンのプリンタは二度と買わない」そう心に決めた。

 

高く買わせたインクをできるだけ速く消耗させる

 特定の色で生じている部分的な目詰まりを改善するためにクリーニングを実行すると、すべてのインクが同時に減る。それも結構な量を消費するようだ。そのため、クリーニングの回数を制限するよう、注意書きがある。

 プリンタを安くする代わりにインクで儲ける。それはいいとしても、高く買わせたインクを無駄に消費させる仕組みを作るのは、やりすぎではないか。

 

色数を増やして消耗を加速させる

 最近のプリンタは色数がやけに多い。

 カラー印刷は黒、シアン、マゼンダ、イエローの4色あれば十分である。階調をよくしたいなら「白」を追加すればよいし、「オレンジ」はマゼンダと黄色から作れるので本来要らないものだ。

 色数が増えるとカートリッジ1個あたりのタンク容量が小さくなるのですぐインクがなくなる。そんなタンクが沢山あると、しょうっちゅうどれかの色を交換することになる。ユーザーに与えるストレスは相当なものになるはずだ。

 

ヘッドを詰まらせて本体を買い換えさせる

 毎年年末にかけてプリンタの需要が高まる。去年使ったプリンタを押入れから引っ張り出してきた人は、ヘッド目詰まりを経験すると思う。

 半年使わなかったヘッドの目詰まりは、クリーニングを試みてもなかなか改善しない。そこで修理に出すか、買い換えるかの選択を迫られる。

 プリンタのモデルチェンジサイクルは6ヶ月とハイペースなので、この頃には新しい商品が安く出ている。修理代の見積もりを見て、買い換える人も多いと思う。

 しかし翌年同じ目に遭うのは目に見えている。毎年、年賀状を印刷するたびにプリンタを買い換える事になっている人は、メーカーの選択を間違えたと考えたい。

 

参考にならないカタログの「ランニングコスト」

 プリンタのカタログにはランニングコストが載っているが、この計算にはクリーニングで失われるインクや紙が含まれていない。

 最近の機種は目詰まり防止のため、定期的に自動クリーニングするから、プリンタを使う使わないに関係なくインクは無くなっていく。

 これらを含めないと、本当のランニングコストはわからない。下手をするとクリーニングで失われるコストの方が高いかもしれない。

 

「互換インクを使わせない」対策のイタチごっこ

 メーカーではお客様に「互換インクを使わせない」ために様々な工夫をしている。

 ICチップで管理するなど対策してもすぐに回避され、イタチごっこになっているようだ。そもそも互換インクを使わせない仕組みはメーカの都合にすぎない。

 対策にコストがかかれば、ただでさえ高いインクがさらに高くなる。するとユーザーはますますインクを節約し、互換インクを探す行動に出るのは明らかではないか。

  保証期間内は純正インクを使う人でも、保証が切れたら互換インクを使うだろう。互換インクにリスクがあるといっても、3~4回無事に使うだけで修理代のモトが取れるからだ。

 

結局お客様は「養分」か

 プリンタメーカはどこも消耗品ビジネスを展開している。本体は驚くほど安く、インクは相変わらず高い。その高いインクを、できるだけ速く消耗させる仕組みを設けて売る。

 一説によるとインクは血液より高価という。「インクの一滴は血の一滴。お客様の貴重なインクは僅かでも無駄にしない」そんな姿勢で商品を作るのが本当ではないか。

 結局このビジネスは、「プリンタを買ったお客から如何に効率よくお金を吸い取るか」に重点を置き、計画された仕組みに見える。

 

第三の選択肢(2018/11/17追記)

 家庭用のプリンタを作る国内メーカーといえば、エプソンとキャノン。ところが近年、そこにブラザーが参入した。

 どんなプリンタなのか。試しに買ってみた。

ブラザーのプリンタ複合機 MFC-J825N(2012年購入)

 2012年に購入したブラザーのMFC-J825N。FAXが自宅の固定電話と唯一まともに連携機能することで選んだ。ヘッドの目詰まりは一度も経験していない。

 インクが無くなった空タンクをみても、最後まで使い切っているような印象。

 

 6年経った今も快調で、よくダメになる紙送りも問題ない。何度かお世話になったサポートの印象も良かった。

 後発だけあって、他の2社とは少し違う姿勢に見える。故障の際は、「有償アップグレードサービス」という後継機が安く買える制度も用意されている。

 

インクジェットプリンタの結論

 プリンタという商品は、本体を安くしてインクを高く設定し、消耗品で儲けている。しかし高く買わせたインクの消耗を早める仕組みを設けるのは「やりすぎ」ではないか。

 エプソンもキャノンも似たようなもの。今後は第三の選択肢、ブラザーの動向に注目していきたい。現在、最もお勧めできるメーカーの一つである。

 いずれにしても、私がエプソンのプリンタを買う事はもう二度と無いだろう。「エプソンのプリンタは避ける」これが私の行動指針に追加された。

 

<参考購入先>
お勧めのプリンター 近年はブラザーがお勧めできます

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