新築リスニングルームの設計~可動間仕切りを活用した理想設計の例

新築を機にリスニングルームを持ちたいという人も多いと思う。お金が豊富にあればオーディオ専用ルームを作れるかもしれないが、大抵は旦那の趣味だけのためにオーディオ&シアター専用の部屋を作ることは難しいはずだ。第一、奥様が許さないだろう。

しかしあきらめるのは早い。一つだけ妥協すれば、十分な広さの理想的なオーディオ&シアタールームを実現することが可能だ。妥協とは、「子供部屋と兼用」することだ。

子供部屋は必要なものだが、長いライフステージの中で実際にそれを使う期間は短い。子供が小さいうちはまず使わないし、就職、結婚等で出て行けば空き部屋になってしまう。人数分の子供部屋を作っても、空き部屋になる期間が長く無駄になることが多いのが実態だ。そこで、最初は1部屋のオーディオルームとして使い、子供部屋が必要になった時点で2部屋に間仕切って使う形にする。

これを実現するには、広い長方形の部屋が一つ必要になる。子供部屋1つに6畳とると最低でも12畳はいる。この場合、短辺で3.6mとれるとベストだ。部屋の最適寸法比は諸説あるが、基本的にはお互い割り切れない数字であればそう問題ないはずだ。

リスニングルームで最大の課題が「残響時間」と「定在波抑制」の両立だ。残響時間は音の「潤い」を得るための重要スペックといわれる。この課題は平行な壁面をすべて無くせば達成するが、一般家屋では難しい。現実には残響時間と定在波がトレードオフになってしまう。

「間仕切り」するという前提で作るリスニングルームでは間仕切り壁が必要になる。これを利用すれば、困難だった「残響時間」と「定在波抑制」の両立が出来るようになる。 具体的には、次のようにする(PAT.Pend)。

 

  1. 「可動」間仕切り壁を反射板として利用する
    間仕切りに分割して取り外し自由になる壁(フリーウォールなど)を用いる。1部屋で使うとき、分割した壁を部屋の長手方向の壁面に寄せて固定し「反射板」にする。
  2. 天井を「天井勾配」に沿って傾斜させる。
    定在波抑制のために最も大きな床との平行面を無くす。中央で2.7m、最大で3mとれればベスト。
  3. 部屋の長手方向の一面に2.4mくらいの高さで250~300mm程度の出っ張り(水平リブ)を設ける
    間仕切り壁を固定するために使う。壁を少し傾斜させて水平リブに対し突張り固定する。
  4. 部屋の中央に間仕切り壁固定のための梁もしくは三角リブを作る
    部屋を2つに分割して使う場合に間仕切壁を固定するためのリブ。
  5. 部屋の4隅に低音を吸収するための穴あきボードを設置する
    定在波を抑制するための吸音構造。部屋の4隅を床から天井まで穴あき吸音ボードにする。4隅に作るのは、ほとんどの固有振動モードで隅に「腹」が出来るためだ。穴あきボードは一種のヘルムホルツ共鳴器だが、壁内にグラスウールを充填することで幅広い低周波を吸音できる。

次の図はその実施例。1部屋で使うときは14畳ある。

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図のようにすると部屋に平行な反射面はほぼなくなる。前後の壁だけが平行になるが、距離が遠いので家具類による減衰が効いて問題ないだろう。ドアは2枚あるが、1部屋で使うときは1枚をフリーウォールで塞いで遮音性能を高める。

ホームシアターを計画する場合はスピーカケーブルを予備配線しておくといい。ナショナルに壁埋め込み型のSPターミナルがあるのでこれを使うと便利だ。以上により、十分な広さを持った理想に近い音響空間を一般家庭でも実現できる。これは実際に計画中なので、順次記事にしていく。

 

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