間違いだらけのスポーツカー選び~速度やパワーの延長に走りの楽しさは無い

 スポーツカーを作る目的は、それを買った人に「走りを楽しんでもらう」ことに違いない。そのためにクルマに要求される事項は以前書いた(後述のリンク参照)。今回は、世間でよく話題になる動力性能について少し補足したい。

 

スポーツカーのパワーはどのくらいあればいいか

 スポーツカーというと、GT-Rやインプレッサ、ランエボといった「大馬力」のクルマを連想し、それに憧れる人が多い。スポーツカーを求める人にとって、これらは適当な選択とはいえない。とはいえ、これらのクルマで体験できる「強烈な加速を一度味わってみたい」、そう思う人もいる。この場合、他人のクルマで体験させてもらうといい。パワーは飽きやすく、強烈な加速も一度体験すれば十分なことが多い。
 加速には「程度」がある。少ないと「つまらない」し、強すぎると「不快」で、その間に「心地よい」領域がある。つまり、心地よい加速を得るための動力性能は必要だが、それ以上の性能はレースでもしない限り無駄といっていい。
 心地よい加速が実現できるミニマムの動力性能(排気量/車重)には一定の法則があり、私の経験上1.3だった(詳細な検討結果を示した、後述のリンク参照)。この条件を満たすクルマからは「思い通りにクルマを操る楽しさ」が得られる。
 また、排気量/車重の関係には旋回方向の慣性モーメント(≒車重)で決まる上限がある。経験によれば1.35トン。直進加速はパワーで伸ばせるが、運動性(曲がり、止まり)は、パワーは関係せず車重で決まっている。重いクルマはどんなにパワーがあっても「重ったるい」感覚が伴い、楽しくない。
※クルマの重さを最も実感させるのは、駐車スペースに停めるときだ。どんなにパワーがあってもこのとき重たい感じがする物は、スポーツカーの楽しさは望めない。

 

ターボ、NA どちらがいいか

 同一車種でターボとNAが用意されている場合、多くの人が選択に迷うだろう。ターボの場合、普通の乗り方だと概ね2500回転以下ではブーストが利かず、同排気量のNAよりパワーが落ちることを知っておいてほしい。最近はごく低回転でピークトルクを発揮するものがあるが、これも実際にターボが効くのは2500~3000回転からだ。
※ATはスポーツカーに適さないが、ターボにATを組合せるとトルコンのトルク増幅作用により低回転の問題がある程度カバーされる。
 従って、ターボとNAの選択は、2500~3000回転より上か下、どちらを重視するかで決まる。具体的には、回転を落とさずに走れるケース(高速道路など)で楽しめるのはターボ、3000回転以下を多用する街中やワインディングではNAが有利な傾向がある。NAは非力では?と不安に思うかもしれないが、上述した動力性能の基準を満足していれば「非力でつまらない」結果にはならない。
 同じターボでも小さい排気量で大馬力を絞り出す高圧縮ターボは避けたい。こういうクルマは低回転トルクがスカスカな上、燃費も悪い。燃費を気にして3000回転以下で走ろうとすると軽やコンパクトカー並みのパワーフィールになってしまう。VTECなどの超高回転型エンジンも同様に低速トルクが細い欠点がある。

 

 優れたスポーツカーは、走り出した瞬間や、ごく低速から運転操作そのものを「楽しい」と感じさせてくれる。「速さ」「パワー」といったものは、スポーツカーの一部に過ぎず、過剰なパワーを求めると快適性や操作フィールなど、走りを楽しむために必要な多くが犠牲になる。速度やパワーの延長に走りの楽しさは無いことを知っておいてもらいたい。

 

<関連商品>
スポーツカー関連書籍 これらのレビューやスペックが参考になります
人気のカー用品
アマゾンの中古車 クルマも通販で買える時代です

<関連記事>
スポーツカーの選び方
失敗しないクルマの選び方~皆が知らないチェックポイント