新築リスニングルームの設計2~残響時間の設計

前回の記事で勾配天井と可動間仕切りを使うことでリスニングルームに適した拡散音場が実現できることを述べた。今回は、「残響時間」について考えてみよう。

リスニングルームに適した残響時間は諸説ある。加銅 によると12畳で0.50Sec、20畳で0.55Secを奨励しているが、これも好みの問題といえる。なお、この残響時間は500Hzの規定であり、周波数別にも考えなければならない。これについても諸説あるが、低周波のこもりを防ぐため500Hz以下を-0.05Sec/octで減衰させ、500Hz以上はフラットとする設計例がある(最新 オーディオ技術 P290)。

残響時間Tは下記に示すアイリングの式で計算可能だ。

T=0.162V/(-S・Ln(1-α)) (Sec)     (1)

V:室容積(m3)、S:室内表面積(m2)、α:平均吸音率

吸音材の「吸音力」は、吸音材の吸音率×施工面積で決まる。オクターブバンド別に使用する吸音材の総吸音力を求めてSで割ることで平均吸音率αが求められる。あとは(1)式の結果が目標残響時間に近づくよう、吸音材の種類や施工面積を調整すればOKだ。

実例を示す。下記のグラフは、前回図案を示した計画中のリスニングルームに関する検討結果だ。残響時間は500Hz以上が0.55Sec、500Hz以下で-0.05Sec/octを目標値としている。

kyuuongrph

この特性を実現するために、穴あき石膏ボード(φ6、ピッチ22 タイガートーン)を 36m2、ダイケンのコンサート(TA2711)とボーダ(TA2713)をそれぞれ8.5m2、7m2用いればよいことがわかった。「音響用」に作られた高額な材料を使う必要はなく、材料の特性を上手に利用することで、低コストで理想的なリスニングルームを作ることが可能だ。

 

<関連商品>
吸音材一覧
リスニングルームの関連書籍
リスニングルームの設計と製作例 加銅鉄平著

<関連記事>
リスニングルームの関連記事