ルミナスなどのスチールラック・メタルラックを錆びないようにする

 錆びて破棄されるルミナス写真は10年の検証実験を終え、錆びて破棄することになったルミナス。優秀な商品だが錆びてしまう欠点がある。ルミナスの品質問題を取り上げるとともに、錆止めに有効な方法を見つけたのでご紹介する。

 

 

不良だらけのルミナス

 スチールラックの代表的なメーカに、ホームエレクタールミナスがある。2008年、新築を機に、棚類をルミナスのスチールラックで揃えてみた。以下は購入した商品の一覧。

表1 ルミナス購入品の一覧(2008年5月)

品名 ポール数 棚数
テンションラック(4Set) 4×4=16 7×4=28
5段セット(90×45 2Set) 4×2=8 5×2=10
5段セット(75×45 2Set) 4×2=8 5×2=10
5段セット(60×45 2Set) 4×2=8 5×2=10
ポール単品 2
合計 42 58

 

 表1の通り注文した商品が届き、箱を開けてみてびっくり。多数の不良がみつかった。

 ポールの不良6本(不良率14%)
 打傷、擦傷、端部変形(つぶれ)など

 棚板の不良12枚(不良率21%)
 粉錆び、寸法不良(穴の位置関係がおかしい)、溶接剥がれ、ワイヤー変形など

 
 粉錆はテンションラックのセットに多く見られ、赤さびが吹いている物が1枚、あとは、赤さびの前段階(メッキのピンホールから水酸化物が吹き出し、ざらざらの状態のもの)であった。

 在庫の保管環境が悪いのだろうか。こうなると乾燥剤が必要なように思える。「クリアコート」されて水周りにも安心というが、とてもそんな商品に見えない。

 また、多数の打傷から、ルミナスは製造時の取り扱いが乱雑なことが伺える。

 

問題だらけの梱包

 ルミナスのセット品が届くと、大抵「ガラガラ」いう。開けてみるとシェルフの間に挟んであったスペーサーが脱落していることが多い。

 重量物にしては中の緩衝材が不十分で、ワイヤーの曲がりや溶接の剥がれなど、輸送中に壊れたと見られる不良も多い。

 ポールに関しては不可思議なキズも見られる。縦方向の明瞭な擦で、これは棚を脱着したとき付いたとしか思えないもの。

 

何回交換しても不良品が届く

 不良交換をしても問題ない商品が送られてくるとは限らない。ルミナスの購入は、まるでハズレの多いクジを引くようなもの。何度も交換して、ようやく収まった。ルミナスの品質は、国産製品にしては低い印象だ。

 セット物で不良が混じっていると組立が中断してしまい、交換部品が届くまで物が片づかない。引っ越しのとき、一番困るのがこれ。

 

クリアコーティングだから安心?

ルミナス クリアコーティングの機能マーク ルミナスは「クリアコーティング」という錆対策がされていた。「水回りにも安心」とある。

 半年で錆びだらけになったルミナスPlus(現在廃番)よりマシのようだ。そこで今度は、クリアコート品の標準タイプ(ポール径25mmと19mm)を中心に買ってみた。

 

 

クリアコートが半年で錆びた(2009/4/11)

  購入後半年で錆に強いと称するポールが錆びた。このポールは室内に設置して普通に使っていたもの。「水周りにも安心」というが、とてもそんな用途に使えるとは思えない。ホームエレクタを見る機会があったが、こちらも似たようなものだった。

錆びてしまったルミナスのポール

 


 

独自のクリアコートを施工

 美しいクロームメッキの外観を損なわず、錆止めができないものか。独自のクリアコートを検討してみた。

 「透明な」錆止め塗料を探し求めた結果、新築の床仕上げに使った自然塗料(アルドボス)が使えそうな気がした。これと、エポキシ防錆塗料(ラストボンドSG エヌシー商会)を入手し、この2種類を購入したルミナス(ポール42本、棚板58枚)に塗ってみた。

 

独自のクリアコート施工から6年後(2014/2/16)

 実験開始から6年後、ラストボンドSGを塗ったものだけが錆びた。写真を示す。

 

ラストボンドSGを塗って錆びてしまったポール

 ラストボンドSGを塗ったポールの錆。このようなエポキシ塗料は錆びに対しあまり効果がないことがはっきりした。

 シェルフの方はアルドボス処理。ほとんど錆びていない。

 

ラストボンドSGを塗って錆びてしまったシェルフの様子 こちらはラストボンドSGで処理したシェルフ。ラストボンドSGに錆止め効果がないことがわかった。

 

 

 

 自然塗料で施工したところに錆びは見られず、導入時と変わらない状態を維持している。これ以後、ルミナスなどの屋内金物の防錆を自然塗料で統一した[1]

 

 

独自のクリアコート施工から10年後(2018/4/8)

 

 

自然塗料を塗って10年過ぎたルミナスのスチールラック 自然塗料を塗ったものは問題なし。当初の美観を維持している。 

 

自然塗料を塗って10年過ぎたルミナスのポール 自然塗料を塗って10年過ぎたポール(ラストボンドSGで錆びた部分を捨てるためにバラした後)。こちらも問題は見当たらない。

 これらの結果から、ルミナス(クロームメッキ)の防錆保護処理に自然塗料が有効であることを実証できたと思う。

 

買ったばかりのスチールシェルフに自然塗料を塗っている様子 新しく買ったスチールシェルフに自然塗料を塗っている様子。

 買ったらすぐに塗布することで、クロームメッキの美観を長期間維持できる。この方法を確立できたおかげで、ルミナスを長持ちさせることが可能になった。

(2019/2/11)スチールラックに適した透明自然塗料を調査しまた。現在のお勧めは、(エシャ クリアオイルラピッドになります[1]

 

 

アイリスのスチールラックを買ってみた(2018/6/19)

 アイリスは他社の商品をよく研究し、他社の欠点を自社の利点に転換して売る戦略。スチールラックについては「錆びる」というルミナスの欠点に注目し、錆びにくいことを売りしている。

 

アイリスのスチールラックに自然塗料を塗っている様子

 今回買ったのは120mm5段のメタルラック(SE-1218)2台と、110mm3段のミニ。届いたら早速自然塗料を塗布。これで10年以上錆びないラックになる。

 シェルフには細かい凹凸が多くて塗るのが大変だが、ビニールを敷いた上に裏返しに置き、灯油で2倍くらいに薄めたものをスポンジで塗ることで効率よく塗れて細かい隙間にもよく浸透する。

 

アイリスのスチールシェルフを開封して緩衝材の入れ方を観察した様子

 梱包を開いたところ。スペーサーの脱落は見られず、モノに大きな問題はみられなかった。

 

アイリスとルミナスのスリーブを合わせてみたところ キャスターやスリーブがルミナスと共通して使える。ただしスリーブは同一メーカーのペアに限る。

 写真はルミナスとアイリスをペアにしたところ。メーカーが異なるペアは合わない。

 

 

変わらない品質のルミナス(2018/7/5)

 スズメッキされた新商品「プレミアムライン」とコの字バーを買ってみた。

 

届いたルミナスの段ボール外装が激しく痛んでいる様子

 写真は届いた段ボールの外装。

 こうなってしまうのは、重量物のわりに梱包材の強度が足りないため。これを見て、梱包は未だ改善されてないと思った。

 

メッキが剥がれたルミナスの溶接部 コの字バーの外観。後から溶接を補修したのだろうか?これを良品として出荷する様子からして、交換しても同じようなものが届く可能性が高い。

 品質管理についても、10年前から変わっていないと思った。

 

ルミナス プレミアムラインの打ち傷 プレミアムラインのソリッドシェルフ裏側。棚板5枚のうち、3枚にこれと似た軽微な傷がみられた。ポールにも打ち傷がある。

 ルミナスとはこういうもの。この種の打ち傷を問題にすると、いつまでたっても完成しないのでこのまま受け取った。

 製造時の取扱いが乱雑なことについても、10年前から変わっていないと思った。

 

ルミナス プレミアムラインのシェルフ側面 プレミアムラインは見た目にもハッキリわかる厚手のクリア塗装がされている。

 あとから錆止めに自然塗料を塗ると表面ではじいて水玉になってしまう。

 この商品に関しては、後から錆止めに何か塗る必要はなさそう。錆びに関しては、能書き通りの性能が期待できそうだ。

 

ルミナス プレミアムラインのシェルフ裏側に制振材を貼り付けた様子 スチールラックの問題に音が響くことがある。プレミアムラインのソリッドシェルフは裏側に制振シートを貼って制振しやすい構造なのがうれしい。

 写真はオトナシートを貼ったところ。裏返して足などで踏みつけ、しっかり密着させる。これで響きが抑えられ、静かに使えるものになる。

 

ルミナス プレミアムラインで作ったキッチンラック プレミアムラインで作ったキッチンラック。おや、結構いい。ワイヤーシェフと違って、デザイン的に周囲とマッチする。高価だが、錆びずに長く使えるのなら十分お買い得。

 写真の収納バスケットはメルカドの浅型ケース

 

 

<参考購入先>
アイリス 近年アイリスが錆に強いスチールラックを展開しています(2018)
ルミナス 錆止めが必須です
ROVAL 屋外金物に有効な亜鉛メッキ塗料。これを下塗りして自然塗料で上塗りすれば、水回りだけでなく屋外でも使えるものができそうです

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