ボードアンカーの落とし穴

石膏ボードにはねじか効かないため、多数のボードアンカーが市販されている。そのいくつかを入手してテストしてみた。

ボードアンカーG4
 渦巻き状のネジを切ったプラスチック製アンカー(以後渦巻きアンカー)。手軽なため住宅工事で多用されているようだ。類似商品は多数ある。この商品は中でも最高の引抜強度を誇り、公称55kgf(9.5mm)という。

スリム君(S-2)
 簡単・ローコストなナイロンアンカー。下穴は6mmと小さく、施工後露出するナイロンの頭は目立たない。公称引抜強度28kgf(9.5mm)である。

プロテック PA-409
 金属製のアンカーで裏で傘が開くタイプ。これは樹脂カバーが付いているが、カバー無しのタイプもある。引抜強度は公称46kgf(9.5mm)。ボードファスナーB-409という公称65kgf(9.5mm)の商品もある。

 

ancker2 写真は3種類のアンカーを9.5mmの石膏ボードに施工して裏から見たところ。出っ張りに注目してほしい。金属アンカーは全長が長いので防湿層や断熱材に穴をあけてしまうだろう。

 渦巻きアンカーは施工性が最も良い。この商品は裏側で4ツ割れするはずのモノだが、実際は2ツにしか割れない。

 

 ナイロンアンカーはねじ締めの途中で固くなる手応えがないので、頭がナイロンに到達したところで終わりにする。なおも締込むと、傘が元通り折りたたまれてアンカーを引き抜くことが出来る。
 金属アンカーは途中固くなることで締込みの終わりを確認できる。それでもグイグイねじ込んでいくと傘がボードにめり込むが、多少締めすぎても強度が大幅に損なわれることはない。

 ボードに穴をあけるとすぐ隣に柱や胴縁がある場合がある。この場合金属アンカーは打てないが、ナイロンアンカーはかなり柔軟に対応できる。傘の方向で逃がすことができるし、柱の真上でも打込みOKだ。

ancker3 ボードアンカーの強度は、公称値に対し安全率5倍みろといわれる[1]。これは施工のばらつきや荷重のかかり方などを考慮した結果だろう。実際どのくらい見ておけばよいのかわからない商品が多い。そこでLアングルを使って引抜き試験をしてみた。テコによる力の拡大倍率は3である。実際やってみた結果は次の通り。

 渦巻きアンカー:5×3=15kgf
 ナイロンアンカー:12×3=36kgf
 金属アンカー:20以上×3=60kgf以上(抜けずにアングルが曲がった)

(破断荷重×テコ拡大率=引抜きに作用した引張荷重)

 

実測値がわかったので、これを元に実用荷重を決めることができる。ボードアンカーの実使用荷重は、実測値に安全率を2倍みて、次を目安にすればよさそうだ。

渦巻きアンカー:7kgf (公称55kgf)
ナイロンアンカー:18kgf (公称28kgf)
金属アンカー:30kgf程度 (公称46kgf)

 アンカーの引抜き強度は裏側に開く傘の数およびその長さで決まるといえる。渦巻きアンカーは公称値を大幅に下回るが、食いついている部分の面積を考えれば当然かもしれない。ねじは入口付近に最大の力がかかるので、裏側で少々開こうが、大きく改善するものではない。

 以上を整理すると次のようになる。

 

ナイロンアンカー
 時計、リモコン、額縁などの引っ掛け用途に向いている。少々重たい物(15kgまで)でもOK。材料が弱いため対象物の締付け固定はできない。
 施工に注意がある。まず、頭をボードとフラットに施工しなければならない(私はドライバーの裏側で叩いています)。頭が浮いて隙間が空いた状態だとピンの差込みができず、無理に押し込めば裏側で傘が壊れてしまう。それと、ねじは必ず「全ねじ」を使う。半ねじを使うとねじがある所まで抜けてしまう(ねじはアンカーの入口付近で効く為)。

金属アンカー
 最高の強度と信頼性が期待でき、エアコンなど重量物の取付に適している。施工においては、周囲に間柱、胴縁など障害物が無いことが条件になる。裏側の出っ張りが長いためグラスウールなどの断熱材に穴を開けてしまう。強度が高いと言っても多用はできない。

渦巻きアンカー
 対象物を締付け固定出来る。しかし信頼性が低く強度は施工精度に左右されやすい。軽い物(7kgまで)に限るのが無難。壁に空ける穴が大きいため、必要なくなった際に補修で綺麗に塞ぐことが難しい。強度も弱くあまりお勧めできない。

 

<参考購入先>
ボードアンカー
極細スリムくん 比較的強度が高く万能に使えます
ボードファスナー 金属製アンカーの定番。きわめて高強度でエアコンの固定にも使えます

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<参考文献>
1.かべピタ商品説明 ダンドリビス㈱

 

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