家庭の生ゴミ処理研究~家庭の生ゴミ処理はなぜ普及しないのか

生ごみ処理の動機

 生ごみ処理を思い立つ動機は、日常体験する次の問題にあることが多い。

1.悪臭がする(夏場に多い)
2.小バエなどが寄ってくる
3.重量物の運搬が大変

 

生ごみ処理方法の選択

 生ごみ処理の方法には、物理処理(加熱乾燥、破砕して下水に捨てる)、生分解処理(バイオ式、ミミズ式)、化学処理などがある。バイオ式ではバクテリア、菌類が分解者となる。
 一般家庭で最もトラブル少なく運用できる方法は「加熱乾燥」であり、その処理機は家電製品として市販されている。しかし「ゴミ」のために電気代を払うことになる。そこで処理コストが処理のメリットが見合わないと考える人は多いようだ。
 「バイオ式」はランニングコストが少なくて済むが、市販の家電は高価である。ホームセンターに行くと生分解処理でコンポストを作るための様々な道具が販売されており、値段も数千円と安くランニングコストもかからないから、ここから始める人も多いと思う。

 

生ごみ処理の現実

 生分解処理できる道具を使って家庭で生ごみ処理をすると次の問題が起こりやすい。

1.強い悪臭がする
2.小バエが寄りつく
3.ウジがわいて気持ち悪い
4.維持管理に手間がかかる(攪拌や中身の定期交換が大変)
5.失敗(破綻)しやすい
6.能力が安定しない(季節によって大きく変わる)
7.処理物が再利用できない(悪臭の塊、廃棄物として処分もできない)
8.ネコに荒らされる

 この結果は、生ゴミ処理を始る動機となった問題の多くを解決していない。また、失敗して出来た処理物は捨てるに困り、私はこっそり埋めに行った経験がある。このような失敗を経験すると、ほとんどの人は以後やめてしまうだろう。

 

ゴミ処理ビジネスはなぜ失敗するのか

 ゴミ処理ビジネスが成立しない原因は2つある。一つは、「ゴミ」のためにお金をかけてもいいと思う人が少ないことだ。ゴミ処理に使う道具はランニングコストゼロが当たり前、イニシャルコストもゼロに近いことが求められる。装置が数万円もしたのでは、売れない(普及しない)のは当然かもしれない。
 もう一つは、処理物が価値を生まない点がある。コンポストが得られても趣味(園芸)で消費する以外無く、必要以上のコンポストは再び「ゴミ」になってしまう。そしてその処分は、処理前の生ゴミより厄介な場合が多い。

 

生ごみ処理が普及するための条件

 ほとんどが上記の裏返しになるが、次のようになる。

1.ランニングコストゼロで、道具が安いこと(数千円で始められること)
2.いやな臭いがしないこと
3.嫌な虫(小バエ)などが寄りつかないこと
4.ウジがわかないこと
5.維持管理に手間がかからないこと(蓋をあけて放り込むだけ)
6.主婦の蛮用に耐えること(適当に運用されても破綻しにくいこと)
7.処理能力が安定すること
8.処理物が利用しやすいこと
9.ネコに荒らされないこと

 これらをすべて満足する道具や提案は、まだ確認できていない。

 

市販のゴミ処理機、道具の問題点

 ホームセンターで売られている商品はEM菌などを利用して発酵させるものが多い。これは味噌作り同様、空気に触れさせない徹底した気密処理が求められる。しかしその知識はあまり知られておらず、道具もそれが容易に出来るしくみになっていない。
 オーストラリアやアメリカではミミズを使った生ゴミ処理が普及しておりWorms.comに様々な商品がある。一部は日本に輸入販売されているが高価だ。国産処理機も少数ある(金子みみずちゃんの家 )。

 


 

過去に実施した実験とその結果

 

ミミズを利用した処理実験(2012/3/26 終了)

バイオ式の処理実験(2001/1/6 終了)

 


 

生ゴミ処理のまとめ

 これまでの実験結果をもとに比較表を作成した。

 

処理方式 器具 イニシャルコスト 維持管理 特徴
加熱乾燥 屋内家電 数万円 電気代がかなりかかる。 簡単で誰でもできる。
水分の多いものは向かない。
バイオ(好気性) 屋内家電、もしくは植木鉢 数千円~数万円 定期的な攪拌、
水分管理が必要。
冬場の屋外は
ビニールハウス必要。
難しく破綻しやすい
水分、塩分の多いものは
処理が難かしい。
バイオ(嫌気性) 密閉容器 数千円(EM関連商品) 気密処理で成否が決まる 気密の維持に気を使う。
生物分解(ミミズ) 屋内トレー式、
フロースルー式など。
ミミズ込みで数万円~ ミズバエ対策と
水分管理が必要。
トレー式はローテーションが
重労働。
屋外では維持困難。
魚、肉類は処理できない。
きわめて良質なコンポストが
得られる。
生物分解(ミズバエ幼虫) コンポスト容器 数千円~ 不要(余分な水分は
地面に抜ける)
メンテナンスフリー。
生ゴミなら何でも処理できる。

 

 いろいろやってきたが、コンポスト容器を使った昔ながらの処理方法がもっとも実用的なようである。地面に穴を掘ってテーパー型容器をかぶせるだけの簡単な装置だが、掘り下げた地面を底面とするので水分管理が不要であり、冬は容器が保温の役目もするので処理が安定しやすい。器具も安く庭に置くスペースさえあれば誰でもすぐに始めることができる。混み入った住宅街では匂いが問題になる可能性があるので要注意だ。

 マンション・アパートなどに住んでいる人が選択できるのは屋内のミミズ処理くらいだ。ミミズ処理では「野菜くず」など植物系のゴミに限られ調理済みの残飯など処理出来ないから素直にゴミに出したほうが良いかもしれない。

 

<参考購入先>
エココンポストEX-101 ブラック 結局これを庭に置いて処理するのがベストというお話でした。
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