ミジンコの培養2~文献調査

ミジンコの培養に関する論文が公開されている(後述)。これらの文献から得られたポイントは次の通りだ。

・タマミジンコ(モイナ)を培養する。
 世間で培養されているミジンコには Moina(モイナ) と Daphnia(ダフニア) の2種類があり、モイナは1ミリ前後の小型で子持ちの個体を上から見るとタマのように丸いので「タマミジンコ」と呼ばれている。ダフニアは2ミリ以上になり尻にトゲを持つ。モイナは魚の飼料に適しているといわれ、養殖業者によって高密度培養されている。

・ヒータで26~28℃に加温する。
 この温度範囲でミジンコの代謝(繁殖速度)が最も高くなる。電照(照明)は必要ない。

・十分な溶存酸素を確保する。
 エアストーンを沈めてエアレーションする。但し水流をミジンコが泳ぐ速度(約3cm/s)以下に抑える(激しい水流を作るとミジンコを傷め増殖が鈍る)。論文では水流を抑えたエアレーションを実現するために多重円筒管で構成したエアリフタが紹介されている。
 エアレーションしない止水培養では水面に密集し渦を巻くような増殖形態になり、水の容積が無駄になる。エアレーションしつつ還流させることで水槽全体にミジンコを分布させた高密度培養が可能になる。

・エサはクロレラを用いる。
 コスト低減を目的に焼酎の蒸留粕やドライイーストを混ぜることもある。

・培養液として鶏糞水を利用する
 クロレラだけでは不足する栄養分を鶏糞が補うことで生存率や増殖がよくなる。

・底部の汚物を定期的に除去する。

・ワムシ類など有害生物の侵入に注意する。

・タンクを3基用意してローテーションする。
 産まれたミジンコを適切な条件下で培養すると3日で産仔可能になる。タンクを3基用意して毎日ローテーションすることで安定した収穫が得られる。

 

 上記は養殖業者向けのもので、100L以上のタンクを想定している。バクテリアによる硝化サイクルが考慮されていないのは、十分大きなタンクを使う前提によるものだろう。一般家庭のタンクは100L未満が現実的で、このような小環境で長期安定培養をするためには魚の飼育と同じバクテリアによる硝化サイクルを回すことが不可欠と考えられる。これを考慮した一般家庭向きの培養方法として下記を提案したい。

 

・培養するミジンコの種類
 対象としてモイナ、ダフニアの2種類があり目的に応じて選ぶ。稚魚の飼料を目的とするならサイズの小さいモイナが適している。

・26~28℃の加温
 水槽を屋外に設置し太陽エネルギーを利用して加温する。1日の温度変化を少なくするために40L以上のタンクを用いる。冬場はできるだけ日当たりのよい場所に置き、夏場は必要に応じて日陰に移動する。  屋内で高密度培養をする場合は熱帯魚と同じようにヒータで加温する。この場合のタンクは、鑑賞の必要がなければ保温に優れた大型のクーラーボックスなどが適している。

・溶存酸素の確保
 後述するエアリフト式フィルタを使って確保する。

・エサ
 太陽光で自然増殖する植物プランクトンをメインにし、補助的にほうれん草パウダーを使う。
 ほうれん草パウダーの比重は小さじ1/2(2.5cc)にかるく1杯で約1gである。具体的な給餌量(g/L)には検討の余地がある。
  「淡水クロレラ」という商品が売られておりこれをエサにすることもできるが、なま物で長期保存できないことからまとめ買いができず、培養規模の小さい個人には向かない。
 ミジンコのエサにほうれん草パウダーが有効なことがこちらの記事に紹介されている。

・培養液
 前回紹介したように鶏糞を袋に入れて沈めておき、水が薄く色づいた時点で取り出す。

・ワムシ類など有害生物の侵入対策
 養殖では問題になるが家庭の趣味では自然淘汰にまかせて無視する。

・培養タンク
 タンクは強度が高く紫外線による劣化に強いものを選ぶ。太陽光をよく当てるために広くて浅い形が有利で、水槽に使えるよう設計されたプラ舟(後述)がよい。3基用意して収穫するタンクをローテーションする。場所は日当たりのよい2Fのベランダがよい(1Fだとボウフラの温床になりやすい)。
 屋外タンクは日当たりに応じて移動することから、ガラス製の水槽は向かない。また衣装ケースは強度不足で使えない。
 屋内で培養する場合は20L以上のガラス水槽か、先に述べたクーラーボックスを使う。容量は大きいほど環境が安定し失敗が少ない。

mijinko33 左の写真は60Lのプラ舟を3基設置したところ。手前の四角い箱はエアポンプやサーモなどの電装品を屋外で使えるようにするための電源BOX。100均のプラケースの底に穴を開けて下から電線を通し、電線スペースを確保するため底に足をつける。奥のバケツは補充のための汲み置き水。ほうれん草パウダーを溶かす用途にも使う。

 ミジンコの飼育設備は国内淡水魚の水槽より大規模になってしまいどちらがメインか解らなくなりつつある。

 <関連記事>
家庭用培養技術完成

<ミジンコ培養に関する文献>
ミジンコの大量培養システムを開発
ミジンコ類の大量培養技術の開発と魚介類幼生への餌料効 果に関する研究
 上の報告は下の論文の内容を参照して簡潔にまとめたもののようである。

 

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