OAチェアの選び方2~お勧めはこれだ!

イトーキのプラオとバーテブラII(いずれも楽市で中古を購入)およびコクヨのプントとトレンザについてレビューする。

chair1 左の写真はプラオとバーテブラII。少々難ありの品だったが状態は比較的良好で、機能的な支障は何も無い。シートにヘタリはなく丁寧に洗浄されておりいやな匂いは全くしない。上下調節のガスも抜けなく良好。「イスはパンツと同じ、他人が使ったものは綺麗でも気持ち悪い」と思っていたが、中古でこれなら文句無い。
 プラオのシート裏には取説を入れるスロットがあり、取説が付属していた。 とりあえずキャスターの軸受部にプラスチックに安全なオイル(Rational003)でグリスアップ。プラスチック黒部のスリキズはリボスの自然塗料(カルデット 黒檀)でタッチアップ。これはベタついたアームレストの改質保護にも使える。

 

【プラオ】

デザイン・インテリア性
 購入したのはローバック&固定肘。丸みのあるエッジで統一され柔らかい印象を与える。全体的に違和感の少ない綺麗な形をしている。沢山の色があるが、一般家庭に入れることができるのは黒のみ。生地の模様は単調であり、一見1万円未満の激安チェアに見える。

機能
 アームレストの表面にはラバーが貼られており、触った感触がよく滑らない。ラバーに劣化は認められず、比較的良質な材料が使われている模様。アームレストの間隔は多少広め(center to center で55cm)だがキーボード作業時に肘受けができる。可動肘が付いたものは細かい調整ができて便利だが、固定肘でも座面の上下でカバーできて実用になる。
 背もたれにはガスダンパーが付いている。ロックを解除してフリーにしたり、好きな場所で固定にできる。
 座面、背もたれのクッションは反発が少なく柔らかい。背もたれのランバーサポートは違和感ない調整ができるが、あまりメリットを感じない。この手の装備は無くても良いもの。
 座面の前後調整があり、固定位置は4箇所ある。座面を一番引いて背もたれをロックすると前傾作業もできるが、垂直の背中まではサポートしない。
 座面や背もたれ調整機構へのアクセスは分かりやすく、レバー類も使いやすい。
 座面底部のカバーにガタつきがあり、足を組んだままひざを曲げるとイスの下でカカトにカバーが当たりカタカタいう音がすることがある。これは緩衝材をはさむことで改善できる。

座り心地
 座った感じは可も不可もなくごく普通。座面や背もたれが丸みを帯びていて体との接触面積が小さく、ボールに乗ったかのような印象がある。
 グリスアップ後の座面調整部は前後可動部にガタができてやや落ち着かない。

総合
 どこにもクセのない普通を感じさせる商品。特に欠点も見当たらない。この「ごく普通」の特性が本商品の魅力といえる。使い勝手もよく多くの人にお勧めできる。

 


 

【バーテブラII】

デザイン・インテリア性
 購入品は背もたれがやや高めのミドルハイバック。リング形状のアームレストが美しいカーブ。ダーク系のバーテブラIIは一般家庭のインテリアと調和する。

機能
 調整機構は上下のみだが可動部は多く、姿勢に応じてこれらが有機的に動く仕組み。一々レバーを操作しなくても体重移動だけで作業姿勢からリクライニングまでできる。それも適度な摩擦があり滑って落ち着かない事にはならない。
 リクライニングの動作は角度に関係なくリミットまで反力ほぼ一定。徐々に反力が増えて荷重とつりあった点で止まるバネ式のものとは異なり快適である。
 アームレストはプラオより5cm幅広く、イスの中央に座るとキーボードやマウス操作中は完全にひじから離る。腕を休めるときだけ乗せる装備と考えておきたい。
 購入したのは後傾用でOA作業に適するが垂直の背中まではサポートしない。バーテブラには座面が垂直になった作業用の品番があり、書き物や工作をする場合はこちらが適している。
 イスから立つとき前に傾く機構がある。これは座面がややお尻側に傾斜していて座りにくい事に対する改善策だ。アーロンより角度が深いというが、あくまで座ったり立つ動作をしやすくするためのものでありこの機構を前傾用途に積極的に活用することは無理である。

座り心地
 クッションは薄く硬めでスポーツシートに座ったような感覚に近い。座るとお尻の収まりがよく、背もたれにはしっかりしたサポート感があるが、背の低い人が座ると圧力のポイントがやや高い位置にくる。身長170cm以下に満たない小柄な人はS字を形成できず腰に負担がかかる結果になるかもしれない。

総合
 イスに豊富な調整機構があっても結局1つの形に固定して使うことになるがバーテブラは姿勢に応じて自在に変形する特徴があり、その摩擦や反力の度合いはよく考えられた最適値に調整されていて調整機構を廃している。調整機構が一切無い代わりに座る人の体格を選ぶようだ。世間で言われている座り心地はこのイスが体に合う人の話であり万人向けではなさそうだ。
 バーテブラは現在も売られているが現行商品はいかにも事務イスのデザインで一般家庭には向かない。

 


 

【プント】

puntデザイン・インテリア性

 写真は購入したもの。ハイバック、可動肘、ランバーサポート付きで貼地はネット上にほとんど写真がみられない「チャコールグレー」。実際はこげ茶色の明度を明るくしたような色。模様も入っていて高級感があり事務チェアというより家具と呼べるレベルにある。

 

機能
 必要な調節機構はすべて備わっており、レバー操作は分かりやすく使いやすい。
 可動肘の表面は柔らかい素材が使われている。上下調節のほか、角度変更が可能であり実用的。アームレストの間隔はやや広い。4cm縮めるとちょうどよさそう。
 エアで膨らむランバーサポートはよく出来た構造だが上下調整できないしエアを入れても局部的に圧迫感を増すだけ。無くても良さそうだ。
 可動肘の回転機構は不要。肘を持ってイスの向きを変えようとする動いてしまい、いちいち直す必要が生じる。高ささえ合えば固定肘がよい。

座り心地
 座った感触は背中と座面の接触面積が多く、そこにすっぽりフィットする感じ。座った瞬間の印象は相当よく1日中座っていても違和感が生じない。これはいい。座面はトレンザに比べると硬め。
 座面は腰の前ズレ防止に効果的といわれるポスチャーサポートシートだが、私が座った感じは中途半端な印象。あと5mm、お尻の出っ張りにあわせて凹ませてほしい。
 ハイバックは肩までサポートがあるため上半身の自由度が拘束される印象。頭の支えがないためリクライニングするとクビで折れ曲がる。頭の支えがないハイバックは見た目だけのメリット。この商品はローバックとの価格差があまりないため私はゴージャスに見えるハイバックを選択したが機能的にはローバックでも問題ない。


総合
 コクヨが考えるベストな座り心地とは、こういうものだと感じさせる一脚。家具としてのクオリティも備えたお勧めの一品。
 脚部はアルミの磨き仕上げで、クリア塗装など表面保護は何もない。こういう部分を長く美しく保つためには最後に紹介する防錆保護が不可欠。

 


 

【トレンザ】(2015/6追記)

DSC00062aデザイン・インテリア性
 中古を探して作業用と子供用に2台購入。チャコールグレーやブラック系を選べば一般家庭のインテリアと調和する。

 

 

機能
 ロッキングとは別に背もたれの角度調整が可能であり、背中のノブを回すだけで垂直に近い背中のサポートまでできる。ノブも硬くなく、容易に回すことができる。
 可動肘は上下の移動機構が付いておりとても便利である。アームレストの間隔も広すぎず狭すぎず、ちょうどよい。
 リクライニングやシート上下操作部が分かりにくい位置にあり、操作もやや使いづらい。頻繁に使うものではないのでそう問題にはならない。

座り心地
 座った感触は柔らかくふわっとした印象であり、座り心地はかなりよい。座面が柔らかい分、お尻や大腿部との接触が密となるため夏場は蒸れやすい。
 マネージメントクラスのハイバックは肩まで背もたれがあるが、プント同様ハイバック固有の欠点がある。ローバックは肩甲骨に届かないので気持ちよく背伸びができる。

総合
 背中のノブを回すだけで前傾、後傾の両方に対応可能なユニークな特徴がある。これは本機がパソコンが普及する過渡期に設計された事情によるものとみられる。前傾、後傾の両方に対応可能で、すわり心地も抜群にいい名品。無条件にお勧めできる一品。 この椅子はブルーが多く、ブラックの中古がなかなか出ない。見つけたら即買いしていい商品。

 


 

【OAチェアの課題】

 OAチェアに座って思ったのだが、最近の自動車用のシートの方が出来がいい。我が家にはフィットやNBOXがあるが、座った瞬間の感触からして違う。イスに関する研究と技術は、どうも自動車用の方が進んでいるように思う。最近の自動車用シートは低価格の車種でも手抜きがなく、長時間座っていて腰が痛くなることは無い。
 自動車用シートとOA用チェアとの決定的に違いに、座面がお尻に向かって傾斜している点がある。そのため腰が前にずれて猫背の姿勢になりにくい。

 そもそも座面で腰が滑って猫背になるのは、お尻と座面の形が合っていないことが原因。この解決策には様々な提案がある。
 木製のイスではお尻(坐骨)の出っ張りにあわせてへこみを作ると劇的に座り心地がよくなることが知られている。
 柔らかく十分な厚みのクッションを用いることでも改善できる。この場合接触面積が増えて通気性に問題を生じ蒸れやすい。この問題を改善できるメッシュにしたタイプの椅子が登場し、一時期流行した。
 ダイニングチェアでは座面の板が無く、枠に張り地をつけて裏側からベルトなどでサポートする構造がある。
 布団の世界でも同じで、西川ではウレタンで多数の突起を形成して空気の通り道を作った「ムアツふとん」を商品化している。
 いろいろ改善策はあるが、結局のところ、お尻のところを素直にへこませるのがベストではないか。

 このように座面の一部をへこませて腰の前ズレ対策をした商品は少なく、現行商品ではコクヨのプント(ポスチャーサポートシート)、ウチダのパルスチェア(坐骨前方サポート)がある。コクヨでは2013年末から来年にかけて発売されるウイザード2やインスパインなどにポスチャーサポートシートの付いた商品を投入する計画で、これは今後標準になるとみられる。

 


 【肘(アームレスト)の選び方】
 肘を数分以上動かさないときに肘を置くためのアイテム。これがあることで楽な姿勢を維持できる。会議や鑑賞用途の椅子には付けたいものだが、立ったり座ったりすることが多いOA・作業用途では要らない。子供用に買った椅子に肘をつけてしまうとひっかかって机に入らない。
 会議・鑑賞メインでは「固定肘」、学生用、子供用、OA・作業メインの場合は「なし」とするのが原則。上下可動式の「可動肘」であれば邪魔なとき退避しておけるので両方に対応できる。

 

【前傾・後傾について】
 イスには前傾用、後傾用といった分類がある。

 前傾:背もたれが垂直(90度)の用途。書き物、工作に適する。
 後傾:ローバック、ミドルバックで背もたれを10~20度くらいにした用途。パソコンを使った作業、ゲームに適する。

 後傾でハイバック、ハイバック+ヘッドレストを備えたものは長時間リクライニングできる。応接、会議、テレビ、映画鑑賞に適する。欠点はイスが大きくヘッドレストが作業時邪魔になる場合があることが挙げられる。

 


 

<参考購入先>
OAチェア一覧 コンテッサ、バロンなど人気商品が豊富。このくらいの価格が最低ライン
プント ハイバック 可動肘 私が買ったものと同じもの
プント ハイバック 固定肘 ランバーサポートなし 不要と見られるランバーサポートを取って固定肘にしたもの。イチオシの商品
フロアシート キャスターによる傷つきを防止します

<リペア・防錆保護剤>
カルデット 黒檀 中古チェアの黒部キズ消しに便利なリペア塗料です
エシャ クラフトオイル アルミ部分の防錆保護に必須の保護塗料です。粉さびを防ぎいつまでも美しい状態を保てます

自然塗料は開封後空気中の成分と反応して変質したり硬化が進むのでできるだけ空気が入らない形で小分けして保存する必要があります。詳しくはこちらをご参照ください。

<関連記事>
OAチェアの選び方1

 

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