値動きの本質は何か2~相場はランダムだった!

為替相場のチャートをFFT(フーリエ変換=周波数分析)にかけたら何が見えるでしょうか。このことは以前から興味がありました。FFT分析で特定周期の波が見出せれば、それに注目するだけで確実に利益が得られます。たとえば20日周期の波が存在するなら、そのゴールデンクロスで取引すればよいでしょう。周期が変動するものならリアルタイムでFFT計算を行いトラッキングすればよく、MT4でそんなトレーディングプログラム(EA)を作ることも不可能ではありません。

 

一方で「市場は効率的である」という説があります。あらゆる現象は瞬時に価格に織り込まれランダムウォークするというものす。この場合テクニカル分析は無駄となり、将来は予測不可能になり、利益を得るのは困難(最良の結果は収支ゼロ)になります。
価格のデータはMT4からCSV形式でエクスポートできます。これを直接FFT分析できるツールはなく、その周波数成分は謎でした。これを分析できるエクセルのFFTマクロを作ったのはつい最近のことす。このツールを使っていくつかの為替相場(4時間足の終値)を分析したのが次の結果です。

usdjpy240gbpusd240 eurjpy240  usdzar240

どの相場も皆似たような右肩下がりの形をしていて特徴というものがありません。この形が何を意味するかおわかりでしょうか。これは「1/f ゆらぎ」と呼ばれるランダムパターンの形です。1/f の「f」は周波数を示し、振幅が周期の逆数に比例することを意味します。この特性はどの市場を分析しても同じです。ここには載せていませんが、金も銀も、プラチナも、オイルも、小麦も、トウモロコシも、大豆も、分析結果はすべて1/f 特性です。おそらく日経平均や株価も同じでしょう。
FFTの結果が「直線」になるということは、あらゆる周期の波が均一に含まることを意味します。つまり市場に特定周期の波というものは存在しないのです。
FFTは全期間の平均ですが、細かく見ると完全ランダムとは言いきれない部分があるようです。しかし市場が効率的であるという仮説は概ね正しいようです。

1/f ゆらぎとは何か
1/f ゆらぎは風の変化や小川のせせらぎといった、自然界でよく見られる変動パターンです。日常の市況変化から、戦争やリーマンショックといった滅多に起こらない出来事を含めても、価格の変動はこの自然界の1/f ゆらぎと「見分けが付かない」というのが今回の新たな発見です。
風の変化も、水の流れも、力学的な力が働いた結果であり、そういう意味では必然性のある動きです。時には台風もくるし、洪水もあります。人間の行動も思惑も広い目で見れば自然の現象の一部に過ぎないのかもしれません。
ネット上には1/f ゆらぎは規則性とランダムの中間であるかのような記述をみかけます。完全ランダムのホワイトノイズを1回積分すると「ピンクノイズ」が得られ、これは1/f ゆらぎと同じものです。ホワイトノイズと1/f 特性の違いは直線の傾きだけで、特定周期の波を持たないという点ではランダムと同じです。

フラクタル構造は存在するか
みなさんはトレードに使う時間足をどのような根拠で選んでいるでしょうか。この通貨は5分足が最適、このシステムは1時間足でないとダメとか、いろいろな話を聞きます。時間足の選択によってトレードの成績に影響するような違いが生じるのでしょうか。
値動きがランダムなことを示す証拠に、フラクタル構造の存在があります。値動きがランダムに近いほどフラクタル構造が明確になり、どの時間足で見ても、どの期間を切り出しても同じになります。次の分析結果を見てください。これはUSD/JPYを4時間足、1時間足、5分足、1分足の終値で分析した結果です。切り出した期間はバラバラですが、見事に同じ形をしています。

usdjpy240 usdjpy60 usdjpy5 usdjpy1

この結果からUSD/JPYは最もランダムに近い通貨ペアの一つで、そこから収益を得るのは困難なことが伺えます。
 いかがでしょうか。以上の結果から、次の結論を導き出すことができます。

テクニカル分析は無駄である
最良の結果は収支ゼロである
システムの構築と最適化は無駄である
トレードは長期取引ほど有利である
塩漬けは容易に解消されない
マーチンゲール戦略は破綻しやすい
バイナリーオプションは勝てない
カリスマトレーダの成功は再現できない
勝てるFX商材はほとんどない

以降、順番に説明しましょう。

テクニカル分析は無駄である
「錬金術」という言葉があります。普通の金属から「金」を生み出そうとする試みですが、昔はそれが出来ると信じられていた為に膨大な労力が無駄に費やされました。テクニカル分析やパターン認識も同じことが言えるでしょう。相手がランダムだと分かれば、テクニカル分析は無駄と結論付けできます。
ランダムなパターンに対して直線や斜線を引いても意味がないことです。後付けにすぎない線をもとに将来の予測は出来ません。同じパターンは二度と繰り返されませんので、過去の値動きを元にカーブフィットした結果が役に立たないのは当たり前のことです。
最良の結果は収支ゼロである
 ランダムな相場でトレードした場合の最良の結果は収支ゼロ(実際はスプレッド分マイナス)と言われています。しかしほとんどの人が収支ゼロも達成できずマイナスに転落しています。世間にあるほとんどの商材や戦略は、ランダムな相場を想定していません。そのため今たまたま利益が出ていても、いずれ収支ゼロに漸近し、マイナスに転落するでしょう。
システムの構築と最適化は無駄である
 いろんなテクニカルツールを組み合わせて、バックテストを行い最適な設定値を求める作業を多くの人が実施しています。「もしかしたら、聖杯が見つかるかも」多くの人がそんな期待を抱きます。
グラフから分かるようにランダムな相場ではどのような周期の波も均等に押し寄せます。特定の波に合わせてパラメータを固定したものが機能するはずがありません。ドンチャンブレイクアウトでも、移動平均でも、MACDも、RSIも、ボリンジャーバンドもすべて同じことです。
ツール単独で満足いく答えが出ないことが分かると、複数を組み合せて改善を試みようとします。もし組み合わせでプラスの答えが見つかったら、それは「カーブフィット」したのです。同じパターンは二度ときませんから、運用の結果はやる前から明らかです。
トレードは長期ほど有利である
 これは1/f 特性を見ればわかることです。グラフは右肩下がりで長周期になるほど大きな振幅を持っています。従い長期の波を運よく捕らえることができれば、そこから利益を得られる可能性があります。主婦が4億円稼いだ話も長期取引の結果です。
これとは逆に、短期取引で勝つことはかなり困難です。短期の波の振幅は小さいため、長期の大きな波に飲みこまれがちです。取引回数が多いことも取引コスト(スプレッド負担額)の負担を増大させ、プラスの獲得をより難しくします。
 長期トレードが有利といっても、いつもうまく行くとは限りません。相手がランダムなので、最初は勝てても回数を重ねればいずれ収支ゼロに漸近します。そこで運よく儲けたら「引退」するのが懸命です。リッチに引退したカリスマトレーダは、運よく儲けた後で引き際のタイミングに成功した人たちです。
塩漬けは解消されない
 塩漬けは長期取引ほど有利な性質の裏返しで、逆のポジションを取った場合に起こる悲劇です。反対のポジションをとって長期保有していたら、大きな利益になっていたはずです。1/f 特性は長期の波ほど振幅が大きいことから、一度長期の波につかまるとどんどん価格が離れていきます。「そのうち戻るさ」という考えは持たないことです。
マーチンゲール戦略は破綻しやすい
「確率的にほとんどありえない」とされる値動きは1/f 特性を仮定すると「十分起こりうる」現象になります。これも塩漬け同様に一度長期の波につかまるとどんどん価格が離れていきます。「少しでも戻せば」といった期待は持たないことです。放っておくと取り返しのつかない結果を招くでしょう。
バイナリーオプションは勝てない
 上がるか下がるかの2択トレード(バイナリーオプション)が流行っています。このサービスの問題は短期間の頻繁な取引をさせて、手数料を効率よく集める仕組であることです。市場の動きはランダムであり、短期トレードでは勝ち目がないのは既に述べた通りです。この手の取引はやればやるほど、成績は限りなく勝率5分に近づき、手数料分だけ負ける結果になります。
カリスマトレーダの成功は再現できない
 ランダムな相場では運が大きく影響します。私は、カリスマトレーダと呼ばれる人たちの勝因の8割以上は運で、本人の才能が占める割合は小さい見ています。従いその手法には再現性がなく、カリスマトレーダの手法を他人が参考にしてもうまく行かないのはもちろん、本人でも同じことをもう一度成し遂げることは出来ないでしょう。
勝てるFX商材はほとんどない
 世の中には様々なFX商材があり、クチコミを見ると喜びのお便りが溢れています。「私はこの方法で勝っている」という人もいます。勝っているのが本当だとしたら「たまたま」うまくいっているだけかもしれません。右肩上がりの素晴らしい損益曲線が本当なら、それを使った人はみんなお金持ちになっているはずです。
 ほとんど全ての商材がランダムな値動きを前提に設計されていません。このような商材を使って運よく利益を得ることができても、長期的に利益を得る可能性はほとんどないと考えられます。 そもそも安定して儲かるなら売りに出す必要はないはずです。

9割が負け組といわれるこの世界、勝っている1割は誰でしょうか。

それはトレーダではなく、顧客の取引で利益を得ているFX会社です。

勝ち組のトレーダは幸運に恵まれたごく一部だけで、おそらく1%に満たないでしょう。

その中で長期的に勝ち続けられる人は0.1%もいないと考えます。

 

「1割が勝っているなら、自分もその一員になれるかもしれない」そんな期待は持たないことです。

続き>>値動きの本質はなにか3

<以前の記事>
値動きの本質は何か1~どうしてこうも負けるのか

<関連書籍>
ゆらぎの世界 後ろの方に株価の周波数分析結果が掲載されていて私と同じ結論を出されています。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です