隠れた名品~シュタインハイルのPeakルーペ

 ルーペはいろいろあるが、とりわけ評判の高いルーペにIGSルーペ(17.5倍)がある。レンズ構成がシュタインハイル・トリプレットレンズで諸収差を完全に補正しているという。印刷学会出版部が販売していたが、現在は入手できない。

 

シュタインハイル型ルーペの候補

 IGSルーペの代替品にPEAKの1985型がある。これも同じシュタインハイル型で、昔から評判が良い。倍率も7,10,14,20の4種類ある。私はこの7倍を買ってもう15年以上愛用している。

 

ルーペの倍率

 ルーペは倍率が高いほど良いというものではない。倍率は高いほど視野が狭く、焦点が合わせにくくなる。

 7倍は日常最も使いやすい倍率になる。私はPEAK1985の7倍を使って皮膚に刺さったトゲから生き物、錆、傷、刃先、岩石、鉱物、破断面などいろんなものを見てきた。

 

PEAKの1985型のレビュー

 色収差は見られず、周辺近くまで画像がシャープ。歪曲は少しあるが目立たない。レンズ周辺が黒いため不要反射がなく、レンズも単層膜コートされているためコントラストがよい。

PEAK1985のレンズを繰り出した様子 PEAK1985のレンズを収納した様子 PEAK1985でスケールを拡大した様子 PEAK1985で液晶画面を拡大した様子

 本体は樹脂製で軽量。収納は直線スライド式で隙間なく本体に収まりレンズに埃が付きにくい。胸ポケットに入れて持ち歩いても埃が入らず、重さも気にならない。IGSルーペを覗いたことはないが、PEAKのルーペは画質と使い勝手を両立した最高のルーペに違いない。

 

 15年使ってきて気づいた問題と言えば付属の革製カバーがボロボロになってしまったこと、レンズの固定リングが緩んでレンズがゴロンと出てきたことくらい(現在のカバーは改良されビニールレザーのようです)。本体のスライドもプラスチック用グリースをごくわずか塗布しておくといつでも動きがスムースになる。

今回新たに7倍(2台目)と14倍を購入した。この2種類あればほとんどの用途をカバーできる。

 

参考:ASCOのキズミとホームセンターのルーペ

写真はASCOのキズミとホームセンターで買った安物ルーペ。

 ASCOのキズミとホームセンターの安物ルーペ 

 ASCOは時計修理用のルーペとして有名。大型単玉レンズのため歪曲がやや目立ち周辺の画像が悪い。低反射コートはされていて筒状の本体にマウントされているため明るさとコントラストはよい。

 もう一つの安物ルーペの方は本体がシルバーでレンズにもコーティングがないため本体の反射光が目に入ってコントラストが著しく悪い。光学機器のレンズ周りは黒でないとダメなことがよくわかる見本。ただレンズ構成はわりと良くて収差は目立たない。レンズ周りを黒く塗装すれば役に立ちそうだ。

 

 

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