あなたの知らないデルガード~折れないシャープのもう一つの秘密

 かつて、シャープペンシルは高級文具だった。30年前は、ほとんどすべての部品が金属で出来ていた。行きつけの文房具店では、シャープペンシルを買うとネームを彫り込んでくれた。
 強すぎる筆圧で芯の先が折れた場合はノックすればよかった。しかし床に落とすなどの衝撃で中の芯が折れた場合は、ノックしても出てこないことが多く、消しゴムに付いていた針金で分解掃除が必要だった。何度分解掃除しても復旧しないときのストレスは相当なものだった。床に落とした際、先端のパイプが少しでも曲がったら使えなくなった。買ってすぐ曲がってしまった経験をして以来、高価なシャープペンシルは買わなくなった。

 

 現代では安価なプラスチック製の商品が主流だ。耐久性が低く、最初に入っている数本の芯を使い切ったらポイの使い捨て消耗品になっている。

「高価なペンを買っても長持ちするとは限らない」「シャープペンシルは安い消耗品で十分」

 私は長い間そう考えてきた。

 

 以前、「クルトガ」と称する商品に興味を持ったことがある。私はこの能書きを見て、最初は「画期的」と思った。この商品の落とし穴は、ペン先をこまめに押して離す使い方をしないと尖らないことだった。連続した細い線など当然書けない。それに、先が尖っても細い線で字が書けるわけではなかった。一番残念だったのはクリップの強度がヨワヨワな点で、ポケットに差しているとクリップが簡単に折れた。
 普通、書いていて字が太ってきたらグリップを持ち変える(少し回転させる)ことを無意識にやる。結局この商品は、これを無意識にもやらなくて済む、それだけのものだった。

 

 最近は折れない系のシャープペンシルが登場している。芯が尖ることより、折れない方が消費者にとってメリットが大きい。冒頭で書いたように、芯が折れるケースは2種類ある。一つは筆圧によるもの、もう一つは落下によるものだ
 折れない系シャープの一つ、「デルガード」を買ってみた。この機構はとても良く考えられている。筆圧によって折れる課題を完全に克服している。しかし落下に対する衝撃耐性はなく、落とすと中で折れてしまううえ分解掃除も容易でない。しかし幸いなことに、しつこくノックすれば折れた芯が出てくる。
 落下衝撃耐性を重視した商品に、「オ・レーヌ」がある。ドリンクみたいで、通常はボツになりそうなネーミングだ。

※:ペン先の剛性が足りない商品では、筆圧をかけると先端ではなく中で折れてしまう場合もある。

 

DSC01146a ビジネスシーンにも合う落ち着いたデザインのものを集めてみた。上からオ・レーヌの高級版MOL-1000#1クルトガハイグレードデルガード黒。
 オ・レーヌの丈夫な金属製クリップと耐衝撃に優れた特性はモバイルで求められる堅牢性を満足する。グリップがゴム製なのでベタベタする点が残念。

 クルトガはアルミ製グリップが特徴。細い先端部が収納できないのが気になるが、ペン先が剛体支持でないため、昔のように落としたら一発でパーということにはならない。

 

DSC01147a ノック・フィールはオ・レーヌが一番良い。一番ダメなのがデルガード。ノックしづらい原因は、キャップの出っ張りが長すぎる点にあるようだ。中の消しゴムとツラツラでよいはず。もう2mm短くならないか。

 オ・レーヌに最初から入っている芯は他社に比べやわらかい。そのためレビューでは書きやすいと評されることが多いようだ。

 

 

 デルガードのグリップには特徴がある。透明なのでわかりにくいが、良く見ると指が当たる部分にR形状の凹みが3つ並んでいる。最大深さ0.2mm、幅はペン先の方から、5mm、3mm、2mmだ。これらが不思議に指にフィットする
 一般に、手に触れる道具は指(正確には骨)が当たる部分がくぼんでいると持ちやすく滑らない。このホールドはゴム素材を使ったグリップで実現できるが、指が当たる場所は決まっている。ならばそこを最初から凹ませておけば、劣化するゴムを使わなくても済む。

※:クルトガにも似たような凹みが付いているが、同じサイズの凹みが等間隔に並んでいるだけなので、単なる滑り止めと見られる。

 デルガードは一番下の凹みに人差し指の腹と、中指の側面が当たって滑らない。そのためかなり力を入れて書くことが出来る。グリップは太くも細くもない10mm。この絶妙の設計が非常に書きやすい結果を生んでいる。これはおそらく、強い筆圧をかけてテストを繰り返す過程で生まれたものに違いない。

総合評価表

種類 筆圧による折れにくさ 衝撃による折れにくさ 持ちやすさ 書きやすさ クリップの耐久性
(ポケットへの挿し易さ)
オ・レーヌ

◎ (◎)
 樹脂製スプリング入り

オ・レーヌ高級版 ◎ (△)
クルトガ × (△)
クルトガ ハイグレード ◎ (○)
デルガード ◎(最強です) △(少しグニグニする) ○ (◎)

DSC01145a デルガードの2番目にダメな点がパッケージ。大きくPUSHと書いてある。ここを先に押してしまうとシールが剥がせなくなって開封に苦労することがある。よく見ると、下の方に小さい文字で、シールをはがしてからPUSHせよと書いてある。この手順は良く見ないとわからない。

 

 

<参考購入先>
デルガード 筆圧による折れを克服したシャープ
オ・レーヌ シールド 衝撃に強いシャープ
オレンズ 細く小さい文字をこしょこしょ書く人にはこれ。細い芯が要る所がネック
クルトガ 世間で人気のクルトガ。私はあまり好きではありません

<関連記事>
鉛筆

 

 

あなたの知らないデルガード~折れないシャープのもう一つの秘密」への2件のフィードバック

  1. 通りすがり

    私はクルトガを使用してますが折れたりしません
    確かにちょっと先っぽが弱いなとは思いますが
    なぜ、使用してるのかというと私の書き方だと文字が太ってしまって字が汚くなってしまうので

    返信
    1. 創造の館 管理人 投稿作成者

      コメントありがとうございます。クルトガは筆箱に入れて持ち歩き、普通に文字を書く分には問題ないペンだと思っています。

      返信

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