クルマのシートをバキューム洗浄する

 シートが汚れたら洗剤をスプレーして拭く。これをやると洗剤が浸み込み、汚れをクッション奥にを押し込めてしまう。コーヒーやジュースをこぼしたらにアウト。丸洗い困難であり、ほとんどの人が諦めていると思う。

 

シート専用クリーナー

 洗剤を噴射しながら同時にバキューム吸引するクリーナーがいくつかある。例えばSSC(スーパースチームクリーナー 蔵王産業)だ。この機械は水分の浸みこみやすいクッションシートの汚れをほぼ完全に、かつ効率的に取り除くことができる。ジュースやコーヒーをこぼしても、ほとんど問題ないレベルまで掃除できる優れものだ。

 この機械は非常に高額で、アマチュアはもちろん事業者でもなかなか手が出せない。カークリーニング専門店や中古オフィス用品の販売事業者(楽市)で使われているが、カークリーニング専門店で持っている所は少ない。クルマを持ち込んでも表面的な汚れを取るだけ。

 そこで今回は、「洗剤噴射」と「バキューム」機能を分離し、それぞれを安価な機器で代替することを考えてみた。

 

バキューム機能の代替

 乾湿両用掃除機で代替する。上述した蔵王産業SSCのバキューム部1kWなので、1kWの掃除機であれば同じ能力が出せる。多くの商品の中から見つけたのがこれ。

SUN 乾湿両用掃除機 SVC-902S

SUN 乾湿両用掃除機 SVC-902S ノズルが豊富に付属し、その中の「カーテンノズル」がシートの洗浄に使える。パワーは1.1kWと強力でバケツの水もぐんぐん吸い込む。パワーの連続可変が可能で、幅広い用途に対応できる。

 SUNは国内メーカーで、付属部品はすべて部品単位で取り寄せできる。

 

SUN 乾湿両用掃除機 SVC-902S に付属するカーテンノズル 付属のカーテンノズル。吸入部幅11cm。ツバがある分、単なるストレートノズルより吸入のロスが少なくシート生地への負担も少ない。赤いブラシの付いた部分に少し段差があるが、密着させれば問題ない。両サイドに吸着防止用の空気穴があるのでテープで塞いでおく。

 

洗剤噴射機能の代替

 以前紹介したG-510の20倍希釈液[1]に、必要に応じて酸素系漂白剤を適量添加したものを用意する。これとは別に、すすぎ用の温水を用意する。温水は電子レンジなどで50°前後に加温してから使う。酸素系漂白剤は温度が高いほど良く働くので、洗剤も同時に加温すると洗浄効果があがる。

 洗剤や温水を塗布するスプレーを用意する。ハンドルを手動で引くタイプは結構疲れる。押すだけで連続噴射できるガーデニング用の蓄圧式が使いやすい。ノズルは霧ではなくJET(ストレート)で出るものを用意する。

布シートクリーナー オカモト産業 今回はこれと併用してこちらの市販クリーナーも使用。同じ成分の業務用もあると見られる。

 

 

洗浄方法

 最初に洗剤をシートにまんべんなくスプレー塗布する。数分後、柔らかいブラシでシートの表面を擦り、温水を使ってバキューム同時すすぎ洗いを行う。

洗剤とカーテンノズルを使ってFITのシートをバキューム洗浄している様子 写真はコーヒーをこぼしてしまったFITのシートをバキューム洗浄しているところ。
 バキュームをシートに密着させ、上から下にゆっくり滑らせる。バキューム進行方向のすぐ手前に温水をスプレーし、すぐバキュームで吸い取る。
 不十分と感じる場合は同じ場所を心ゆくまで繰り返し洗浄できる。

手元の出っ張りは前方にスライドすると空気穴が開く。作業中にに空いてしまわないよう注意。シートの奥の水分を吸い出すときは、ノズル周囲をビニールシートで覆うと良いようだ。

 

 

バキューム洗浄後、掃除機の中を開けてみたところ 収穫。従来の手作業でこれだけ汚れを取るのはほとんど無理。十分な性能といえる。

 

 

<参考購入先>
乾湿両用掃除機
SSC(スーパースチームクリーナー 蔵王産業)
ガーデニング用の蓄圧式スプレー
電池式噴射器 こちらの方が楽です

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