扇風機の選び方~30cm扇にDCモーターはメリットなし!

 モーターで羽根を回す形の扇風機は「枯れた」技術で構成された商品の一つだ。選択さえ誤らなければ、さほど高くない出費で私たちの生活に大きな利得をもたらしてれる。扇風機の選び方で検索すると様々な記事が出てくるが、似たり寄ったり。選ぶときの本当に重要なポイントや、失敗しないための注意が見当たらない。そこで私の経験をもとに、これらをまとめてみた。

 

羽根のサイズと風の品質

 羽根は大きいほどよい。これは、軸流ファンに共通する第一のポイントだ。扇風機では羽根のサイズに注目し、1cmでも大きいものを選んで欲しい。同じ風量を得るために回転が低くて済むため、音が静かになるメリットも見逃せない。

 扇風機の羽根に注目すると、いろんな形や方式がある。その目標は「自然界の風」。しかし、回転する羽根から出る風は細かい渦を伴った旋回流で「ふわっ」とくる自然風とはかけ離れている。

 羽根を工夫したいろんなアイデア商品があるが、自然風に似た現象を再現するためには巨大な羽根が要る。たかだか、30cmの中で羽根をどういじっても自然風とは程遠い風しか出てこない。1/fゆらぎやリズムを付けたところで同じ。実効風量が落ちて暑いだけだ[1]

 扇風機の羽根サイズはなぜか30cmが多い。家庭用では35cm前後のものがバランス良いはずだが、商品の数は多くない(候補を集めてみました。最後のリンクを参照)。

 

機能

 リモコン式で、OFFタイマーがついていれば十分。できるだけシンプルなものが使いやすい。

 

デザイン

 扇風機は室内で目立たず、風だけ作るものでありたいはず。色は床か壁に合わせてベージュ~ブラウン系のものを選ぶ。リビングにはベージュ、落ち着いた雰囲気が求められる個室や寝室にはブラウン系がマッチする。
 白(白すぎる白)や、黒、彩度の高い色(赤、青、緑)の商品は、使いこなしが難しい色なのでお勧めしない。

 

くび振りモーターの異音について

 扇風機を買って失敗することの一つに想定外の異音がある。一番多いのは首振り機構からの異音で、この問題は夜間に顕在化する(店頭テストでは周囲の音が大きくてわからない)。

 少なくとも寝室で使う扇風機は、首振りをON/OFFするとき後ろの出っ張りを押引するタイプ(昔ながらのもの)を選ぶことが、この問題を回避するポイントになる。

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  出っ張りの押引で首振りをON/OFFする形のものは、首振りの動力を羽根を回すモーターから得ている。機構的に音が出にくく、構造もシンプルで壊れにくい。

 

DSC01956 リモコンで首振りのON/OFFできるタイプは首振り用に別のモーターが使われている。コストダウンの弊害か、品質が良くないものが多い。

 写真はその例(日立製)。このタイプの商品は「ジリジリ」「カタカタ」異音が出ることが多い。耐久性も低く、扇風機本体のモーターより先に壊れてしまうことが多い。

 

再生ボタンを押すと写真の日立製扇風機の首振り異音を再生できます。

 

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ACモーターかDCモーターか

 羽根が30cm以下ではACモーター式でよい。ACモーター(インダクションモーター)は駆動周波数を変えないと回転速度が変わらないが、扇風機は不思議なことに強中弱の調節ができる。調べると、巻線の切り替え(極数切替)や、リアクトル追加(すべり量増加)で回転数を落としているらしい。後者の回転速度は成り行きで決まり、何となく回るだけになってしまうが扇風機ではこれで十分実用になっている[2]

 DCモーターでは回転制御が正確にきめ細かくできるが、小さな羽根との組み合わせでは風量調節の段階が無駄に増えるだけになる。消費電力が低いというが、電気代の差額より本体価格差の方が大きいため経済的なメリットは無い。音が静かという点(原理的に「ブーン」という電源周波数の関連音が出ない)も、運転音は羽根の風切音が支配的だからACモーターと実質大差ない。

 

DCモーターを使って期待される新商品

 DCモーターは、30cmを超える大きい羽根との組み合わせでそのメリットが生かせる。大きな羽根をゆっくり回せば、無音でふわっとくる自然風のような、これまでにない品質の風を作れる可能性がある。

 これまでリビング扇の主流が30cmだったのは、ACモーターが低速で回せない制約の為ではないだろうか。小さな羽根とDCモーターの組み合わせは間違っている。DCモーターは、大きな羽根と組み合わせるのが正解だ。ごく低速運転できる特徴を生かして大径リビング扇という新ジャンルを開拓できるかもしれない。

 ※:2016/8現在、DCモーターの40cm扇は現在テクノスKI-F811Rのみのようです。DCモーターでは必然的に首振りが別モーターになるので、異音や耐久性が問題になる用途には使えません。ここは当面、改善の見込みがなさそうです。

 

具体例

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 我が家の扇風機。いろんな商品を調査購入した。
 左手前の山善はアマゾンの人気商品だが風切音がやや大きい。
 右手前は山善のDCモータ式。首振りがリモコン式(別モーター)なので異音が出る。修理に出してモーターを交換したら静かになったので、個体差が大きい模様。

 

 左奥の日立製は羽根の固定ナット(スピンナー)が壊れて羽根が固定できない状態。これも首振りが別モーターなので異音が出る。

 右奥は東芝(F-LN5)。色以外問題は見当たらず、この4機種の中では最も良い。

 

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 日立製扇風機に使われる羽根の固定ナット(スピンナー)。右が壊れたオリジナルで左がこの代替品。

 

 オリジナルはセンターの金属ナットを覆っていた樹脂が割れ、金属ナットが飛び出している。原因は、金属ナットの圧入応力に対し樹脂の厚みが足りなかったこと。これは明らかな設計不良。おそらく、100%近い不良率に違いない。

※:ナットが取れたら羽根が外れて危ないではないか。安全にかかわることはリコール(無償交換)すべきもの。ところが日立は代替品を自分で買うよう案内しただけだった。「今後日立の商品は避ける」これが私の行動指針に加わった。

 

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 扇風機の用途にサーキュレーションがある。写真のvornadoは、遠くまで届く直進性の強い風を発生する。エアコンと併用して広いリビング全体を冷やすことができる。

  この手のサーキュレーターは小型で回転数が高いため動作音がうるさいものが多い。もう少し大きくてよいから、低い回転数で静かに回る商品が欲しい。

 

 

<参考購入先>
 扇風機はリモコンで首振りON/OFFできないものがお勧めです。日立と三菱は当方の観察で設計不良が目立ち、その修理代が消費者負担ですので避けるのがよいでしょう。
35cmのリビング扇
40cmのリビング扇
サーキュレーター 広いリビングで重宝するサーキュレーター。遠くに風を届けます

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 シーズンオフにはリモコンの電池を抜いておくか、写真のように絶縁紙(適当なペーパーでよい)を挟んで電池の消耗を防ぐとよいです。

 

<参考文献>
1.昭和後期における扇風機の発達 川崎医療福祉学会誌 Vol.19 No.1 2009 157-168
 私はこの文献にある1989年モデル( F-C304F)を所有。問題の首振りモーターは最初静かでしたが、異音が目立つようになって手放しました。
2.誘導電動機を速度制御する話