オリンパスTG-4~Web写真用カメラの決定版

 コンパクトカメラの市場はすっかりスマホに喰われてしまった。大多数の消費者はスマホで満足し、画質を重視するアマチュアは1インチコンデジかミラーレス。

 大きくかさばるデジ一眼を求めるのは、一部のハイアマチュアとプロ、それと子供の学校イベント命の奥様だけ。そんな構図になりつつある。

 私が撮る写真はWeb用とオークションがほとんど。趣味の写真は自己満足に終わる[1]が、Webやオークションの用途ではカメラで撮った写真が価値を生む。

 私はいろいろ実験をやるから、これまで、濡れても落ちても問題ないタフネス性を重視してカメラを選んできた。

 

ソニー DSC-TX30が壊れてしまった・・

 

 電池を保持する出っ張りが折れてしまったソニーDSC-TX30 私はこれまでソニーDSC-TX30を使ってきた[2]。防水と耐衝撃性などのタフネス性を備える。ところが、2年目に電池を保持する出っ張り(写真ブルーの部品)が折れた。

 最近のカメラは写真のように本体にケーブル接続して充電する形のものが多い。私はこれが気に入らなくて、電池を毎回出して外で充電してきたが、それが良くなかったようだ。

 

 

 USB端子は抜去の回数で決まる寿命がある。電池の飛び出しを防ぐブルーの部品を毎回開閉する場合と、どっちが長持ちするのか、普通は予測できない。

 ここは余計なことを考えず素直にUSB給電にすべきなのかもしれない。このトラブルを機に買い替えを検討して、次のカメラにオリンパスTG-4を選んだ。

補足:TX30は延長保証(PCボンバー)に入っていたので、念のため修理見積りを取ってみた。結果は修理代の半額も出ない結果だったが、TX30は意外に人気だったため、修理代を上回る金額で売れた。

 

オリンパス TG

 小さなイメージセンサーのカメラは明るいレンズとセットでないと良い結果が得られない。TX30とTG-4のイメージセンサーは同じ1/2.33″だが、TG-4にはF2.0の明るいレンズが乗るため、TX30に対し1.5EVアドバンテージがある。

オリンパス TG-4+FD-1と、これがすっぽり入るキャリングケース 購入したTG-4+FD-1。FD-1はマクロ撮影で威力を発揮するアクセサリー。内臓ライトより強力で、マクロ撮影でも高速シャッターが切れる。
 写真のケースは純正のCSCH-107。FD-1を装着したまま収納可能。

 黒に赤のアクセントは、アクティブ、スポーツをイメージさせる。それがケースまで統一されているので、ケースも欲しくなる。オリンパスにしては珍しく、いいデザインのカメラ。

 

 TG-4と同じ価格帯に1インチセンサー搭載カメラがあるが、多くがペナペナのアルミボディ。

 こういうカメラはコツンと当てただけで簡単に歪んでしまう。以前、パナソニックのコンパクトカメラ(LX3)を三脚に付けたら目を離した隙に風で倒れ、ケースが歪んで使えなくなったことがある。

 カメラにとって、堅牢で壊れにくいことは重要な商品価値だ。

 

TG-4の画像

 TX30,TG-4にニコンP7700を加えて比較した。すべて広角端、最高解像度、ISO最低、中央付近の等倍切り出し。

DSC-TX30 広角端の等倍切り出し

DSC-TX30 18M

TG-4 広角端の等倍切り出し

TG-4 16M,Flat

TG-4 広角端(RAW)の等倍切り出し

TG-4(RAW生出し) 16M

P7700 広角端(RAW)の等倍切り出し

P7700(RAW生出し) 12M

 4機種とも画角と解像度が少し違うので注意が要る。TX30は高画素を生かした巧みな映像処理でディティールを潰さず輪郭をくっきりさせている。これに対しTG-4はベタ塗り。TG-4のRAWにはディティールが残り素材として活用できる。P7700は3機種中最も低画素なのに、最も良い結果が得られている。

 TG-4のレンズ性能を細かく見ると、背景のボケはあまり綺麗とはいえず周辺解像度も落ちるようだ。これは明るいレンズの特性上、致し方ない。

 TG-4の等倍は鑑賞に堪えないが、3Mで運用するとこれらのアラが消えて大体満足いく画質で撮れる。Web用ではさらに縮小するのでほとんど問題ない。

 レンズが明るいので大抵ストロボなしで撮れてしまう。出来るだけストロボを炊かず、感度を上げるセッティングのようだが、ISO800くらいで撮った写真でもWeb用なら十分使える。

 Web用写真では解像度やノイズなど、世間でよく話題になるスペックよりWB(ホワイトバランス)の正確さの方が重要になる。WBの転びはTX30で気になっていた点だが、TG-4は比較的正確で使える。

 

<その他詳細>
 TG−4にはTX30のように白昼から使える手持ち夜景(6枚連写合成機能)が付いているが、TX30と異なり光学ズーム領域に限定されている。
 カスタム設定が豊富で、RAWのほか、露出補正、WBのプリセットや絞り優先モードなど一眼に迫る機能を備えている。このクラスのコンデジにRAWが付くのは珍しい。RawTherapeeで現像することで、可能な限りよい結果が得られる。

 

TG-4のアクセサリについて

 カメラを買うときセットで必要になる候補にレンズフィルターと液晶保護フィルムがある。

 TG-4の液晶画面は傷つきやすいといわれ、専用フィルムが必須になる。フィルターは最初から付いている形に近いので必要ない。

 コンバーターアダプタ(CLA-T01)を付けるとレンズ側を安心して下向きに置けるようになる。フード 兼 前面保護でこれだけ付けてもよさそう。

 別売りのテレコン(TCON-T01)は倍率が低く、AF的にも子供のイベントに対応するには役不足。ワイコン(FCON-T01)の方は買ってもあまり出番はなさそう。単に広範囲を撮りたいのならパノラマで良いし、合成ソフト(例えばmicrosoftICE)を使えばなんとでもなる。

 アクセサリはいろいろあるがアレコレ買い足していくとエントリークラスのデジ一眼が買える値段になってしまうので注意したい。

 

ドット抜けについて

 液晶機器を買うときのリスクに「ドット抜け」がある。高価なカメラにドット抜けが見つかるとハズレを引いたようで嫌な気分になる。

 イメージセンサーにもドット抜けや不良があり、こちらは新品のとき問題なくても使ううちに増えていく。これはピクセルマッピングで対処するしかなく、メーカーに出すとやってくれるが、TG-4にはこの機能が付いていてユーザーサイドで実行できる。長く付き合えそうなカメラだ。

 

<参考購入先>
オリンパスTGシリーズ
アクセサリ 歴代シリーズで共通して使える拡張部品も魅力です

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