2016年高画質デジタルカメラの選び方

 最近スマホのせいで市場が大きく様変わりし、高画質カメラの主役も変わってきた。沢山の商品が出ていて選択に迷う人も多いと思う。そこで創造の館の視点から見た、高画質デジタルカメラの選び方をご紹介したい。

 

消費者は何を撮っているか

 昔のカメラ売り場では、年配のおじさん、主婦、若い女性を見かけることが多かった。
 年配のおじさんは写真が趣味であり、花、昆虫、風景などを撮る。雑誌に投稿したりするので高級一眼を求める(入選すると、使用カメラ、レンズなどが掲載されるため)。
 主婦のターゲットは子供。室内で動き回る子供や学校イベントの両方の対応が必要で、カメラに対する要求が高い。レンズは室内用に標準、学校イベント用に望遠の2本が必要。軽くてAFが高速なEOS Kiss ダブルズームキットはこのニーズを的確に捕らえてよく売れてきた。
 若い女性はお友達などの人物がメインで、画質よりバッグに入れて邪魔にならないコンパクトサイズを重視し、自撮りニーズも高い。スマホが普及する前は、ここに大きな市場があった・・

 

スマホに奪われたコンパクト市場

 デジタルカメラの市場はスマホの登場で様変わりしてしまった。コンデジに使うセンサーのメインストリームは1インチにシフトし、それより小さいセンサーはスマホと差別できるカメラにしか採用されていない。

 写真はcoolpix p7700。このサイズに28-200mm F2-F4が収まる。1/1.7型だから出来たスペックで、APS-Cの世界から見ると驚異的に小さい。被写界深度が広く接写に強いため模型撮影で重宝している。

 センサーサイズの最適解が何かは、用途によって違うといえる。1インチがメインストリームになった今、p7700のようなカメラは今後作られないかもしれない。

 

 

高画質カメラの主役はミラーレスへ

 店頭でミラー付一眼を触ると、その大きさ、重さに驚くことがある。「こんなものは持ち歩けない」そう思った人もいるだろう。 ミラー付き一眼のメリットはAFの速度、光学ファインダー、画質の3点だったが、今ではコントラストAFやLVFの性能が向上し、小さなセンサーの性能も十分になってきた。それにミラー付きは構造上、動画撮影に向かない。動画が重視されるようになった現在、このことがマイナス要因になりつつある。
 EOS Kissなど、子供を撮る主婦向けのエントリー機も今後はミラーレスか1インチコンデジにシフトし、ミラー付きデジ一眼を求めるのは画質にこだわる一部のハイアマチュアと、プロに限定されていくだろう。プロは顧客からの見た目も重要で、大きいカメラが好まれるという。

 

乱立するミラーレスのマウント

 フォーサーズはパナの協賛を受けたおかげで現在マイクロフォーサーズの商品が充実している(フォーサーズには「フォーサーズ」と「マイクロフォーサーズ」があるが、ミラーレスではマイクロフォーサーズを指すのが普通)
 キャノン、ニコン、ソニーもミラーレスで独自マウントを展開しているが、1社だけの独自規格は先行きに不安を感じる。ソニーとキャノンはミラー付と同じセンサー(APS-C)をミラーレスに転用。設計にやや無理があるように感じる。

 ニコン、キャノンはプロ分野で圧倒的なブランド価値を持つものの、ミラーレスは試行錯誤の段階。このままいくと、最も大きな一般消費者向けの市場をパナソニックが奪ってしまいかねない。

 

ストリートフォトという新市場

 大きな一眼を首にぶら下げて外をフラフラしていると怪しまれることが多い。箱型の小さなミラーレスは警戒されにくく、ストリートフォトに適したカメラだ。
 ストリートフォトのゴールはブログ写真やSNS。パナソニックはこの市場をターゲットにGXシリーズを展開している。

 

イメージセンサーの大きさと画質の違い

 ミラーレスで使われるイメージセンサーのサイズには、1/1.7型、1インチ、フォーサーズ(4/3)、APS-Cがある。性能はセンサーサイズに比例するといわれるが、具体的にどの程度違うのだろう。DxOMARKというサイトでそれを定量的に知ることができる。これによると、1/1.7型を基準にした場合、性能(ノイズ、Dレンジ、階調)の性能比はおおよそ

1/1.7 : 1インチ : 4/3 : APS-C = 1 : 2 : 4 : 6

の関係になるようだ。この比率はほぼセンサーの面積比そのものであり、性能は単純にセンサーの面積比で決まると考えていい。1/1.7型とAPS-Cは6倍もあるが、モニターや印刷など表示側がボトルネックになっているのでISO増感&適正露出で撮った場合、目に見える差はほとんど無い。
 この差が現れるケースは、ISO増感時の「高感度耐性」、RAW現像時に露出を明るく(または暗く)したときの「ハイライト(シャドウ)の粘り」や「レタッチ耐性」になる。フォーサーズとAPS-Cの差は1.5倍しかないので、ここは大差ないと考えられる。

 上記の比率はセンサー単体の話であり、カメラの総合性能はレンズとの組み合わせで決まる。レンズの明るさ(F値)が1段暗いことはセンサーの面積が半分になったことに等しい。たとえばF5.6望遠+APS-Cの組み合わせはF4+4/3より性能面で劣るだろう。1/1.7型など小さいセンサーが乗るカメラは明るいレンズとセットにすることで性能を大きく改善できる。

 

センサーサイズと被写界深度

 被写界深度とはピントが合う距離のことで、ポートレートではこれを浅くして背景を綺麗にボカしたい一方、料理や模型など小物撮影では出来るだけ深くしたいことがある。
 被写界深度は計算で求められる。例えばポートレートを想定して焦点距離50mm、撮影距離5mとした場合の被写界深度は、おおよそ次のようになる。

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焦点距離50mm、撮影距離5mの被写界深度

 背景を綺麗にボカしたい用途では圧倒的にAPS-Cが有利なことがわかる。1インチのセンサーでも明るいレンズを使えばなんとか、ボケを生かした写真を撮れそうだ。
 次に、料理や模型など小物撮影を想定して焦点距離50mm、撮影距離0.2mとした場合の被写界深度を次に示す。

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焦点距離50mm、撮影距離0.2mの被写界深度

大きいセンサーでも絞れば被写界深度は増すが、小絞り限界を超えると解像度が落ちてしまう。ここは小さいセンサーが有利で、APS-Cで十分な被写界深度を得るのは難しそうだ。
 ボケと被写界深度の両方欲しい、そんなニーズに応えることができる解は、1インチ~フォーサーズのあたりにありそうだ。私はフィルム時代に50mmを使い込んだ経験から、中途半端にボケるくらいならパンフォーカスのほうが良いと思っている。

 深度もボケも、画像処理でどうにでも出来る時代になってきた。深度合成は実用化され普及している。ボケは課題が多いが、イメージセンサーのAF機能を利用して映像と一緒に細かい距離情報が一緒に得られるようになれば、それをもとに自然な擬似ボケを実現できるに違いない。

 

ますます重視される動画機能

 最近のカメラは動画サイトやSNSに対するニーズから質の高い動画機能が求められており、ここは今後重要になると見られる。今はまだ4Kまで必要ないが、4Kカメラは処理能力に余裕があり、これを生かした4Kフォトなど新しい機能も生まれている。
 十分な画質で撮れるようになると次に問題になるのが「音」。内臓マイクは機能と音質に限界があるためで、外部マイク端子の装備が必須になりつつある。動画撮影にこだわるならACアダプタで容易に駆動できることも要件に入れたい。

 

防塵防滴だけでは足りない

 防塵防滴が付くカメラは屋外の持ち出しで安心感があるが、メーカーによって性能に差があるようなので注意したい。屋外ではこのほかに「耐衝撃」も必要で、本来は「防塵・防滴・耐衝撃」の3点セットないと本来は片手落ちになる。屋外では防塵防滴より「耐衝撃」が重要になる。
 頑丈で軽量な材料にエンプラやFRP、ポリカがある。上手に使えば、チタンやマグネシウム合金より衝撃に強く頑丈なボディが出来そうだ。家電メーカーはペナペナのアルミボディをカメラに与えてしまう。打ち所が悪いと落下一発で終わりなので注意したい。

 

いくらくらいが妥当か

 昔は3年で陳腐化し5年でゴミ同然の商品だったが、最近は陳腐化4年、7年ゴミくらいに伸びている。投資額の目安を年間1万円とすると、コンデジの場合は5~6万円の商品を買って4年後売却することで年間1万円の運用ができる。レンズ交換式では8~9万円の商品を買って4年後にボディだけ売却すれば同様の結果を得る。10万円以上の商品は、まだ「お父さんの秘めやかな贅沢」といえる。
 買うときは発売日に注意する。1年前の商品は1年陳腐化が進んでいる。安く買えてもその分、使える期間が短いため、年間投資額は結局変わらず機能が低い分損になる。この市場は型落ちではなく新しいものを選んでいくのが正解だ。

 最近はレンズキットを買ってレンズ、または本体をオクで売却するパターンが増えている。このような状況が生まれる原因は本体、レンズキット、レンズ単体がそれぞれ適正価格で売られていない為であり、是正を求めたい。

 

具体的な例

 高画質カメラはマイクロフォーサーズ規格のパナソニックか、オリンパスのミラーレスを選ぶのが良いだろう。2社のレンズが共通して使えることが他社に対する最大の優位点になっている。

 

画質と動画に優れたパナソニック

 動画メインで考えるならパナ。ボディの作りは家電的だが、デジタル処理や電子回路設計の強みを生かしてカメラメーカーには作れない性能の「電子カメラ」を作っている。長らく無かったボディ側手振れ防止がようやく搭載され、購入の候補になってきた。レンズ設計に優れたツールを持っているのか、性能の良いレンズを多く輩出している。

 

堅実な作りのオリンパス

 カメラメーカーらしい堅実な作りの商品。OM-Dのエントリー機は子供を撮る主婦にお勧めできる。PENは誰に売りたいのか、いまひとつよくわからない。ハイエンドコンデジの代替にもならない。ターゲィングを見直したい商品だ。
 OM-Dで長年指摘されている欠点にデザインがある。軍艦部の形状、ダミーのペンタピラミッド、印刷されている字体すべてにリファインが足りない。最も残念なポイントになっている。

 

結局まだ私はたコンデジ・・・

 「そろそろレンズ交換式一眼が欲しい」そう思って検討を始めると、いつも引っかかってしまうことにレンズの明るさがある。よくあるF3.5スタートのキットレンズは屋外なら問題ないが、室内では暗い。ISOがあがってコンデジと大差ない画質になってしまう。一眼で明るいレンズを求めると、それ1本でコンデジが買える金額。
 「一眼なんだから多少高くても」と思ってみても、カメラ本体に明るいレンズ、望遠レンズ、マクロ・・と揃えていくと、軽く10万円を超えてくる。コンデジだと同じ用途を1台でカバーできて半分以下の出費で済む。一眼の機能画質に倍の値段を出す価値があるかといえばノー。そんなわけで、私はコンデジをずっと買い繋いでいる。

 

<参考購入先>
ミラーレス一眼
フォーサーズ フォーサーズはパナの協賛を受けたおかげで商品が充実しています
1インチセンサー搭載カメラ
プロ向けのフルサイズ一眼

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<参考サイト>
DxOMARK

 

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