クルマの異音がどこから出ているのか調べる方法

 最近のクルマは静かになった。これと同時に目立ってきたのが「異音」だ。特に「カタカタ」「ビリビリ」といった音は、たとえ僅かでもクルマの価値が下がったかのように感じさせる。
 そんな異音が気になってサービスにクルマを持ち込んでも改善するとは限らない。音源の探査は難しく、対策には時間を要する。メーカーや販売店にとって、異音というクレームは最も厄介な問題の一つ違いない。
 そこで今回は、クルマの異音がどこから出ているのか、調べるための調査の進め方と対策手段についてご紹介する。

 

要因の絞り込み

 まずは、どんな条件で異音が出るのか観察し、要因を絞り込む。

 

定速走行中の上下振動で出る

 パネルなど内装部材同士のこすれやあたり
 ケーブル類の接触
 ボンネットのガタ(クッションゴムのへたり)

 原因:気温の低下による寸法の収縮(隙間の拡大)、経時劣化によるゴム類のへたり、弾性樹脂の硬化など。

 ボンネットがカタカタいう場合はクッションゴムを少し回す(左に回して繰り出す)だけで改善することが多い、

 

 

加速、減速中に出る

 リアハッチのゴムクッションのヘタり
 タイヤハウスや足回りの窪みに嵌りこんだ小石や砂
 シート固定部のガタ
 可倒後部座席がしっかり嵌っていない

 原因:金属や硬いものとの接触。比較的高い音が出ることが多い。

タヤハウスの窪みに挟まった小石が原因で音が出ることがある。これは取り除くだけで改善する。

 

強い加速、減速で「ペコン!」

 スポット溶接部のはがれかもしれない。R32スカイラインで経験した。激しいスポーツ走行、タワーバーなどによる部分補強が原因。

 

特定の速度(回転数)で出る

 CVTのベルトとプーリーの当たり、CVT油圧系制御の発振
 タイヤの共鳴音。磨耗が原因。

左はタイヤ共鳴音の例。ヨコハマA-041、35km/h走行時のみ発生。対策はタイヤの交換しかない。

 

 


発生場所の特定方法

 こすれやあたりによる異音は、ハンマー加振で発生場所の探査ができる。走行中の異音はサスペンションを介して伝わってきた数Hz以下の微振動によるものだから、こぶしやハンマーで直接叩くといろんな音が出て問題の音が聞こえない場合が多い。こぶしで強く叩いて出るビリつきは対策の必要が無いので注意したい。

 低周波だけ加振できるよう、1ポンド(約450g)以上のプラスチックもしくはゴムハンマーにタオルをグルグル巻きにしたものを用意する。軽いものは低周波が加振できないので役に立たない。

 

 プラスチックの内装を叩くときは軽くトントン当てる感じでよい。

 内装を剥がしてフレームを加振する場合は2ポンド(1kg前後)のゴムハンマーを使い、厚手のゴムやクッションを挟んで「ドス」「ドス」という打撃音が響くよう叩く。ある程度力を入れて叩く必要があるので、打撃ポイントは剛性の高い場所を選ぶ。

 

 フレームを叩く場合、ドアを閉めて外から打撃した方がわかりやすい。この作業は2人で協力する。1人は外からフレームを叩き、もう一人はクルマの中に入って打撃の強さなどを指示する。叩く場所はショックのアッパーマウント周辺が候補になる。

PCB社インパルスハンマーの加振周波数特性(同社データーシートより)

 フレームを打撃して問題の音が出ない場合は加振する周波数範囲が不適切か、加振力が足りない。
 前者はクッションの硬さを変えて調整する。左の図は計測用のハンマー(インパクトハンマー)の先端硬さと加振周波数特性グラフ(参考)。後者は叩く強さを増すより、ハンマーの重さを増す方が効果的。

 

 


対策事例(フィット15XH DBA-GE8)

 

内装のビリつき(定速走行中)

 

 

 ケーブルクランプやコネクタには多少の隙間があり、音が出ることがある。ここに不乾性パテを盛っておく。プラスチック部品の接触には薄手のフェルトテープも有効だが、滅多に外さない部分は不乾性パテが簡単で減衰能力も高い。
 

  

 脱着可能なパネルのツメ、ケーブルとフレームが接触する部分にも不乾性パテが有効。

 

 内装のクリップを外すときマイナスドライバーでこじるとキズになったり破損することがあるので必ず専用工具を使う。写真のような内装はがしは必需品。

 一度外したらクリップにプラスチック用潤滑剤(Rational003sなど)を塗っておくと、脱着が格段に楽になる。

 

 写真は異音対策のためリアハッチの内張りを剥がしたところ。手を入れる窪みの部品を外すと、近くのクリップにアクセスできるが、たいへん固い。
 両側のオレンジ色のクリップを外すとき、内張りの座を破損しやすいので注意。

 

 

 

リアゲートからの異音(減速停止直前にチリチリ音)

 

 いろいろ調べた結果、写真のゴムクッションのヘタリが原因だった。ここがヘタると押さえが甘くなりヒンジから異音が出やすくなる。

 このゴムは左に回すことで前に出る。30度くらい回して改善した。

 

 

特定速度(回転数で)フロント床下からのゴニョゴニョ音

 時速15kmのき発生。音源はCVTだった。左は正常時との比較グラフ。

 ディーラーに相談しても「異常な音ではない」「ブレーキの擦れでしょう」という判断で何もしてもらえなかった。データーを取って交渉し、CVT交換してもらってやっと改善した。

 

 

<参考購入先>
ショックノンテープ
フェルトテープ
ゴムハンマー 出来るだけ重いものを。タオルを巻いて使います
内装はがし 安物はNG。必ずファイバー入りのものを選んでください
不乾性パテ ネオシールB-3は制振材にも使える万能パテです

<関連記事>
フィット床下からの異音データー
私のクルマ~R32 SKYLINE GTS-t TypeM
R34純正タイヤの共鳴音

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です