よく切れ、くっつかない包丁の選び方

 どこの家庭にも1本はある包丁。ホームセンターやスーパーで適当なものを買って済ましている人が多いのではないだろうか。包丁は奥様が握るもの。モノにこだわる旦那でも関心の低いアイテムかもしれない。
 ところで、包丁を握るとよくストレスを感じることが2つある。それは、切った食品が側面にくっつくこと、研いでもすぐ切れ味が悪くなることだ。

 写真はどこの家にも1本はある三徳包丁(貝印製)。上はステンレスの安価な商品。下もステンレスだが刃先だけモリブデン・バナジウム鋼で値段は5千円後半。後者の方が良く切れ、切れ味の持ちも長い。

 

 トマトにモッツァレラチーズを挟んだカプレーゼ。トマトを切れない包丁で切ろうとしても、潰れるだけで切れない。

 トマトは刃物の切れ味の状態をよく表す。毎日包丁を使った場合、安いステンレスで包丁は1週間、モリブデン・バナジウム鋼では2~3週間で、「切れが落ちた」と感じる。

 

 

 

刃物の性能は何で決まるのか

 刃先角度が同一の場合、「切れ味」と「切れ味の持ち」は硬いほど良い。しかし硬いほど脆くなり刃こぼれ(欠損)しやすい。そこで靭性(ねばり強さ)を持たせて硬さとの両立が図られている。
 一般に、硬さは鉄が優れ、靭性はステンレスが優れる。鉄は錆びるので、切れ味を維持するために手入れが欠かせない。

 

一般家庭ではどんな包丁がよいか

 一般家庭では靭性に優れるステンレス包丁がいい。安いステンレス包丁は1週間で切れ味が落ちるが、大抵の主婦は全く切れなくなるまで研がないので切れ味は問題にならない。カボチャなどの硬いものにガシガシ刃を入れるので、靭性の方が重要だ。
 ちなみに、靭性が最も低い材料はセラミック。刃こぼれしやすく研ぎ直しも難しい。ヘタをすると買ったその日のうちにダメにしかねない。セラミック包丁は使い捨ての消耗品だ。

 

値段の高い包丁ほど良いか

 良い(高価な)材料ほど硬さと靭性が高レベルでバランスするため刃物の性能は値段に比例する。三徳包丁では6千円がボトムラインの目安。1万円を超えると値段の差は装飾性が主体になって性能はあまり変わらない。独特の縞模様を浮かべるダマスカスには妖美が漂う。

 

どんな包丁を揃えれば良いか

 一般家庭では三徳とペティナイフの2本あればよい。魚を捌くには厚手片刃の「出刃包丁」、パンを綺麗に切るためには波刃の「パン切り包丁」があると便利。「刺身包丁」は大抵無駄になる。魚のサクを時々切る程度なら三徳の引き切りで十分。三徳で刺身が上手く切れない場合は研いでみるのが先だ。

 

 片岡製作所 Brieto-M12pro。の三徳とペティナイフ。右側面にデポット(凹み)があり食材が貼りつかない。
 本体はモリブデン・バナジウム鋼。切れ味良好、押し切りで皮膚が切れる。豆腐の賽の目切りを手の上でやると怪我をするので注意したい。オール金属製のため「シャキーン!」といい音がする。

 

 重そうに見えるが柄の部分が中空のため意外に軽い。包丁は元々長く使える日用品だが、この商品のように柄の部分まで金属のものは一生モノといっていい。高価だが、長く使えるから値段は問題にならない。良い物を買って高い利得を確定するのが正解だ。

 

 ちなみに爪切りも切れ味と値段が比例する。写真は貝印 Type005。軽い力でサクサク切れる。同社の下位のモデルと歯の形状が同じなのに、切れ味がまったく違う。これもおそらく材質が違うのだろう。

 爪切りのボトムは千円。爪切りも包丁同様、長く使うアイテムだから、長年切れない道具を使い続けるストレスがないよう、いいものを選んでおきたい。

 

 

<参考購入先>
ステンレスの包丁
ダマスカスの包丁 1本欲しいですが高いですね・・

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