050発信のIP電話は使い物になるか~TONEモバイルを徹底評価する

 「安いので仕方ないね」「まあオマケだし・・」050発信のIP電話が増え始めたが、その回線品質についてあまりいい評判を聞かない。

 TONEも050発信の端末だが、“フリービットグループ独自の技術によりクリアな音質を実現しています”という。「フリービット独自の技術」はおそらくEmotion Link(Emotion Link Active Node)のこと[1]。TONEはこれによって他の050データSIMよりはマシな品質を実現しているようだ。

 

050発信の品質

 050発信の回線品質が悪いという不満の主な中身は、「声が聞き取りにくい」「音が遅れる」こと。

 「声が聞き取りにくい」に関して、TONEは携帯電話の回線とそん色ない。時間帯やネットの混雑に関係なく安定して繋がる。ネットの状態が通話の品質にあまり影響しない形になっているようだ。但し時々音が途切れて(長い時は数十秒)相手の声が聞こえないときがある。
 音量をあげると少し音がビリつくが、これは回線品質の問題ではなく、スピーカーか筐体の問題。

 留守電もついているが、音声品質が悪くてよく聞き取れない。使えないレベルと考えてよい。

 

 「音が遅れる」とはどの程度か。これは測定可能なので測ってみた。

 測定方法は、TONE端末2台を2m離して設置し、受信側に録音機(ICレコーダ)を置いて、送信側のマイク近くで手を叩き、音声を記録する。

 左は実測した波形の例。波形左が手を叩いて出た生音、右側に見える小さな波形が受信側のスピーカーから出てきた音。波形表示ソフトのマーカー機能を使ってこの間の時間が正確に測れる。

 

 2m離すのはエコーやハウリングを防ぐため。環境により異なるが1mも離せばOK。測定は3回測って平均をとる。音は2m進む間に6ms遅れて録音機に届くので、これを測定値から引いて補正する。

 ついでなので、固定電話(コミュファ光)と、携帯回線(au)も調査に加えた。結果は次の通り。

 

表1.TONE IP電話回線の遅れ

パターン 遅延時間(秒) 備考
TONE→TONE 0.63  Wi-Fi経由だと
遅れが僅かに増える
au→TONE 0.70  
TONE→au 0.65  
固定電話→TONE 0.60  
TONE→固定電話 0.53  
固定電話→au 0.28 通常の参考 

 

 TONEの遅れは長くて0.7秒。通常(固定電話→au)の約2倍程度であることがわかった。

 0.7秒はハッキリわかる遅れだが、実用上あまり問題にならない。話の途中で割り込んだとき、0.7秒経たないと相手は気づかないので、そこで違和感を感じる程度。

 TONE以外の050発信の品質は手元にないのでわからないが、問題は徐々に改善されるだろう。「安い」ことは何より魅力ある価値だ。

 


「通信状態に問題があります」の原因と対処法

 TONEを使っていると、左のようなメッセージを見ることがある。この状態で使うと「モゴモゴ」「ゴニョゴニョ」いって聞き取りにくい。切れてしまうこともある。

 アンテナレベルが十分なのにこの症状が出る原因はアプリのバグ。やり方がわかると簡単に再現できる。

 

 
 

  この問題は、電話アプリを終わらせたのに受話器を置いていない状態になることで起こる。通話中にキーパットを開いたあと閉じ方がわからず、正規の手順以外の方法で通話を終わらせてしまった場合に起きやすい。

 

 「通信状態に問題があります」と表示されていても実際に通信状態に問題があるわけではないので、時間が経っても、場所を変えても改善しない。

 改善方法は一つ。[設定アイコン」-[アプリ]-右スライド[すべて]-[設定アイコン] と進んで、データー消去を実行し端末を再起動する(TONEのサポートで聞いた方法)。

 

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カメラの画質

  TONEはホワイトバランスやISO、色彩、彩度、などをカスタマイズできる。いろいろ試した結果、初期状態から

撮影モード「オート」 ISO「100」 シャープネス「低」 彩度「低」

で加工に適したナチュラルな絵が得られる。

 実用には彩度「中」の方が綺麗に見えるのでこれをメインに使っていくといい。下の写真はこの設定で撮ったもの。比較にコンデジのオリンパスのTG-4を使った。

画角

 画角は25mm(35mm換算)のTG-4と同じ。Exif情報によると、焦点距離3.5mm、f2.2、カメラメーカーFreeBit。
 TONEには周辺減光が見られる。この手の問題は通常カメラ側で補正されて表に出てこない。「フルスクリーン」で撮ると上下がカットされるので目立たない。

 

TONE m15

オリンパスTG-4

 

解像度

 下は上の写真の中央部をリサイズなしで切り出したもの。等倍で見てもTG-4とほとんど差がない。FHDの鑑賞に耐えるクオリティを得ている。

TONE m15

オリンパスTG-4

 下は周辺部(右端)のリサイズなし切り出し。なんとオリンパスが負けている。このあたり、センサーサイズが小さいほうがレンズ性能面で有利なので、仕方ない。

TONE m15

オリンパスTG-4

 

 

高感度ノイズ

 左の被写体を使ってISOを変えて撮影し、高感度耐性をチェックする。拡大部分は左下ざぶとんの端。

 

ISO100(TONE m15) f2.2 1/50

ISO100(オリンパスTG-4) f2.0 1/10

ISO1600(TONE m15) f2.2 1/50

ISO1600 (オリンパス TG-4) f2.8 1/100

 TONEのシャッター速度はISOを変えても同じ。おそらくTONEのISOは固定するものではなく最低感度の設定で、シーンに応じて自動的に増感するようだ。

 ISO1600の結果はTG-4と大差ない。細かいことを言わなければISO1600まで実用域と考えていい。

 

ダイナミックレンジ

 室内から窓の外を撮影。TONEの空は白飛びし物体の縁にパープルフリンジが盛大に出ている。ダイナミックレンジはとても狭い。10年前のコンデジレベル。
 TG-4は問題ない。センサーの性能の違いはこのようなシーンで顕在化する。

TONE m15

オリンパスTG-4

 

フロントカメラ

 全景と中心部切り出し。Exif情報によると明るさF2.8。画角はやや狭くなっている。解像度は画素なり。屋外ではなぜか中心部が暗く写る。屋内では問題ない。
 等倍で見るとノイズ除去の痕跡が目立つ。FHDに縮小してもアラが見える。フロントカメラのクオリティは低い。オマケとして考えたい。

TONE m15(フロント)

TONE m15(フロント)

 

 

画面の発色

 TONEは「MiraVision」という画質調整機能を搭載していて表示される色やコントラストを「自分の好み」ではなく「正確」に合わせることが可能。

 

 初期状態はパッと見キレイに見える色設定。明るさのダイナミックレンジは一般のPCモニターを超える。スマホでここまで必要かどうかは別にして、調整次第でかなりマシな色再現が可能になっている。

 

 

 画面の色温度を測ったところ、ピクチャーモード標準だと8200K。ユーザーモードで色温度のスライダーを最低にセットにすると6800K(尿液晶の境界は6500K付近)。6800Kにすることで商品写真の色合いをわりと正確に観察できる(詳細は別の記事で紹介)。

 


通信速度

 TONEは容量無制限、使い放題というが、時間帯により速度が激しく変動する。混雑する昼休みと夕方は50kbps前後になってしまう。一番使いたい時間帯が遅くて改善の手段もないのでは「使い放題」も意味がない。

 

 左はTONE付属のマイプラン設定アプリの速度計測機能を使って測った結果(2017/6月の平日データー)。

 12:30の最も混雑する時間帯は高速チケットでも改善しない。TONEで昼休みにネットを使うのは諦めた方がよさそう。

 

 スタンダードでも空いている時間帯はMbpsの速度が出ているが、動画の閲覧やアプリのダウンロードはTONE回線側で制限されていて出来ない。アプリのダウンロードや動画はWi-Fi接続するか、高速チケットが必要。

 


BlueTooth

 BlueToothとの相性は相手によって決まる。メーカー側でやる接続検証は大手キャリアのみで、TONEをはじめ格安携帯との接続検証はやらないことが多い。非対応でも使える場合が多いが、この手の情報はほとんどない。

 m15に関して当方で確認した結果は、以下の通りだった。

パナソニック ストラーダ系(CN-S300D CN-S310D)
 オーディオ再生〇、電話受信△、電話発信〇、トーン発信×

固定電話(ユニデン DECT3280)
 電話受信×、電話発信〇

※電話は受話器を置くボタンで受ける。相手側電話番号は表示されない。音声に高周波ノイズが乗る。

 非対応機器とペアリングすると予期しない障害が起こる可能性があるので、十分テストしてからの使用をお勧めする。

 


まとめ

・TONEの050発信の音声品質は実用レベル。遅れは0.7秒(通常の約2倍)。音声が時々途切れる。
 アンテナレベルが十分なのに「通信状態に問題があります」は、アプリのバグ(不具合)で出ている場合がある。

・ TONE内蔵カメラは10年前のコンデジレベル。「暗所」と「逆光」では画質が極端に落ちて使い物にならない。

・通信速度が遅く、昼休みにネットは厳しい。高速チケットを使ってもあまり改善しない。Wi-Fiなしの環境では動画再生やアプリのダウンロードができない。

 

  TONEは性能面で比較すると格安スマホの中ではかなりコストパフォーマンスの劣る機種だ。

 TONEの価値はやはり「TONE見守り」機能にあるようだ。家族の見守りに関する機能が異様に充実している。子供に持たせる前提で考えると、微妙に使えない性能にも納得がいく。

 

<参考購入先>

TONEアクセサリ

 

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<参考文献>
1.フリービット Emotion Link