2017年シビックタイプR!~また出た本格(風)スポーツカー

「320馬力!ニュルのタイム最速!!」期待を胸に買ってみると、予想しなかった意外な問題に気づく。「確かにすごい加速はする。でもコレは・・」我慢強い人は、数年乗り続けるかもしれない。そして「スポーツカーはもう二度とゴメン」で手放す。いつもこのパターンだ。

 

シビックタイプR 最大の欠点

 私は新しいクルマが出たというと、最初に重量を見る。なぜなら、クルマにとってそれが一番重要なスペックだからだ。そこで見たタイプRの重量は・・なんと1390kgもある。

 ここで、いつものグラフを再掲する。

グラフ1:走りが楽しく感じられる車重の限界(経験則)

 2000ccターボなら、少なくとも1.3トン以下で作らないと、何をどうやってもスポーツカーとして成立しない。残念なことに、ここで既にコケている。

(あくまで私個人の経験則に基づく評価です)

 

 

 いつもこのような結果になってしまう原因は、最初に明確な重さの目標が無いことが原因ではないか。

 「軽量化にこれだけ努力して結果こうなりました」というメーカーもあるが、スポーツカーは航空機のように全てのコンポーネントに重さの目標があって「この中に入らなければNG」とするくらいの重さ管理が必要だ。

 

 

パワーが十分なら重さは関係ないか

 このクルマのエンジンは、320馬力400Nmを発生する。2Lで4L(NA)並みのトルクが出る。パワーウエイトレシオはとても優れている。

 「パワーがあれば重さは関係ないサ」と、思うかもしれないが、それは違う。

 重いと力の伝わり「応答」が遅れる。応答は質量と剛性で決まるもので、パワーは関係ない

 いくらパワーがあっても、車体が重いと路面にグニャっと動力伝達される。ステアリングを切っても、グニャっと曲がる。
 400Nmといっても、ごく低速域では排気量相応のトルクしかないから、日常の取り回しが重い。

「このクルマは、アクセルを踏めばすごい加速をするんだぞ」

それは確かだが、その機会は滅多にない。結局、日常では重鈍で乗り心地の悪い部分しか与えてくれない。これを何年も我慢して乗ることになる。

 

 

扁平率30タイヤでは公道をまともに走れない

 重いクルマのグニャっとした応答の悪さはタイヤである程度改善できる。タイプRは、30(サンマル)という紙ペラのような超々扁平タイヤをつけてきた。当然、そのしわ寄せは乗り心地に行く。

 「アクティブダンパーが付いてるから大丈夫サ」と思うかもしれないが、これで変わるのは減衰だけ。バネレートまで変える仕組みではないので、乗り心地の本質は変わらない。それに、30タイヤの問題は乗り心地だけではない。

 以前書いたように公道を走る車の扁平率は55が限界。これ以上扁平率が高いと路面の凹凸にハンドルを取られやすくなる。30では僅かな凹凸にハンドルを取られてしまい、不快な思いをすることが多いだろう。フラットな路面以外、まともに走れないかもしれない。

 タイプRも結局、「スポーツカーのような外観と装備を与えた、乗り心地が悪く疲れるだけのクルマの一つ」と、私は見ている。

 

 

パワーの体験は試乗で十分

  大パワーのクルマに憧れを抱く人は多い。

「さぞや、気持ちいい加速が体験できるに違いない」
「そんなクルマが手元にあれば、日常が楽しくなるに違いない・・」

 パワーは買って3日で飽きる。レースに出るわけでもない人が、パワーを手元にキープするために何百万円も出すのは間違っている。もし大パワーを体験したかったら、試乗のときにやれば十分だ。

 

 

結局変わらないクルマ作り

 「大パワーのクルマにスポーツ風の外観と6MTを与えればスポーツカーの一丁上がり。ニュルのタイムで消費者にアピールすればクルマ好きに売れる」

 未だにそんな考えでクルマ作りをしているように見える。大馬力で速いクルマを欲しがるのは、ごく一部のクルマ好きだけ。多くの消費者が欲しいのは、タイムが速いレーシングカーではなく、日常使えるスポーツカーではないのか。

 

 

またしても6MT

 スポーツカーではもう一つ大事なチェックポイントがある。トランスミッションのギア間隔だ。

“テンポよくシフトアップしながらクルマを伸びやかに走らせる”

 これはMTでしか得られない、スポーツカーの醍醐味の一つだ。適切な間隔でギアが切られたMTは、シフト操作そのものが楽しい。

 5MTのレンジを細かく6つに切ってクロスレシオにしたり、燃費のカタログ値を良くするため不等ピッチにすると、この醍醐味が無くなってシフト操作が苦痛になる。これでは何のためにMTで乗るのかわからない。そんなクルマが多いので、私は「6MT」と聞くと、「こりゃまたダメかな・・」と思えてくる。

 これについてタイプRはどうなのか。次はこれを計算したグラフ。

 一番右がタイプR。ほぼ等間隔で、レンジも広い。NBロードスターのように「シフトがせわしすぎて楽しさ半減」とはならなさそうだが。

 はっきりしたことは、乗って確認するしかない。

 

 

 スポーツカーが6MTで計画されてしまうのは、無条件に有り難がる消費者が多いため。タイプRの6MTのフィールがマシであることを祈りたい。

※:どーしても6MTで作るというのなら、5MTのレンジの上に一生使わないハイギアを単純に追加するのがよい。これでクルマが台無しになるのを防げる。このギアの意味は、一生使わない数字が記されたスピードメーターと同じだ。

 

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