新車コーティングは不要~ガードコスメ CPCペイントシーラントの真実

 2000年頃、CPCペイントシーラントという商品をディーラーが扱っていた。1年ごとに点検を行い、5年間保証するという。R34スカイラインを買ったとき、これを施工した。ところがこれが、とんでもない代物だった。

 

CPCペイントシーラント

CPCペイントシーラントのチラシ

CPCペイントシーラントのチラシ

 2000年頃、日産のディーラーでもらったチラシ。

 
CPCペイントシーラントのチラシ(裏面)

CPCペイントシーラントのチラシ(裏面)

 チラシの裏面。スカイラインクラスで55,000円+2,450円。テフロンが本物なら、とても良い商品かもしれない。

 

CPCペイントシーラント 専用メンテナンスキットの案内 このコートをすると専用のメンテナンスキットをくれる。中身は、クリーナふき取り用の専用布、スポンジ、水ふき取り用合成皮、メンテナンスクリーナなどであり、それらが専用のプラスチックケースに入っている。

 

 

 メンテナンスクリーナの成分は珪藻土と有機溶剤。ワックスのように見えるが微粒子のコンパウンド。試しにCDに塗布してこすってみたが、キズが付く様子はない。粒子が非常に細かいようだ。 これは、皮膜が落ち着く前にボディ表面にこびりついた微粒子を落とすのが目的という。
 納車後はこのメンテナンスクリーナで定期メンテすることになっている。

 納車後、よく見ると白いワックスの拭き残しのようなものがみられた。表面を触ってみると、シリコン系ワックスでも塗ったようなスベスベ感があり、水をはじく。だが、皮膜のようなものは見えない。普通にワックスをした後と見分けがつかない。

 


 

TOTOハイドロテクト

TOTOハイドロテクトボディコートのチラシ 1999年頃、酸化チタンを使ったボディコートが実用化された。このボディコートは、雨が降り、日光にさらされるほど汚れが落ちてクルマがきれいになるという。屋外駐車のオーナーにとって、理想に見えるコーティングだ。 但し、良いことばかりとは限らない。

 

酸化チタンは白い粒子のため、ワックスのようなツヤは期待できない。濃色車に塗ると白くボヤけた感じなってしまうだろう。そのため、このコートは濃色車には向かないとされる。

 酸化チタンそのものの寿命は半永久的だが、クルマの塗装面にはバインダーで固定しなければならない。従い、コーティングの寿命はバインダーの耐久性によって決まってしまう(このあたりはフッ素樹脂と同じ)。

 

TOTOハイドロテクトボディコートのチラシ中身 

 

 酸化チタンで汚れを落とす原理は、水と光による酸化作用だ。とすると、同時に塗装面も劣化させる恐れがある。おそらく、これを防ぐために下地コートをすると思う。この下地コートもコーティングの寿命を左右する要因だ。

 酸化チタンのコーティングサービスを始めたと言うことは、この辺の課題をある程度クリアしたのかもしれない。

 

 


 

その後(2003/10/5追記)

 CPCペイントシーラントをスカイラインに施工して3年。TOTOハイドロテクトをプラッツに施工して4年。これらの結果についてご報告する。

 

 CPCペイントシーラントのその後

 施工後約1ヶ月で表面のワックス成分が流れ落ち、水はじきがなくなった。何となく汚れが落ちやすいと感じたのは施工後半年くらいまで。

 3年経過すると、バンパーにこびりついた虫はなかなか取れないし、鳥の糞や水垢の落ちに関しても、何もしていない場合と大差ないように見える。

 以前施工したPIT WORKのキララ[3]は、保証が切れた後、部分的に残った皮膜を確認できた。しかしこの商品は、何も見えない。表面にコーティング皮膜があるのかさえ疑わしい。

 CPCペイントシーラントは定期的に点検を受けないと保証が無効になるので毎年点検を受けているが、4年経過後も相変わらず。何もしていないのと同じに見える。

 点検を受けるといつも合格印をくれるが、目視で確認できない皮膜の状態をどうやって検査しているのだろう。ディーラーのサービスに検査方法を聞くと、具体的な判定基準などは無く、パッと見て綺麗ならば良しなのだという。

 わずか数ミクロンの被膜が何年もそこに存在し、ボディを保護することについては疑問だったが、効果が無くなったら再加工してもらえばいいと考えていた。しかし効果に関する具体的な判定基準が存在しないのでは、保証がないのと同じ。高いお金を払って施工した意味がなかった。

 

TOTOハイドロテクトのその後

 効果の持続期間が6ヶ月と常識的で、それなりに効果があったように思う。しかし6ヶ月という期間はあまりにも短い。あっという間にすぎてしまう。そのたびにお金をはらって再加工というのでは、なかなか続ける気にはなれない。これがこの商品の欠点だった。

 ハイドロテクトはやめるときに除去加工が必要で、これを怠ると問題が起こると言われている。それが下の写真。

TOTOハイドロテクト施工後のボディ残留物の様子 これはハイドロテクトを1回施工した後、除去しないで3年経過した様子。白っぽい付着物がボディに付いているのがわかる。これはおそらく酸化チタン。頑固にボディにこびりついている。

 見た目は汚いが、酸化チタンそのものは劣化しない。これはこれでボディを保護しているといえなくはない。幸いなことにクルマの色がシルバーの為目立たないが、別の色だったら問題が起こることが想像付く。

 

 酸化チタンの残留物は爪で引っ掻くと取れるので、磨きをかければ綺麗に全て取り除けそうだ。いずれにしても、このように加工後4年後も被膜の存在が確認できることはすごいことだ。

 

ガードコスメに注意!(2019/3/9)

 CPCペイントシーラント同様、毎年点検することを条件に5年保証するというもの。調べてみると販売元はCPCペイントシーラントと同じ中央自動車工業株式会社。

 CPCペイントシーラントは過去「新車時の塗装の輝きが5年間維持される」が虚偽としてウイルソンに訴えられ裁判になった。一審で負けたが控訴審で勝った[4][5]ので、このビジネスを復活させて堂々と商売している。

 この商品の問題はやはり誤解を与える「5年保証」という広告文字にある。同社の説明では

 

「明らかに塗装の光沢が劣化したと認められた場合、施工直前と同様の光沢状態へ復元することを原則としています[3]

 

というが実に曖昧だ。「明らかに塗装の光沢が劣化した」とは、具体的にどういう基準で判定されるのか。劣化を判定する範囲は一部なのか、全体なのかもはっきりしない。補償するのは「光沢」であって、被膜については何も保証してない点にも注意したい。

 曖昧な部分を聞いて納得いく答えが返ってこないなら、やめた方が良いと思う。例えば「見た目で判断します」はNGだ。ちなみに私の場合は、次のような解答が来たら施工してよいと考えている。

 「施工前にボディ100カ所の光沢度をJIS Z 8741に基づく光沢計で測って記録します。点検の際、同じ場所を測定して光沢度が一部でも当初の50%を下回った場合、施工直前の光沢度に復元します。」

 「コーティングの被膜については、施工後膜厚計を使って100ヵ所測定し記録しておきます。施工当初から半分以上削れた場合は再施工して復元いたします」

 被膜の有無は、紫外線検査で代替してもよい。

 

結論~新車にコーティングは不要

 最近のクルマの塗装は良くなっている。新車コーティングして「汚れが落ちやすくなった」「洗車が楽になった」という人がいるが本当だろうか。新車を2台並べて比較したわけでもないのに、どうしてそう言えるのだろう。

 私は、洗車の作業を楽にするためにワックスやコーティングをかける、という考えから抜け出して欲しいと思っている。

 塗装を削らないと取れない厄介ないイオンデボジットは、水道水が原因。砂埃が舞う屋外で手洗いすれば、必ず微細なスリ傷をつけてしまう。

 “新車時の塗装の輝き”を維持させたいと思うのなら、何かを塗るのではなく、「手洗い」を無くすことを第一に考えていきたい。近年、高圧洗浄機が普及した[2]。これを使って「触らないで洗う」のが最もボディを傷めない手入れの一つだ。

 新車を買ったら、コーティングに金を出すのではなく、そのお金で高圧洗浄機を買う。今後はこれが最善の行動だと思う。出来るだけ触らないことが、ボディを長く良い状態に保つために大切な行動だ[1]

 

 

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<参考文献>
3.ガードコスメの保証規定
4.H17.8.10知財高裁 平成17(ネ)10029等 不正競争民事訴訟事件 裁判所の公開資料
5.「5年間ノーワックス」広告に逆転判決