洗車スポンジ濾材を使った濾過システムの標準構成

 アクアリウムで使う濾過システムの標準を作った。このシステムは次のコンセプトから成る。

1.生物濾材の容積を大きくとり濾過能力を最大限引き出す。
2.物理濾過と生物濾過を分離しメンテナンスを容易にする。
3.メンテナンスの際、生物濾過にダメージを与えない。

 

上部式フィルターの場合

 洗車スポンジ濾材、リング状濾材、ネットの3層構造とする。リング状濾材は、水質に影響を与えない物を選ぶ(セラミック系がよい)。ネットは、2~3mm目くらいのものなら何でもいい。写真は台所の三角コーナ用に売られている物を流用。

 リング状濾材は、比重の軽いスポンジ濾材が動かないようにするための重石と、上から落ちてくる水を適度に偏流分散させる役割をする。この層はスポンジ濾材を軽く覆う程度に敷けばよい。 この構成により、濾過性能、メンテナンス、長期安定性に優れたシステムを実現できる。

 ガイドプレートからの落差は10~15mm程度が適当。狭いほど濾材の量を増やすことができるが、これ以上狭いと水が特定のリングだけを伝ってしまい均等に分散されない。

 物理濾過は最上層に配置したネットで行う。ゴミが溜まってきたら、ネットだけ取り外して洗浄することで、濾材のバクテリアにダメージを与えることがない。

洗車スポンジ濾材を使った上部式フィルターの構成図

 下の写真はわかりやすいように1/3ずつ重ねてみたところ。

洗車スポンジ濾材を使った上部式フィルターの中身

 

上部式フィルターで洗車スポンジ濾材をネットに入れて使った例2018/12/1追記

 リング濾材を使わない形に改良した。写真は上部式濾過器の洗車スポンジ濾材。台所用の水切りネット(100均)に分けて入れて、クリップイットで留めてある。上記のセラミックリングを敷くより多くの濾材をインストールでき、メンテナンスが容易になる。

 

 

外部式フィルターの場合

洗車スポンジ濾材を使った外部式フィルターの構造図 基本的に最上部に濾材の流出を防止するための柵(目の粗いスポンジやネットなど)を設け、あとの空間はすべて洗車スポンジ濾材を詰める。

 外部式フィルターでは通常、水が下から上に向かって流れる。フィルターの上端部に濾材が出てしまうような穴がある場合は流出防止柵がいる。この柵は、濾材が出てこない程度の目の粗さをもつプラスチックやステンレスネットで良い。目が細かすぎると詰まりの原因になるので注意して欲しい。

 商品によっては、ここにスポンジフォームが配置される場合があるので、これを流用しても良い。厚すぎる場合はカッターでカットして使う。

 物理濾過は、吸水口にスポンジフィルターを取り付けて行う。以上の構成で、フィルターの内部空間すべてを生物濾過に利用でき、メンテナンスはプレフィルターを外して洗うだけで済む形にできる。

 

 新品の洗車スポンジ濾材を使って濾過を開始するとバクテリアは酸素の豊富な最下層から発生していくので、上に向かって色が薄れていく茶色のグラデーションができる。このようなグラデーションが明瞭に確認できるのも、洗車スポンジ濾材ならではの特徴。

 外部式フィルターのポンプが弱かったり、フィルターの通水抵抗が気になる場合は、フィルターの容器の第一層(最下部)に入れる洗車スポンジ濾材のサイズを大きめにする。

 

<参考購入先>
エーハイム クラシックフィルター 外部フィルターの定番。コンテナが無い分沢山の濾材を詰め込める。スポンジ濾材は台所用の目の荒いネットに入れておくと簡単に取り出せる
上部式フィルター覧 コストパフォーマンスに優れたフィルターです
ストレーナー付スポンジ 吸水部に付けるためのプレフィルター。φ50-100 接続部16/21(相手と接続できるか確認ください)

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