ケーブルで音が変わるのはなぜか~バカにできない接触抵抗の影響

 「ケーブルで音が変わる」と主張する記事が多くある。「ケーブルで音が変わるのは常識」とする風潮もあるようだ。理屈上は、同じ長さ、同じ太さのケーブルを交換して聴感でわかるような音の変化が起こることはありえない。

 しかし実際には、ケーブルを変えると音が変わることがある。それは、「ケーブルを変える」作業によって、ケーブル以外のところで、いろいろなものが変わる為だ。

 

ケーブルを抜いて挿し直すだけで接触抵抗が変わる

 ピンケーブルを使った接続では電気接点が存在する。プラグと端子を接続した状態の等価回路を次に示す。

 

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 Rp,Rtは導体のインピーダンス、Cp,Ctは絶縁体の静電容量、Rp,Rtは絶縁体の絶縁抵抗。

 これらはプラグや端子の作りによって決まるが、オーディオの帯域で問題になることはない。Ccは接点に存在する静電容量だが、これもきわめて小さいので関係しない。

 Xc は、わけのわからない半導体成分。接点に存在する酸化物や異種金属との接触、汚れ等によって特性が変化する。Xcは理屈上、音色の変化を説明できる唯一の存在だ。

 

 

ケーブルの影響は出力インピーダンスで変わる

 ケーブルの影響は繋ぐ機器の出力インピーダンスよって変わる。一般にオーディオ機器の出力インピーダンスが大きいほど、この影響が大きい。

 アンプとCDプレイヤーや、プリアンプとパワーアンプの接続では、出力インピーダンスが高いためノイズが乗りやすい[1]。そのため、ピンコードやXLRケーブルはシールド構造になっている。

 パワーアンプとスピーカーの接続では、出力インピーダンスが低いためノイズが乗らない[2]。スピーカーケーブルにとって重要なのは、低い出力インピーダンスを上昇させないこと。

 

 スピーカーケーブルで出力インピーダンスを上昇させる要因に、ケーブルの電気抵抗と端子の接触抵抗がある。後者は数ミリオームある[3]ので意外とバカにならない。新しいケーブルを買ってきて、古いケーブルと差し替えれば、接点の接触状態に変化が起こることは容易に想像つく。

 スピーカー端子に刺していた裸銅線。時間が経つと酸化してツヤがなくなる。新しいケーブルを買って線を剥いて使えば、接触抵抗が変わるので、音が変わる可能性は十分ある。

 

 

 

雑誌の比較記事は参考にならない

 ケーブルを比較する場合は、誤差要因となる「接触の影響」を無くさないといけない。それにはプラグを切り取って端子にハンダ付けする必要がある。

 雑誌等に見られるピンケーブルの比較記事は、スピーカーの場合はケーブルの抵抗、ピンケーブルの場合はプラグとの接触の差を聞いているだけとみられる。

 

 

ケーブルに振動対策は必要ない

 磁場の中で導体を動かすと電流が流れる。地磁気の中でケーブルをいくら揺すったところで、音に影響するような電流は生じない。但し、機器の出力インピーダンスがかなり高い場合は、ケーブルを揺らしたき静電容量の変化で低周波のノイズが乗ることがある。

 いずれにせよ、もし振動で音に影響する現象が生じたら、それはよほど粗悪な商品を使っている証拠だ。

 

 ケーブルで振動対策が必要な部分があるとすれば、電線の部分ではなく、両端の接続部になる。「ケーブルを振動対策したら音が良くなった」という話が本当なら、接触が安定した為に違いない。

 スピーカ端子の接触抵抗はピンケーブルと違って敏感だ。ミリオームのオーダーがダンピングファクターに影響する。裸線の皮を剥いて挿して終わりでは安定した接触は望めない。

 

 

ケーブルを繋いだらここをチェックせよ!

 ケーブルを接続したらチェックすべきことがある。音を出した状態でプラグをひねったり、上下左右から指ではじいてみて、音に変化がないことを確認する。
 少しでも雑音が出る場合は、接続を改善しなければならない。改善できない場合は、その端子はもうダメである。

 

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