CDプレーヤの音などというものは存在しない~CDプレーヤの選び方

 CDの黎明期にはメカやデジタル信号処理系に多くの技術的問題があり、日進月歩の進化がみられた。しかし今や、それらの諸問題はすっかり改善され、チップ統合と生産設備も償却が終わって驚くほど安く作れるようになっている。

 性能は数万円の機種も数百万円の機種も同じであり、金額による音の差は無いといっていい。

 高額な機種は、音質とは関係ない外装やデザインに物量を投じたり、失われた信号を復元すると称する機能を加えて、なんとか付加価値を見い出そうとしているようだ。

 

D/A変換による音の違い

 D/A変換は大きく分けてマルチビット方式と1ビット方式に分かれる。1ビット方式はノイズシェープ※1と組み合わせたΔΣ方式が主流。過去、これら方式の違いによる音の差が議論されたことがある。

 「1ビットは低音が弱い」といわれた時期もあったが、現代では技術が進歩し聴感上の差はなくなっている。

 マルチビット方式では「オーバーサンプリングデジタルフィルタ」※2が必要であり、倍率を競った時期もあったが、最近ではカタログ上の「何倍オーバーサンプリング」という能書もみかけなくなった。

 デジタル処理に関する基本はこれだけであり、あとから追加された様々なメーカの独自技術は、この処理をちょこっといじったものか、ハナ薬を加えた程度のものにすぎない。

※1 量子化誤差を微分することで高域に追いやるしくみ。次数は微分の次数を示し、次数が高いほど可聴域の雑音が減る。
※2 デジアナ変換するときにローパスフィルタがいるが、44.1kHzのままだとこの設計がかなり苦しい。そこで、より高い周波数でオーバーサンプリングして、デジタルLPFをかけで出力する。こうすると雑音が高周波に追いやられ、アナログLPFの負担を軽減できる。4倍オーバーサンプリングというのは倍数は44.1kHzの4倍でサンプリングしていることを示す。倍数が高いほどノイズが高域にシフトするが、4倍あれば十分でそれ以上あげても結果に差はない。

 

失われた信号を復元できるか

 レガートリンクコンバージョン(パイオニア)を皮切りに、それに類する機能が登場してきた。まず、元々記録されていない情報を復元することは、原理的に不可能であることを知っておきたい。

 これらの技術は結局、推測で作った擬似信号を付け加えただけであり、元の音に比べて良くなったのか、悪くなったか、どちらともいえないものだ。いずれにせよ、こういう余計なものが付かない方が忠実再生に近い。

 

CDの二度入れ、2枚重ね再生、エッジの緑ペイント・・・

 これらで音が変わると言われた時期がある。「気のせいでしょう」と言いたいが、理屈で説明できることが一つだけある。それは、エラー訂正によって生じるサーボ電流が、アナログラインにノイズとして影響するというもの。

 安いポータブルプレーヤならともかく、Hi-Fiプレーヤで変わるのが本当なら、よほど機器の作りがボロいと考える以外にない。

 

結論~CDプレイヤーの音は存在しない。しかし新たな課題が・・

 CDが出た当初、デジタルだからプレーヤで音が変わることはないと言われた。しかし当初のD/A変換器は、性能が十分でなかったから、実際には微妙な音の違いがあった。それから技術が進歩し、現代では音の差は無くなりつつある。

 今やアンプとの接続がデジタルになり、プレイヤーはデータを送るだけの機器になっている。でもまだ「デジタルだから劣化しない」と考えることはできない。実は新たな課題が生じている。

 それは、サンプリングレート変換に伴って生じる変換歪とジッター。今後はこれらについてどんな対策をしているか、チェックしていくことになりそうだ。

 

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