試乗記~スバル インプレッサ S-GT 5MT(CBA-GH8)

試乗日:2007/6/24

ボディ・内装

 外観はBMW3シリーズをモチーフにしたことは明らか。フロント、サイド、リアなどBMWのコピーだが、モロマネではなく部分コピーのため、ぱっと見は違うクルマに見える。但しドアノブの線に沿ってエッジを立たせた造形は露骨なっコピーに見える。

 

 内装デザインに見るべき点は少ない。先代に比べて質感がダウンし軽自動車並になってしまった。

 皮シボ模様のパネルはいかにもプラスチッキーで、シルバーの部分もノッペリしていて質感がない。天井パネルも中身が無くなってボンつくし、バイザーも素材がグレードダウンしている。サイドブレーキにブーツがあろうが安く見える事に変わりない。

 空調騒音は従来通り、問題ないレベルにある。オーディオの音質はオーディオレスだったため不明。

 安くみえる外観から一転、ボディやサスペンションなど中身には相当お金がかかっている。ドアの閉まり音やウインドウ上下作動音は先代同様重厚感あふれるもの。このあたり、見えない所は徹底的にコストを省くトヨタと対照的。

 ただ、コストの配分にムラがあるようだ。例えば、ボンネットのダンパーやワイパー、ヒーター付きミラー、グローブボックスのダンパーなどが部分的に贅沢に見える。

 

走り

 以前、インプレッサはSTiでないWRXがベストと考えていた[1]。ところが近隣他県まで含めて試乗車がなかったため検証出来ないままだった。今回のS-GTはこのWRXに相当するものであり、モデルチェンジによってようやく検証の機会を得た。

 実際走り出してみると、インプレッサの乗り味がしっかり継承されている事がわかる。一言で言えば「重装甲車」で、STiより100キロ軽くても重ったるい印象はあまり改善されていない。この車重であれば軽快なドライビングを味わえると期待していたが、それは無かった。

 コーナを攻めてみるとハンドルを切った以上に曲がる感じで思い通りに走る。ただ4WDはスタビリティが高すぎて面白みに欠ける印象がある。タイヤのグリップを前後で変えてオーバーステアに振るのも手かもしれない。

 エンジン音は従来とほぼ変わらずだが、ターボ補機類の音が若干被って聞こえる。

 高回転で音はかなり大きくなるが音色は破綻しない。予測通り低速から十分なトルクがありターボとのつなぎも割とスムース。アクセルオンから3秒待たないと加速が始まらない高圧縮ターボとは異なる。

 クラッチはやや重めだがSTiほどではない。5MTはストロークが短すぎて入りがやや渋い。このあたり、何でも短めがよいと考えるのは間違い。とはいえ、STiのような「叩き込む」感覚ではない。

 乗り心地はとてもよく、乗用車並。17インチ50タイヤでも尖った感じは全く認められないし、ロードノイズもほどんと目立たない。

 

総合

 新しいインプレッサは従来のスパルタンなイメージを捨て、より一般ユーザ向けに生まれ変わった。従来のインプレッサはパフォーマンスだけが売りで下位グレードに魅力は無かったが、今度は下位グレードがメインであり、しかも中身が手抜きされずしっかりと作られている。

 クラス不相応に力の入った中身は、ラリーに出る事情があるのかもしれない。

 新しいインプレッサはこのクラスの大衆車ではあり得ない「走りの質感」を実現している。今時の大衆車は見てくれだけで中身が無いから、乗り比べれば一発で違いがわかると思う。

 ラインナップはとてもユニークで1.5LクラスにMTを用意しているところがいかにもスバルらしい。まるで、「MTで存分に走りを楽しんでください」と言っているようだ。この1.5Lは排気量に対して車重が重めだが、MTではギア比が低めに設定されており意外と楽しいかもしれない。

 S-GTにはスポーツパッケージがある。17インチのタイヤサイズが205/50であり、轍にハンドルを取られない基準を満たしている[2]。しかしホイールデザインがBMWそっくりであり、コピー商品のイメージが強調されてしまうのが残念な点。

 そのうちSTiも出るだろうが、こちらは前例のごとくマニア受けの装備をゴテゴテ付けて重くなってしまうだろう。ピークパワーを稼ぐために低回転トルクが犠牲になることも予測される。

 とはいえ、STiのような特殊なグレードがメインでなくなり、S-GTのようなモデルが主力になったことを素直に歓迎したい。

 

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