当サイトで洗車スポンジ濾材を紹介してから13年になる。アクア用濾材の定番としてすっかり定着した感がある。近年、類似商品が登場してきたので、従来あるものを含め定性的な比較をしてみた。洗車スポンジを角切りしたものと同じ商品は見当たらない。
スポンジ濾材の比較
洗車スポンジ濾材 | ADA バイオキューブ |
ゲルキューブ | ウレタンサイコロ 15mm角 |
|
濾過面積(長期) | ◎ | △ | △ | △ |
長期使用 | ◎ (ポリエーテル) |
○※ | △ | ○※ |
バクテリアの定着確認 | ◎ | △ (Blue) |
◎ | × |
価格(円/L) | 約150(自作) | 750 | 1400 | 500 |
※:材料が不明だがポリエーテル系なら◎。
ADAバイオキューブは古くからある商品。濾過面積は小さい。これは以前から指摘している通り気孔率が高すぎる(スカスカの構造)のためである。製品色Blueはバクテリアの色(茶色)に近い色相であるため定着の確認が黄色ほど容易ではない。
ゲルキューブは乾燥PEG(ポリエチレングリコール)のゲルを発泡させて角切りしたもの。気孔率はバイオキューブと同じ。長期使用は未検証だが水で膨潤し生分解することから△とした。
ウレタンサイコロはサイズが大きすぎて体積効率が悪い。細目(標準品)と荒目があるが、細目は目詰まりして長期的な濾過面積は立方体の表面積と同等になる。荒目の気孔率はバイオキューブらと同等。
上記は私個人の主観なので異論もあるだろう。いずれにせよ、今でも総合性能で洗車スポンジ濾材がベストと私は思う。
洗車スポンジ濾材の改良
洗車スポンジ櫨材の欠点は比重が軽く、新品のとき水を弾きやすいことがあげられる。この問題はリング濾材を重石につかうか、ネットに入れて使えば良い話だが、寒天でコーティングする手がある。
寒天は水を含むと膨潤しゲル化する物質で、PEGゲル同様高い親水性をもつ。寒天は生分解する物質なので、最終的には消えてなくなり通常の洗車スポンジ濾材となる。
この生分解(バクテリアのエサになる)ことと、親水性がどのように濾過の立ち上がりに寄与するか実験してみたが、従来の寒天ゲルコートしていないものに対して明確な有意差は認められなかった。従い寒天ゲルコートの効果は、その親水性により初期のインストールを少しやり易くするだけと見ておきたい。
寒天にいろんな物を混合してコーティングできるので、従来にない機能をもたせることができる場合がある。水に入れるとこれがじわじわ溶け出して、水槽に何らかの効果を働かせることが可能。その効果は永続的ではなく、寒天の消耗とともに消えるので後腐れもしない。水槽立ち上げ初期の手助けになる用途が考えられる。
例えば、生きたバクテリアを寒天に閉じ込めて乾燥させれば長期保存可能なバクテリア付きの濾材が出来る。砂糖を混ぜておくことでパイロットフィッシュなしで濾過の立ち上げを完成させることが出来るかもしれない。砂糖をエサに微生物を持続的に発生させ、それをパイロットフィッシュの代わりとする仕組みだ。
興味のある方はいろんなアイディアをトライしてみてほしい。あなたのアイデアが、スポンジ濾材をアップグレードさせるかもしれない。
<寒天ゲルコートのレシピ>
寒天は約90℃で溶解、約40℃で凝固する性質を持つ。寒天の粉末を溶かすときは水のときに混合して沸騰するまで加熱する。熱に弱いもの(バクテリアなど)を混ぜる場合は凝固点近くまで冷えてから混ぜる。砂糖を混ぜると凝固点が上がるので注意。凝固する前にスポンジとまぜてよくもみ、染み込ませる。
他、寒天はスポンジの切断加工を容易にする用途にも使える。ゼラチンでも代替できると思うので、試してほしい。
<参考購入先>
濾材一覧 能力と価格は関係ありません
スポンジ系濾材
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洗車スポンジ濾材