ロクなダシが無いではないか~顆粒だしと煮干し粉で究極のダシを作る

 昔はどの家にも鰹節削りという道具があった。母が毎朝シャコシャコ削っていたのを覚えている。「削りたての鰹節が最高に違いない」そう思って鰹節と削り器を買ってみた。子供のころ、お手伝いした記憶を頼りに削り節を作り、味噌汁を作ってみた。さてそのお味は・・

このいかにも薄い鰹ダシの味噌汁は、遠い昔、子供の頃に飲んでいた味そのもの。久しく口にしなかった懐かしい味である。

今回のダシは鰹100%だが、これが最高かといわれると疑問符が付く。量が足りないのか、そう思って鰹節の能書きを見ると水に対して2~4%(重量比)が目安とある。

 

鰹節削りの例

 鰹部石削りの例。長方形の木箱で、上にカンナのような刃があり、下が引出しになっていてカツブシを入れることができた。

 

正規の分量で味噌汁を作り直してみる

味噌汁に必要な鰹節を計量している様子 4人分の主な具材は写真の感じ。水0.6L、鰹節18g(水の重量比3%)。 見た目には結構沢山の鰹節を使う。

 この量は最初に使った量の3倍以上。

 

 

 削りたての鰹節で作った味噌汁 きちんと計量して作った味噌汁。

 鰹ダシをとった後、火を止めてから具材を全部放り込む。水温が10℃以上一挙に下がり、同時にワカメからダシが出る。

 食卓に並ぶころにはちょうど良い温度になる。はてさて、お味は・・・

 

おおお!旨いじゃないの!! しかしとても贅沢に感じる味だ。

 

結論~美味しいが高くて使えない・・

 使った鰹節はグラムあたり7円なので4人分だと1回126円。毎日使うにはちょっと高い。作るたびに大量に出るダシガラが勿体ない。細かく刻んで、おかかでも作るのも面倒な話。

 削りたての鰹ダシの味は確かによいが、それを作るためのコストと手間が味に見合わない、そんな結論だ。

 


 

顆粒ダシの課題

 現代主流の顆粒ダシに振り返る。

 この成分のほとんどは化学調味料で、何かの魚粉が申し訳程度に入っている。そんなダシで作った味噌汁は味気ない、というより不味い。ダシに塩分が含まれているため量で補うこともできない。どうしようもない代物になっている。

 ダシと呼ばれる商品は他にいくらでもあるが、毎日使うものだから、値段が安いことは味に並んで大切な要素である。しかし、顆粒ダシには本物の鰹ダシに比べ「安い」というメリットがある。

 

顆粒ダシに本物のダシを混ぜる

 不味い顆粒ダシに本物のダシを追加することで味を改善できないか検討してみた。

 本物のダシに選んだのが煮干し粉。ワタを取り除いた煮干しを機械で粉々にしたもので、形のある煮干しに比べて値段が安い上、放り込むだけなので後の面倒がない。

 煮干し粉は濃いダシが出る。そこで不味い顆粒ダシと煮干し粉を、4:1前後の容積比で混合してみた。これを味噌汁1人前(150cc)あたり小さじ山盛り1(1.5g)くらいの量で使う。

 

結果は大成功

 結果はかなりいい。その味は、はるかに高額な千代の一番と大差ない、というより上回っている。コスト、味、使い勝手のバランスに優れた解だ。

 顆粒ダシと煮干し粉を使って作った自作のダシ 写真のように混合物を作っておくと便利。木製スプーンは100均の茶さじを流用。

 

 

うま味の相乗効果

 「煮干粉を混ぜると味が良くなるなら、煮干粉100%はもっといいはず」

 そう思って煮干粉だけでダシをとってみたことがある。ところが、あまり美味しくない。このダシが美味しい秘密は、顆粒ダシとの「相乗効果」にあるようだ。 

 味噌汁ではさらに、ワカメを入れると完璧に近い味になる。これも相乗効果の結果とみられる。

 

 

<参考購入先>
煮干粉一覧
ほんだし
鰹節削り一覧

私が買ったのはこちらの商品
滝沢製作所 最高級 替刃式鰹節削り器 匠(替刃付)
外装は透明ウレタン塗料で塗装済み。58mmの大型タイプで写真のようにカツブシを引き出しに入れて保管できる。 カンナ部分は樫、外装は米松でできている。

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