静かなタイヤの選び方~レグノを超える究極の静音タイヤはこれだ!

フィットに装着したREGNO GR-XI 175/65R15 5年になるフィットのタイヤを交換した。選んだのはREGNO GR-XI 175/65R15。REGNOは多くの先端技術を結集して作られたこの世で最も静かなタイヤの一つ。最近は軽自動車までカバーするラインナップを展開している。

 

 

タイヤのレビューは参考になるか

 「タイヤを換えたら、燃費や乗り心地がこう変わりました」そんなレビューがたくさんある。タイヤの特性は空気圧、路面の状況、磨耗度合い、温度の影響を受ける。タイヤを交換すると、これらが同時に変わってしまう。

 交換前後のタイヤを比較をするためには、少なくとも同じくらい摩耗した状態のものを同じ空気圧で装着しなければならない。これを押さえていないレビューは参考にならない。

 

不快感に最も関係するノイズは何か

 タイヤが発生するノイズには「パターンノイズ」と「ロードノイズ」がある。ダンロップがこれに「空洞共鳴」を加えたから、合計3つになる。

 一方、「静かなタイヤが欲しい」というニーズの裏には、

 

「同乗している人の声が聞き取りにくい」「音楽やラジオの音がよく聞こえない」

 

といった不満がある。

 「パターンノイズを下げるために、こんな工夫をしてますよ」「空洞共鳴がこれだけ下がりました」と言われても、それがこの不満にどう関係するのか、よくわからない人が多いと思う。

 3つのノイズのうち、私たちの不満に一番関係するのが「ロードノイズ」。従い、タイヤ選びではロードノイズ低減のためにどんな施策をとっているか、チェックすることが重要になる。

 

触るだけでわかる!ロードノイズの低いタイヤの特徴

 ロードノイズの原因は路面の細かい凹凸で生じる振動だから、ロードノイズを減らすためにタイヤ側でできる施策は、トレッド部のゴムを柔らくすることに尽きる。トレッド部というのは、路面と接するゴムブロックの部分。

 ゴムの柔らかさは、このゴムブロックに触って比べるとわかる。指で押すのではなく、横から「つまむ」。柔らかく変形するものほど、ロードノイズの静かさが期待できるタイヤだ。

 ちなみにレグノのゴムはかなり柔らかい。レグノはこの柔らかいゴムによって静音化が難しいロードノイズをある程度抑えることに成功しているようだ。

タイヤのトレッド部を竹の棒で押しているところ

 ゴムの柔らかさは、先端が2~4mmの突起物で押すとわかりやすい。割りばしではわからない、という人は、スタッドレスの管理に使うゴム硬度計(タイプA型)を使うとよい。

 
 

レグノの本質は何か

 ゴムを柔らかくすると、当然減りが早くなり燃費も悪化する。この欠点は、ゴムに添加するシリカ(ゴムの性能をアップする材料)の量を増やすことでカバーできる。

 レグノにはいろんな能書きがあるが、この商品の本質は、シリカを贅沢に使った柔らかいゴムにありそうだ。

 シリカを入れれば入れるほど、タイヤの性能は上がる。しかし同時にコストアップになる。そのためレグノは割高だが、実売価格はそれほどでもない。興味のある人は、最後に紹介するリンクを参考にしてほしい。

 

ダンロップの吸音スポンジは有効か

 ダンロップはタイヤの空洞共鳴を抑えるための吸音スポンジを入れた商品を展開している。店頭にデモタイヤが置いてあるので、試した人も多いと思う。

 この吸音スポンジは継ぎ目や段差を超えたとき、出る音を低減できるというが、

「同乗している人の声が聞き取りにくい」「音楽やラジオの音がよく聞こえない」

という課題の解決にはつながらない。ユーザーにとってメリットがあるとは思えない対策だ。

 

ロードノイズが圧倒的に小さいスタッドレス

 レグノよりトレッド部に柔らかいゴムを使ったタイヤがある。スタッドレスだ。スポンジゴムを使ったスタッドレスのロードノイズは究極的に低いと考えられる。

 しかしロードノイズを減らす目的でスタッドレスを履いている人は、おそらくいない。ほとんどの人が雪のシーズンが終わったところで、さっさと夏タイヤに履き替えてしまう。

 それと、スタッドレスは騒音低減を目的に作られていない。ロードノイズが小さくても、他のノイズまで静かとは限らない。常用するには柔らかすぎるのも問題だ。

 究極の静音タイヤになりうるのはスタッドレスだが、常用できる静音タイヤは、今のところレグノがべスト。これが私の出した結論だ。

 

タイヤ交換だけの静音化には限界がある

 室内の静かさはタイヤだけでは決まらない。タイヤの防振と車体の制振の合わせ技で決まる。レグノを履いても静かにならない場合は、車体(鋼板)の制振が十分でない可能性が高い。車体に制振材を貼ると静かになるがコストがかかる。

 コストが安く作られたコンパクトカーの場合、静かさを求めても限界があることを知っておきたい。

 

タイヤはいつ交換すべきか

 クルマを10年乗ると仮定すれば、中間の5年目が一つの節目。「まだ溝が残っているから」「勿体ない」そう思うかもしれないが、交換したほうがよい。

 タイヤが10年もつことはまずない。性能が落ちたタイヤをそのまま履き続けて8年後に交換し、10年後にクルマごと持っていかれるのだったら、5年目に新品にしておくのが賢明だ。

 タイヤの溝が3年未満で無くなってしまう人は、騒音より溝持ちを優先してゴムの硬いタイヤを選ぶと経済的だ。3~4年もたせて10年後のクルマ買い替えまでにタイヤ交換2回に抑えたい。

 

5年でヒビ割れが目立つようになった新車装着タイヤ 写真はレグノに交換する前のタイヤ。新車装着タイヤでもうすぐ5年になる。ヒビ割れが目立つが、タイヤは多層構造になっているのでこのような表面的なヒビ割れは問題ない。

 「バーストする」とか不安を煽るセールスに注意したい。

 

 

<参考購入先>
ゴム硬度計(タイプA型)定量的な比較に使えます
ブリヂストン レグノ 静かなタイヤの決定版。工賃込みでもネットで買った方が安いです。詳細は以下の関連記事ご参照。
スタッドレスタイヤ
オールシーズンタイヤ サマータイヤのブロックを大きくしたもので、ゴムが柔らかいわけではないようです

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<参考文献>
ブリヂストン レグノ