フライパンを使って人数分の親子丼を一度に作る

完成した親子丼 親子丼は親子鍋で作るもの。しかし家庭で作る場合はいちいち一人前ずつ作っていられない。ところが、普通の鍋やフライパンを使って人数分を一度に作るとうまくいかない。大抵は「卵がボロボロ」「ごはんがベタベタ」になる。

 普通の鍋やフライパンを使ってうまく作るにはどうしたらよいのか。今回この課題に取り組んで、うまく作るための方法がわかったのでご紹介する。

 

 

 親子丼のレシピを見ると、大抵は次のようなことが書かれている。

親子丼(1人前)

卵2、だし汁140ml、しょうゆ大さじ1、みりん大さじ1、他、砂糖、鶏肉、玉ねぎなど。

作り方

 まず具材を煮て、肉に火が通ったら溶き卵を入れて、煮て完成。

 

 このレシピで第一に注目すべきは、水分となる割下(だし汁、しょうゆ、みりん)の合計。この例だと170mlある。ご飯が汁でベタベタの仕上がりにならないための適切な水分の量は、卵の数が基準になるのは明らか。

 上記レシピでは卵1個あたり85mlの水分を使うが、ネット上のレシピでは50ml~255mlの幅がある。

 ごはんがベタベタになるのは、多すぎる水分が原因に違いない。そこでまず、卵(Lサイズ)1個あたり85mlの水分を使って実験してみた。

(手っ取り早く最終結論を見たい人はこちら

 

実験

 卵とだし汁の最適な割合、卵の使い方を調べてみた。

 

実験1.卵を鍋の中で混ぜてみる

片手鍋に割下と卵を入れたところ

 18cmの片手鍋に、割下(合計85ml)を入れて沸騰させ、卵1個を入れてそっと混ぜていく。実験なので具材は省略。

 

割下を混ぜながら卵を固めている様子 卵が固まってきたが、なんだか怪しい雰囲気に・・

 

ザルを使って割下と固まった卵を分離した結果 完成。ボロボロの卵の塊と、大量の残り汁。残った水分は約70mlだった。

 実際は具材に火を通すため数分沸騰させるとしても、この水分は明らかに多い。ご飯が汁でベタベタになって、タマゴ雑炊のようになってしまうだろう。

 

 

実験2.水分を半分(卵1個に対し40ml)でやってみる

前回の半分の割下を使って混ぜながら卵を固めている様子

  実験1で水分が多すぎることがわかったので、約半分(合計40ml)にして再トライ。

 今度は卵が塊にならないよう、半熟を目標にしてみる。

 

ザルを使って割下と固まった卵を分離した結果 結果。卵は確かに半熟だが、褐色ドロドロの物体。

 残った水分は約20ml。この実験で、水分は卵1個に対し40mlが最大量の目安になることがわかった。

 

 

実験3.あらかじめ卵を軽く混ぜてから入れてみる

割下を出来るだけ混ぜないで卵を固めている様子

 見た目の品質改善を試みる。今回は卵をあらかじめ軽く混ぜておき、鍋に入れた後はいじらないようにした。

 ただこの場合、どうしても卵の火の通りにムラができる。そこで鍋をゆすったり、傾けてみた。

 

割下を出来るだけ混ぜないで卵を固めた結果 結果。見た目はだいぶマシになったが、卵の火の通りにムラがある。底の方は完全に固まっているが、上の中央は生のまま。

 鍋をゆすったり傾けるだけでは、火の通りのムラは改善しなかった。

 

 

実験4.かるく混ぜた卵を入れたのち、蓋をして弱火で火を通す

鍋に蓋をして卵を固めている様子

 卵の火の通りのムラについて改善を試みる。実験3同様、軽く混ぜた卵をそっと回し入れ、蓋をして弱火にセットし、そのままいじらないで固まるのを待つ。

 

鍋に蓋をして卵を固めた結果 完成。ツヤのある半熟の仕上がりで、お店で出てくる親子丼に近い。

 白身の塊が気になる。ここは卵白をしっかり切って混ぜれば問題なくなるだろう。

 

 

実験のまとめ

 実験の結果、次のことがわかった。

(1)水分は卵1個に対し40mlが目安
(2)卵をいれたらいじらない(固まってきたらいじって良い)
(3)溶き卵は、白身の塊(濃厚卵白)を切るようにしっかり混ぜる(物性の違う黄身と白身を均一化する)

濃厚卵白を切るようにして混ぜた溶き卵の様子 濃厚卵白は箸などの細いもので卵白を切るように混ぜるのがコツ。仕上がりの半分はこの混ぜ加減で決まる。

 黄身を潰すと水溶性卵白に溶ける。この状態でいじると、だし汁と混ざって褐色になってしまう。これは実験の通り。

 

 

 

親子鍋ではなぜうまくいくのか

 専用の親子鍋では水深で割下(水分)の量が決まるため、水気の多い少ないが問題になりにくい。卵は熱の通りが遅いが、使う量が少ないため均一に固まりやすい。

 広い鍋で人数分一度に作ろうとすると、一度にたくさんの卵を使うため固まるのに時間がかかり、固まりムラができやすく、長時間煮てしまうことで鶏肉に火が通り過ぎてしまう。

 これが親子鍋ではうまくいって、広い鍋ではうまくいかない理由だ。この問題は、次のようにすれば克服できる。

 


 

結論~これで完璧な親子丼が作れる!

 創造の館流、親子丼レシピは次の通り。

材料(3~4人前)

26cm鍋 だし汁70ml+醤油70ml+みりん70ml 卵5個(3人前)
28cm鍋 だし汁80ml+醤油80ml+みりん80ml 卵6個(4人前)
砂糖 大さじ2
具材(たまねぎ、鶏肉など)

 調味料の量は鍋に入れたときの水深で決める。上記は目安であり、基本的に水深5mm~7mmになるよう、全体の量を調整する。卵はMサイズとする。

 鶏肉は事前に2cm前後のサイズに切っておく。
 だしは無添加の顆粒ダシがよい。究極のダシ粉[1]を使った場合は粉っぽくなるので、一度お湯で溶いて上澄みを使うとよい。こんぶ茶か、とろろ昆布を入れると味に深みが増す。

 

作り方

1.だし汁、みりん、醤油、玉ねぎ、鶏肉を入れて中火で加熱を開始する。

割下に肉を入れて煮ているところ 水深5mm~7mmで調理する。

 
 

2.卵をボウルに入れ、濃厚卵白の塊を箸で切るようによく混ぜる(上記参照)。
3.割下が沸騰したら鶏肉をひっくり返し、溶き卵をそっと回し入れる(1/4程度残す。全部使ってしまわないこと)。

 

割下に溶き卵を入れた様子 割下の表面に薄く広げるイメージで全体が卵で埋まるよう、そっと回し入れる。

 固りはじめるまで、ゆすったり動かしてはならない

 
 

5.弱火で蓋をして表面の卵が半熟になるのを待つ。
6.残りの溶き卵を空いている所(沸騰して泡立っていた場所など)に流し込む。
7.再び蓋をして火を切って3~5分、余熱で火を通す。
8.1人前ずつ平らなもので掬ってご飯の上に乗せる。

 

ヘラで掬いあげている様子 出来た親子丼を掬う道具は、大きいヘラを2枚使うと容易。

 ご飯に乗せた後、三つ葉やカイワレなどの緑を加添えると香りと彩りが良くなる。

 

 

作り方のコツ

 調味料の量は鍋に入れたときの水深で決まる。ポイントは割下の水深、タマゴの入れ方、いれたら動かさないことがある。
 28cmのフライパンでは4人前が限度であり、それ以上を一度に作ることは難しい。

 広い鍋やフライパンを使って水深を浅くすると加熱ムラが問題になることがある。これは部分沸騰することでわかる。この場合火を絞って蓋をすることである程度改善できる。

 
 

完成した親子丼 お好み焼き用のヘラですくって盛りつけたところ。家庭でここまでの品質のものができれば十分だろう。

 

 

<参考購入先>
A&D中心温度計 肉料理に欠かせない温度計です
親子鍋 1個で1人前しか作れませんが、少人数ならこれがベスト

<関連記事>
1.ロクなダシが無いではないか~顆粒だしと煮干し粉で究極のダシを作る
2.IHで早く沸騰する鍋の選び方~効率の良い鍋はこれだ!

<改訂履歴>
2019/1/30 オムライスの研究で得た新しい知見に基づき、レシピを全面的に見直しました。