ドアミラーが動かない不具合についてネットを調べると「モーターとギアを交換しました」「ハイ直りました」で終わっているものがほとんど。問題は「交換の手順」であり、その様子を写真や動画にしたものが多い。だが、問題はそこだけではない。たまたま我が家のフィットでこの問題が起こったので、今回はこれをとりあげてネット上にない情報を紹介する。
ドアミラーが動かない要因
この問題には、次の要因がある。
1.モーターのへたり
2.ギア割れ
3.可動部の摩擦
4.内部基板の故障
5.ギアボックスの変形
ネットに見る対策は1,2だけ。直らない場合はそれ以降が原因。5は寿命。
モーターのへたりはブラシと電極の間のカーボンが原因。これは構造的な宿命で、動かなくなるのは時間の問題。改善手段はモーターを分解して電極を掃除するか、モーター自体を交換する。
ギア割れはネット上にたくさん事例がある。対策品(金属製ギア)が市販されているのでこれと交換するが、寸法がおかしくてシャフトに入らない粗悪品(後でご紹介)があるので注意したい。
可動部の摩擦は埃や砂の噛み込みが原因。ドアミラーは過電流を検知して止める仕組みのようであり、動きが悪いと誤検知して動かない。分解してギアを全部外したら、回転部がスムースに動くように清掃とグリスアップをする。
内部基板にコンデンサーやリレーがある。これらが劣化していたり、はんだ割れがあると動作が安定しない。コンデンサが容量抜けしている場合は交換する必要がある。
ミラーが開くとき内部のシャフトに強いスラスト力がかかる。何千回もこれを繰り返すうち、ギアボックスが変形し、中に隙間が出来てシャフトの位置がズレる。「時々動かない」のはこれが原因。動かないミラーを手で無理に動かすと、シャフトがボックスを突き破って飛び出す。これをバッコンと呼ぶ。
分解の手順
ネットにいろんな記事があるのでポイントだけ紹介する。
最初の難関がここ。ドアミラーを止めている部分の樹脂カバーが固くて外れない。横から無理に起こすとツメを折る。真下から細いドライバーを差し込んでコジアケる。ケーブルはウインドウレールの裏側を通っているから、復元するときに注意。間違えて表を通すとガラスが当たってケーブルを痛める。
ミラー(鏡)を外す際もツメの折れに注意。外すときは、下を持ち上げて2つのツメを外したら、起こしながら引っ張って上のツメ2か所を外す。取り付けは逆の手順だが、上のツメがしっかり嵌っていない状態で倒すと上のツメを傷める。
ケーブルを巻いているテープをほどいて防水シールをずらしておく。これをやらないとモーターの蓋を外せない。
写真はギアボックスの変形。軸受があたるところが盛り上がってひび割れしている。このせいで中のシャフトがズレて時々動かない。問題は内部の隙間だから、モーターやギアを交換して直らない。これは隙間に金属板を差し込んで接着剤を染み込ませれば補修できる。
こちらはミラーを手で無理に動かしたせいで同じ場所がバッコンしたもの。ひび割れていると、手の力で容易に破損する。こうなると丸ごと交換するしかないが、今回はこれを何とか直す。
分解してギアを見たところ。割れやすい樹脂のギアは幸いなことに割れていない。
メンテナンスの手順
ギアを全部抜いたら可動部を清掃して注油する。
バッコンしたところを直す。ミニルーターと切削ビットを使い、回りを削って平らな面を作る。深さは、2枚目の写真のように軸受のツラと合わせる。
オフセットクリップを当てて両持ちで固定する。大きなスラスト力がかかるので、樹脂の盛り付けでは強度的に持たない。写真の小さなクリップは、ソニー製LDプレーヤーのピックアップ移動用シャフトの固定に使われていたもの(ジャンクから抜き取って流用、幅5mm)。
この構造では下のねじ(写真では左側)に大きな力がかかり、肉が薄いのでタップだけではもたない。裏から補強して締める。今回はオフセットクリップを使ったが、どちょうどよい金具が無い場合は平板+当て板などを組み合わせて工夫するとよい。
組み立てる前に、内部基板のコンデンサ(膨れ、液漏れ)とハンダ割れを点検する。今回は異常なし。
分解したついでに擦れたカバーの角の塗装を補修。削って下地を整え、自動車用タッチアップ塗料を調色して同じ色を作り、エアーブラシで塗装する。フィットのこの色は、シルバー、黒、ブルーの混合。
下地を手抜きしたので少し凹んだ仕上がり。今度塗装するときは、もう少しマジメに整えるこことにする。
作業してみて
初めての分解ではツメがとにかく固い。固いツメと格闘して疲れるうえ、樹脂が劣化していて折れやすい。
ハウジングの割れやバッコンの修理は難しく、通常はまるごと交換になる。純正部品はネットで購入できる[1]が、片側6万円、両側で12万円、車体色で塗装されると納期もかかる。
ギアの適合~粗悪品に注意!
写真はAUTOMAX izumi(大阪府和泉市)から購入したステンレスギア。穴の加工が粗悪でシャフトが通らない。
商品説明に適合すると書いておきながら適合しない場合の返品を認めない。販売事業者の多くは自分ファーストなので不良品を掴むと顧客が損をすることが多い。やはり物品の購入は顧客ファーストで対応するアマゾンが無難。
こちらはシャフト側の寸法を実測した結果。3.91×3.07。穴はこれより0.02以上大きくないと厳しい。材質はいろいろあるが、相手が樹脂なので、樹脂かアルミが無難。
<参考購入先>
ドアミラーモーター
金属製ギア
内張り剥がし
ミニルーター
切削ビット
オフセットクリップ
1.パーツマーケット ホンダ純正部品取り寄せができる。まずは、部品図を取り寄せよう。
<参考文献>
Like D.I.Y(Youtube) 交換の様子を一番わかりやすく解説する動画です


















