PH計/PHメーターの選び方2

これまで新電元のKS723を使ってきたが、あまり使わないうちに内部のKCLが干からびて使えなくなった。一度電極を交換したが、いくらも使わないうちまたダメになってしまった。今は廃番になっていて交換電極も手に入らない。そこで新しいPHメータの導入を検討した。

 

pHメーターの課題

 pHメーターでいつも悩むのが利用頻度と維持管理の問題だ。pHメーターは「なまもの」で使う使わないに関係なく劣化する性質がある。特に長期間使わないで放置するとほとんどの場合電極が痛んだり中の液(KCL)が乾燥してダメになる。
 pHメータは構造上、電極と液絡部があり、乾燥の元になる液絡部をKCLの溶液に浸漬すれば長期保存が可能になる。電極がガラス式の場合は乾燥させると痛んだり復旧に時間がかるため湿らせて保存する必要がある。ガラス電極の保存液は水のほか、KCLやフタル酸塩(校正液)が使われる。いずれにしても、これらを覆うキャップが密封できる構造になってないと長期保管できない。大事なチェックポイントだが写真やカタログを眺めても不明なものが多い。

 1万円に満たない安価なpHメーターは多くが使い捨てになっている。ゲル電解質複合電極(小型ペンタイプのほとんどがこれ)の寿命は6ヶ月といわれ[1]、最初から長期保存を想定した作りになっていない。電極を交換できないものは完全に使い捨てになる。電極が交換できても本体と同じくらいの値段だったり、電極を入手できない場合もある(中国の輸入品に多い)。
 このような使い捨てPHメーターは利用頻度が少ないと1回の測定が高くついて手が出ない。そのため私は長い事、持てないでいた。

 

候補

 ハイアマチュア向けにある程度良いものを求めると、A&D AP-20、 佐藤計量器 SK-662PH、 カスタム PH-6011Aが候補になる。カスタムが唯一、電極と液絡部が一緒に密封保存できる構造をもつ。

 アマゾンには値段が千円台の激安メーターがあり、一般消費者はこれを買って使い捨てがよいかもしれない。温度補償も無く目安にしかならないが、校正すればその時点だけ正確な測定が可能だ。 

 最も安価な電極交換式の商品はニッソーのpHメーターで、校正液とセットで買っても1万円いかない。日常良く使うpH7付近をかなり正確に測れるようだ。温度補償機能はメーカーの記載ミスで実際は無いらしい。読みは小数点以下2桁表示。数値は安定しており慎重に校正すれば2桁目も一応使える。

 

実例

DSC01283 写真はニッソーのpHメーター。交換電極や校正液も安いので、利用頻度が少ない人でも維持しやすい。
 作りはおもちゃに近い。電池ボックスの線が細くて切れそう。電池ボックスキャップのネジ部の精度も悪くねじ込みに力が要る。

 この機種はシンプルな1点校正。2点校正はめんどくさいのでPH7付近だけ気にする場合この方が使いやすい。アナログトリマー式なので電池を入れ替えるたびに校正やり直しにならない点もうれしい。

 

 先端キャップや電極ねじ込み部にOリングがなく密閉構造でないのが残念。

 電池を入れた後、Oリングが隠れるまでネジ込むのが大変。ここはRational003で改善できる。防水でない電極ネジ部と先端キャップも不乾性パテ で防水補強すればKCL3.0mol/Lを使って密封保存も可能になる。校正液と保存液の開封後ビンの密封処理も同じパテが使える。安価なPHメーターもDIYでちょっと手を加えれば長期維持可能な形にアップグレード可能。

 

 

DSC01294-1 DSC01293-1

 カスタム PH-6011A。あまり見かけない円筒形のガラス電極式。電極の内部に液体と気泡が見える。表示の更新頻度が頻繁で応答が速く感じる。海外に良く似た商品-Anaheim Scientific[2]があり、そのOEMかと思ったが自社製品という。
 温度補償の付いた2点校正式。こちらもアナログトリマー式なので電池を入れ替えるたびに校正やり直しにならない。出荷時に正確に校正されており調整不要だった。
 電極と液絡部は一緒にキャップで密閉できる構造。キャップの端面に半透明のOリングが装着されていて潰し方向で圧縮される。これなら長期保管できるだろう。ある程度精度の良い機種が欲しくても利用頻度が少なくて手を出せなかったマチュアにお勧めできる商品。

 保存液はKCL(メーカー確認済)。充填しても気泡が入るので、保管は立てておくか、COSTOMの「M」を下向きにして横に寝かせると液絡部が保存液に隠れる。

 

<参考購入先>
PH校正液
電極保存液 KCL溶液 3.3mol/Lもありますが3.0mol/Lの方が結晶化しにくくお勧めです

校正液には次の種類があります。アナログ校正ならどれを買っても問題ありません。
pH4.01 フタル酸塩
pH6.86 中性リン酸塩酸塩
pH7.01 混合リン酸塩
pH9.18 ホウ酸塩
pH10.01または10.02 炭酸塩

ネオシールB-3 完全密封に使える不乾性パテ

<関連記事>
PHメーターの選び方

<参考文献>
1.pH 測定と電極の選び方,P51
2.Anaheim Scientific(米国)