濾過装置はアクアリウムの成功の要といえる。いろいろあって初心者は迷うかもしれない。今回はそんな濾過装置の選び方、セッティング、メンテナンスのポイントをご紹介する。
選択の基本
物理濾過と生物濾過が明確に分離して使えるものを選ぶ。具体的には、物理濾過をするためのプレフィルターが何らかの形で実装できればいい。
物理濾過と生物濾過が一緒になっていると、濾材を定期的に交換または洗浄することになり、濾過能力が低下して水槽のバランスを崩しやすい。
このような構成を実現できる濾過装置に「外部式フィルター」と「上部式フィルター」がある。アクアリウムの濾過装置は、このどちらかを選べば問題ない。
外部式フィルター
外部式フィルターは構造上CO2が逃げにくく、水槽の上面がすべて照明を乗せるスペースにできることから、水草水槽に適した濾過装置だ。
いろんなメーカから商品が出ているが、破損したときの交換部品が豊富に揃っているものを選ぶ。その点、フルーバルかエーハイムが無難だ。エーハイムは高価なので、わが家ではフルーバル※を使っている。
※:現在写真の機種は販売されていません
外部フィルターのセッティング
内部はコンテナで分かれていても、そうでなくても、基本的に全て洗車スポンジを角切りした生物濾材を詰める。セッティングは関連記事1をご参考。
物理濾過は、吸水口にスポンジのプレフィルターを付けて行う。外部式フィルターでは内部で物理濾過をすると容積が無駄になるし、メンテがしにくくなる。吸水口につけるのがベスト。
排水パイプのエンドキャップは、外して使うのが基本。排水パイプを利用した高効率なCO2溶解システムもあるので参考にして欲しい。
外部フィルターのメンテナンス
排水パイプから出る水に注意し、水量が減ってきたら吸水口に取り付けたプレフィルターを取り外して洗う。詰まったまま放置すると濾材のバクテリアが酸欠で死んでしまうので、くれぐれも注意して欲しい。
外部フィルター内部の生物濾材は、半年に一回くらい点検する。中のコンテナを引き上げていったん外に出す。コンテナを引き上げることで水が逆流し、アミ目などに詰まっていたゴミが落ちる(逆洗)。フィルター本体容器の中に残った水は捨てる。
インペラー周辺や、本体容器の内側が汚れている場合は洗う。コンテナに詰めたスポンジ濾材を外に出したり、水道水をかけて洗ったりしてはならない。
コンテナを出したついでに、洗車スポンジ濾材を観察する。色でバクテリアの発生状況がわかる。好気性のバクテリアは、酸素の豊富な下段から発生してくるので、褐色のグラデーションが観察できる。
上部式フィルター
セットで売っている水槽を買ってくると大抵付いてくるもの。安い装置だが、濾過能力は非常に高い。それは、水の入口面積が広いことと、濾材が空気に近い場所に配置され、酸素の供給が十分行われるためだ。
そのため、同じ容積の濾材を使った場合、外部式フィルターより高い濾過能力が期待できる。さらに、プレフィルターの詰まりなどが原因で濾材が酸欠になるリスクが少ない。
欠点は、照明を置くスペースが少ない、水面が波立つことでCO2を逃がしやすいことが指摘されている。そのため、水草水槽に向かないとされる。
CO2については、水を濾過装置の底面に触れるまで入れることである程度カバーできる。照明については、水草の種類や配置を工夫すれば問題ない。上部式フィルターと蛍光灯2本だけでも水草水槽を作ることができる[2]。
上部式フィルターのセッティング、メンテナンス
関連記事1を参照。標準で付いてくる白いウールマットは濾過能力が安定しないので使わない。
<参考購入先>
エーハイム クラシックフィルター 外部フィルターの定番。コンテナが無い分沢山の濾材を詰め込める。スポンジ濾材は台所用の目の荒いネットに入れておくと簡単に取り出せる。
上部式フィルター覧 コストパフォーマンスに優れたフィルターです
ストレーナー用のスポンジ
<関連記事>
1.洗車スポンジ濾材を使った濾過システムの標準構成
2.水草の育て方~初心者にお勧めの品種はこれだ!アクアリウムの水草レビュー