水槽の水面に漂う油膜の正体とその対策

 アクアリウムの水槽を立ち上げると、水面に油膜のようなものや泡を見ることがある。油膜の正体は細胞内に気泡をもった微細な藍藻類、泡は細菌類であることが多い。それにしても、なぜこのようなものができるのか。

 

油膜や泡の正体

 水面に浮かぶ油膜のようなものは、細胞内に気泡をもった藍藻類の仲間。多くの藍藻類は、細胞の外側に粘質を持ち、お互いがくっついて群体を作る。

 数が少ないときは水面に薄い膜を作る。これに光が当たると虹色に光って、油膜そっくりに見える。エアレーションしていると粘質が泡立ち、洗剤を入れたような泡を生じることがある。ある程度増えて厚みが増すと、流氷のような角のある形に壊れる。

 このような藻類が増えるのは、魚の糞や、餌の食べ残し(有機物)を分解してアンモニアが生成された証拠。これが藍藻類の肥料になっている。

 油膜は水槽を立ち上げた初期段階によく見る現象。アンモニアが多くなる一時期に大量発生するが、生態系が出来てくると自然消滅する。これは水槽立ち上げのプロセスの一部であって、問題でも何でもない。むしろその様子を、よく観察し学んで欲しいと思う。

 

水槽が立ち上がった後の油膜について

 水面で増える藍藻類は、水温、光、栄養などの条件さえ整えばどこでも発生する。光と栄養塩類は濃いほど増殖しやすく、水温は25~35℃が最もよく増えるようだ。

 照明を使う水草水槽では、多かれ少なかれ、この種の藻類の膜が発生することが避けられない。

 

油膜の対策

 藍藻膜は光を吸収&反射するので、水草水槽では除く必要がある。いくつかの対策をご紹介する。

 

1.水面を波立たせる、水流を作る

 エアレーションして水面を波立てたり、ろ過装置の排水を利用して流れを作ると藍藻類の膜ができにくい。

2.水面の藻類を捕食する魚を入れる

 グラミーは水面の藻類を捕食することがある。グラミーのいる水槽では、藻類の膜をあまり見ないようだ。

3.サーフェーススキマー を導入する(2019/2/17)

 濾過装置に接続するなどして水面から給水を行う装置。水面に浮かぶ藻類を吸い取れる。装置が大きく鑑賞の邪魔になりやすいのが欠点。

 

 お勧めは1。油膜の為に新たに生体を導入したり、原因を対策せずに吸い取って済ませるのは良くない。1の対策をしてなお膜の発生が収まらない場合は、水槽システムや管理に問題がある。関連記事1を参考に照明の点灯時間や、水が富栄養化する原因についてチェックしてほしい。

 

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