レッドビーシュリンプの増やし方~どうして突然破綻するのか

2000年に流通していたレッドビーシュリンプ1 2000年に流通していたレッドビーシュリンプ2

 元々は愛知県のシュリンプ栽培センターで作出固定されたもので、2000年頃はクリスタルレッドシュリンプ(CRS)と称して1匹千円前後で売られていた。写真はすべて2000年に撮影したもので、シュリンプ栽培センター[1]から出荷されたクリスタルレッドシュリンプ。

 

レッドビーシュリンプについて

 飼育難度:中、適合水槽:45cm~、飼育個体数:5~

 「クリスタルレッドシュリンプ」はシュリンプ栽培センターの商標。一般には「レッドビーシュリンプ」という名称で流通している。

餌に群がるレッドビーシュリンプ 淡水で簡単に増えるため、誰でも小数の個体を元手に沢山の子孫を得ることが出来る。

 クリスタルレッドシュリンプが登場したのは2000年頃だが、その後多くのブリーダによって品種改良が行われ、現代ではさまざまな品種が産まれている。

 

 

繁殖方法(2006/10/26)

 本格的に繁殖を手がける場合はレッドビーシュリンプと普通の黒ビーシュリンプの2本の水槽を用意し、戻し交配を管理できる環境を整える。

 

準備

 60cm以上の水槽を用意し、標準的な方法で水草水槽を立ち上げたのち、種エビを投入する。既に魚を飼育している水槽をそのまま流用できればベスト。底床や水、濾過装置が十分にこなれている方が失敗が少ない。

 水槽内には、シュリンプハウス(穴の沢山空いた流木、リング状濾材)とウイローモスの森を設置し、稚エビの隠れ場所を作る。これは稚エビの生存率をアップさせる効果があるとされるが真偽不明。

 

種エビの選び方

 種エビの数は、5匹以上でスタートする。これより少ないと失敗しやすい。種エビは、同じショップで揃えるよりは、複数のショップから模様の違うものを入手したほうがいい。同じショップで揃えると近親相姦の問題(後述)が起きやすい。

 種エビを選ぶとき雄雌を意識する。メスは袴の垂れ下がりが長く、上から見ても太くて、タマゴを抱えやすいよう、コンテナのような形になっているのが特徴。オスは尻尾が細く、スマートに見えるのが特徴。5匹購入すれば、選ばなくても雌雄が揃う確率が高い。抱卵しているものを1匹でも入手できれば、ベスト。

 

給餌

 タブレット(プレコなど)、無農薬ほうれん草、冷凍アカムシをローテーションして与える。ほうれん草はあらかじめ柔らかく煮ておいて、水気を良く吸い取り、厚手のビニールなどに巻いて冷凍保存しておくといい。無農薬品は入手が難しく価格も高いので、自家栽培を検討してほしい。

 

管理

 夏場は水温の上昇に注意し、27℃をこえる状態が長時間続かないよう注意する。稚エビが生まれたら、水換えを少なくして水質の変動をできるだけ防ぐようにする。

 


 

近親相姦の問題と回避策

 順調に増えて喜んでいると突然破綻することがある。この原因は2つ。一つは水槽負荷の増大(過密)によるもの、もう一つは近親相姦による種の弱体化。

 グレードの高い少数の個体を元手にスタートして、選別した子孫同士を交配させていくとこの問題が起こる。

 近親相関の結果、劣性遺伝が顕在化して驚くほど優秀な色合いの子孫が生まれることもあるが、それらは大抵虚弱だったり、短命だったりする。このことを知らないと、世代交代を長期間続けることが出来ない。

 近親相姦を防ぐには、同じ模様を持つ個体を同時に同居させないことが重要になる。これを防ぐために、異なる模様の個体を導入したり、ブラックビーシュリンプ(黒ビー)を使って戻し交配する。

 


 

トラブルと対処

•水槽壁面に沿って上下を繰り返している

 水が合わない、あるいは水質が悪化している。とりあえず水換えをして、濾過システムや環境を見直す。

•落ち着かずにせわしく泳ぎ回っている

 エサが豊富にあるにも関わらず落ち着かない場合は、水中の酸素が欠乏している、水質が悪化している、オスのフェロモンが充満して興奮状態にあるかのいずれか。外部フィルターを使っているシステムではエビが増えてくると酸欠になることがある。この場合は、排水パイプを工夫してエアレーションを行う。

•メスがなかなか抱卵しない

 給餌を手抜きするなどして栄養が足りない可能性がある。抱卵させるには栄養を付けることが重要。タブレット、無農薬ほうれん草、冷凍アカムシなどをバランスよく与える。

•稚エビを確認しても、しばらくするといなくなってしまう

 濾過がうまく機能していない、あるいは、水換えのしすぎ(水質の急変)が原因。稚エビは非常にデリケートなので、稚エビが生まれたら、換水を控えて可能な限り一定の水質を維持するよう心がける。

•ほうれん草を与えたら全滅してしまった

 低農薬などの農薬が少し残留したものを与えてしまった可能性がある。人間には問題なくても、体の小さなエビにとっては致死量になる。

•ガラスの壁面(空気中)にくっついて干からびていた。水槽から飛び出してしまった

 ストレスが原因。魚と混在して飼育していると起こりやすい。

•脱皮した抜け殻を大量に確認した

 急激な水質の変動(大量換水、換水時の塩素中和不足、不測の水質悪化などが原因。無理な脱皮は、手足の欠損の原因となるほか、弱って死んでしまうこともある。

 

<参考購入先>
レッドビーシュリンプ
ブラックビーシュリンプ
無農薬ほうれん草 通販でも入手できます
冷凍アカムシ
シュリンプハウス
ウイローモス 稚エビの生存率の向上に有効です

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<参考文献>
シュリンプ栽培センター