写真はアドバンテストの周波数カウンター TR5822。80年代のモデルで、オーディオ機器からラジオの修理にちょうど良い帯域(1mHz~120MHz)をカバーする。低周波の測定精度に優れ[3]、小型で場所を取らず、インターフェースも直感的に操作できて使いやすい。表示はLEDなので、液晶(接合部の酸化)や蛍光管(減光)などの心配が無い。
ヤフオクを見るとアドバンテストのジャンクが出品されている。ジャンクの理由はボタンがダメになっていること。これは古いアドバンテストに共通する問題で、本機も例外ではない。今回は、これを修理する様子をご紹介する。
劣化したスイッチの様子
写真は問題のボタンを分解した様子。プランジャーの裏側に導電性のラバーが嵌っているが、経時劣化で弾性が失われている。これによって、押し込んだボタンが戻らない。手で引っ張ってもダメで、中央の突起がもぎ取れる。
代替スイッチ探しと交換
スイッチを交換するしかないが、同じものは絶版で入手できない。そのため、長いプランジャーのついたタクタイルスイッチに無理やり取り替える人もいる[1]。その他、時々ヤフオクなどで補修部品の出品を見る。今回は、これをタイミングよく入手できたので修理に使う。
下の写真がそれ。本体が白いものがオリジナル、黒いものは代替品 M72K(1KSR001-00081-000)。本体□8mm、プランジャー□3mm、全高14.5mm(底の突起部除く)。モノは違うが取り合い寸法に完全な互換がある。代替品はプランジャーの溝が1周ないが、溝は使わないので問題ない。
写真は交換が完了したところ。
スライドスイッチをメンテナンスする
入力端子付近にたくさんあるスライドスイッチは信号が通る重要な部分だが、接点が酸化して黒くなっている。これは裸接点のスイッチに共通する問題。このままでは初期の性能が出ない可能性があるので、全部外してメンテナンスする。
スルーホールのあるP板はハンダ吸い取り器だけでは外れない。無理に取るとスルーホールごと抜けてダメになる。ここは低融点はんだを使ってヒートガンであぶる。
オーディオ機器のメンテナンス[2]と同じように、完全分解し、薬と超音波で錆びを取り除いて接点用オイルで仕上げる。
メンテナンスが終わった本機。外装は日焼けしているが、内側に導電塗装があるなど、中身は結構しっかりした作り。今後これをチューナーの調整に役立てていく。
GPS式基準信号発生器を使って校正する
校正していないカウンターはガラクタと同じであり校正が必須。アマゾンにGPSDO(GPS式基準信号発生器)が1万円前後で売られている。これで10MHzの超高精度の信号が得られるが、今回メンテしたカウンターより高くついた。
写真は校正前のズレ。このままでも使えそうだが、せっかくなので誤差を追い込む。
DSP式FMワイヤレスマイクの送信周波数を測ってみる
アマゾンで1500円程度で買えるDSP式のFMワイヤレスマイクの送信周波数を測ってみた。両方に適当な電線を繋いで近づけるだけの誘導結合で計れる。
この商品は周波数精度が悪いとされていたが、Ver2.2.1はPLL方式[4]であり、USB接続でPCから直接信号を送ることができ、チャンネルセパレーションなどの性能も昔の標準信号発生器と同レベルが期待できる。周波数帯の日本仕様切り替えはVOL+,VOL-の同時押し電源オンオフで可能[5]。
ステレオFMチューナーの調整にはステレオ標準信号発生器が必要。定番だった菊水 KSG-4310は中古しか手に入らないうえ、出品自体が珍しい。DSP式のFMワイヤレスマイクは、アマチュアレベルの調整に役立つアイテムになりそう。
<参考購入先>
<参考文献>
1.ヘタレなADVANTESTの押ボタンスイッチを修理(元祖オタク魂)
2.オーディオ機器の修理・オーバーホール(創造の館shop)
3.ADVANTEST TR5822(格調高い!ひろくんのホームページ)
4.LCD_FM_TX_V2.2.1データシート
5.驚きの高音質 アマゾンで買ったDSP方式FMトランスミッターの使い方(Youtube)
6.菊水 KSG-4310 説明書











