結局AURIはどうだったのか~90年代の自動車用コーティング剤をテストする

 AURI FUSSO イオンコートなど、1990年代に実施したコーティング剤の比較テストをご紹介します。

 

AURI(1999/5/1)

自動車用コーティング剤 AURI  派手な宣伝ビデオでお馴染みの商品。アメリカ製(輸入元:昭和貿易)。フッ素系のコーティング剤。塩酸を垂らしたりガソリンをかけて火を付けるといった派手な宣伝ビデオでおなじみ。米国航空宇宙仕様#1650Aに適合とあるが詳細不明。フッ素樹脂は化学的に安定してなので能書きが本当なら酸アルカリほか、ほとんどの薬品に侵されない。

 

 

価格

 実売2000円前後とかなり高い。

成分

 シリコン、テフロン、石油溶剤とある。シリコンは艶出しかもしれない。
 中身は薄いクリーム色のどろどろ状。臭いはペイント薄め液と同じ。CDに塗って擦ってもキズがつかない。コンパウンドは入っていない模様。

施工

 商品は濡れたボディと湿った布で施工できる。炎天下でも問題ない。強力な皮膜を作るコーティング剤ほど拭き取りに苦労するのが普通だが、この商品の拭き取りは非常に楽。石油系溶剤が含まれているため、ボディが多少汚れていても問題ない。

皮膜

 拭き取ったあとのボディの表面に皮膜のような物が見当たらない。少しツヤがあるだけ。ツヤは成分のシリコンと思われる。

耐久性

 施工直後から特別耐性を発揮しているように思えない。表面にシリコンの皮膜しか残っていないのではなかろうか。

CDを使った塗料の除去実験

 ビデオの宣伝ではスプレー塗料を吹いてふき取るシーンがある。そこでCDの光学面半分にAURIを施工し、24時間乾燥させて水性塗料をスプレーしてみた。塗装直後の水洗いではビデオの宣伝どおり塗料が落ちる。但し施工していない面も落ちるので差は無い。

 塗料の乾燥後に吹いてみたところ、施工してある面も、していない面もまったく落ちなかった。

 

 


 

AURI/FUSSO/イオンコートを比較する(1998/4/1)

 

AURI(アメリカ製、輸入元:昭和貿易)
FUSSO = SOFT99のフッ素コート、ホワイト車用
イオンコート= クリンビューのNEWイオンコート、メタリック

施工方法

 CDの光学読みとり面に次の施工を行った。

1.AURI 1 回塗り
2.AURI 2 回塗り
3.AURI 3 回塗り
4.AURI 4 回塗り
5.表面塗装後AURI 1 回塗り
6.FUSSO 1 回塗り
7.FUSSO 2 回塗り
8.イオンコート 1 回塗り
9.イオンコート 2 回塗り

 5の条件はAURIが前回の実験で拭き取り後の皮膜が見えなかったことから加えた。
 施工から24時間後、施工面の上に塗料を塗って乾燥させ、そのはく離のしやすさから被膜の保護性能を推定する。塗装剤はアサヒペンの水性スプレー塗料を用いた。ネット上には撥水性の評価を見るが、撥水性能と保護性能は何の関係も無い。というより、レンズ効果を防ぐ意味からも撥水性は出来るだけ無い方が良いだろう。

施工

 写真は実験の様子。放射状にエリアを区切って塗り分けすることで少ないCDで実験できる。FUSSOのホワイト系は目の粗いコンパウンドが混入されているらしく、CDの表面がキズだらけになった。

CDを使った自動車用コーティング剤のテスト

 

結果

 爪などを利用して塗料をガシガシ剥がす。塗料が剥がれないものはコーティング皮膜が弱いか、汚れを防ぐ効果がない証拠となる。
 (1)~(5)は塗料が強固にこびりついて全然はがれなかった。(6),(7)は爪で強くひっかくとはがれた。(8),(9)は爪で軽くひっかくだけで簡単にはがれた。

CDを使った自動車用コーティング剤のテスト結果

結論

 イオンコートの保護効果が最も良いように感じた。AURIは塗って拭き取ると何も残らない怪しい商品。

 

 


 

シュアラスター インペリアルUV/アムウェイ フラッシュコート/QMI SX6000 ペイントシーラント(1998/5/1)

 

自動車用コーティング剤 SX6000 ペイントシーラント シュアラスターは天然カルナバを主成分とする定番ワックスでコーティング剤ではない。アムウェイはシリコン100%。
 ペイントシーラントは高濃度のフッ素系のコーティング剤で4000円近い。ユーザー登録用の葉書とシリアル番号が書いてあり、まるでソフトウェアのよう。施工対象はクルマ以外ガラス、ホイール、木製家具、アクリルなど、なんでもOKとある。このへんは化学的に不活性なフッ素樹脂ならではだが、何ヶ月持つとかいうことは書いてない。

 

 

テスト方法

(1)CDの光学読みとり面に施工を行い、24時間乾燥。
(2)施工面の上から塗料を塗って乾燥。
塗膜のはく離のしやすさから被膜の保護性能を推定する。後から塗った塗料が剥離しやすいほど良好なコーティング皮膜が出来ていると考える。塗装剤はアサヒペンの水性スプレー塗料を用いた。 

コーティング材の施工性

インペリアルの施工のしやすさ、ふき取りやすさは定評通り。
アムウェイは100%シリコンなので24時間待っても乾燥しない。表面に塗りのばしておしまい。イメージはサラダオイルに近い。施工性は抜群によい。乾燥しないので表面にホコリが付きやすい。
ペイントシーラントは延びが悪い。表面をひたすらこすって塗り込むといった感じの施工になる。 

結果(塗膜の剥離具合)

 インペリアル、アムウェイともに爪でひっかくことにより塗膜がはがれるが、インペリアルの方が遙かにはがしやすく、前回テストしたイオンコートなみ。
 ペイントシーラントは全くはがれない。AURIの時と同様、ツルツルのCD面にはコーティング剤が乗らず、ふき取りで全部除去されてしてしまうようだ。 

結論

 アムウェイは液体シリコンなので、保護能力は油の塗った面に塗料が付かないのと同じ。耐久性は低いと見られる。
 シュアラスターはさすがに定番だけあって保護性能はなかなかよい。
 ペイントシーラントとAURIは平滑な面に残留しない。塗って、それを全部ふき取って終わる。これは荒れた塗装面用なのだろうか?

 

 


 

日産 ポリマーコーティング キララ(1998/4/1)

 

日産 ポリマーコーティング キララのパンフレット 日産 PITWORKの商品。値段はR32スカイラインtypeMで35,000円、ついでに磨きをしてもらって20,000円、合計55,000円。

 PITWORKは日産自動車系列の部品・カーケア用品販売会社。

 

 

コーティング剤の中身

 成分はフッ素微粒子+バインダ樹脂。バインダ樹脂は透明アクリル樹脂か? フッ素は白い微粒子で、塗料にするためにはバインダがいる。フッ素含有量が多いほど、酸やアルカリに強い。キララではフッ素の含有量を従来にくらべ多くしたという。 

仕上がり

 私のクルマはガンメタの塗装で、カルナバロウだとぼやっとした感じになってしまうが、そうはならずピカピカ。フッ素は乳白色なので、仕上がりのツヤはバインダ樹脂のものだろう。 ただ、磨きの仕上がりが中途半端、コーティング剤の拭き残しもあり技術レベルは今ひとつだった。 

保証期間

 1年。半年に無料メンテナンスがある。メンテナンスでははがれた部分の再加工を行う。ボディコートといえど普通に乗っていて半年もたてば、あちらこちらはがれてくるのは当然。 

付属品

 メンテナンスシャンプーが付いてくる。主成分は界面活性剤だが、ガラス板に滴下して乾燥すると残留物がある。コーティングの皮膜を多少補修する作用があるそうだ。 

1ヶ月後の状態

    1. 皮膜の状態は次のような感じ。
  • 水はじきはコートしたてほどではないが良好。
  • ワックスの拭き残しのような白い部分があちらこちらに浮いてきた。
    1ヶ月たってようやく皮膜が落ち着いてきたもよう。皮膜の劣化やはがれ等はみとめられない。洗車後のボディはピカピカ、コーティングしたあとは水洗いだけでOKかというとそうでもない。汚れはやはり、界面活性剤の助けがないと落ちない。

2ヶ月後の状態

    1. 皮膜の状態は次のような感じ。
  • 水はじきは良好で市販のコート剤をかけたてのよう。
  • 洗車キズ(細かいスクラッチ)が増えてきた。
  • 水洗いだけでピカピカになる。 これまでいろんな市販コート剤を使ってきたが、2ヶ月をすぎても水はじき効果が持続するのを初めて体験した。皮膜はほとんど損傷ない。  洗車キズは仕方のないところ。 

6ヶ月後の状態

 6ヶ月を過ぎたので無料メンテナンスを実施。無料メンテでは再度バフがけと再コーティングを行う。劣化した皮膜をはぎ取って再度コーティングをすることで1年保証する仕組み。これは合理的だと思う。洗車をすれば擦り傷は免れないし、ユーザーサイドでコンパウンドを使い部分的に皮膜を取ってしまうなど、車に乗っていれば皮膜は必ず劣化していくので、どんな強い皮膜も1年間持つことはまずない。

メンテの前の状態

 撥水性能は相変わらずで皮膜がきちんと乗っていることがわかる。市販コート材のような部分はがれもない。6ヶ月間軽く水洗いするだけでピカピカになり寒い冬の洗車がたいへん楽だった。
 コート材の拭き残しが若干あり(ワックスの拭き残しと似ている)水洗い等ではとれない。 

メンテ後の状態

 表面のツヤ等はメンテ前より少しよくなった程度か。寒い季節だったので皮膜のダメージが少なかったのかもしれない。拭き残し等はなくなっていないので作業は結構適当なのかもしれない。 

1998/4月現在のボディ表面

R32スカイライン 天井ボディ表面の様子

 

<参考購入先>
コーティング剤

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