試乗日:2001/6/30
ボディ・内装
従来のスカイラインイメージが残っているのはフロントバンパーだけ。他の部分はまったく別のクルマと言っていい変わり様。フロントにはどことなくメルセデスのイメージがある。
燃料タンクを後部座席下におくことでリアのオーバーハングを切りつめつつ、トランクルームの容積確保に成功している。このあたり、間延びしたR34とは対照的だ。
トランクのノブに手を入れるとラバーで覆われたスイッチがあり、ドアロックされていなければ開く。ドアロックとトランクロックは共通化され、以前まであったトランクオープナーは無くなった。
運転席に座って第一驚いたのは、ヒップポイントの高さ。これはもう、普通の乗用車と変わらない。シートはすべて電動調整機構付。これを使って最低にしてみてもまだ高い。
エアコン、オーディオ、ナビのスイッチの操作感はプリメーラとは違って質感が高い。ウインカーやワイパーのレバーは、最近の日産車に共通して見られる「ずんぐりむっくり形」でフィール的に今ひとつ。
天井の内張には吸音材が詰まっていて、サンバイザーをあげてもR34のようにボンつかない。
メータはR34より見た目がいいが、やや平面的。もうちょっと高級感がほしいところ。ドアの閉まり感覚やウインドウガラスの上下フィールは、このクラスとしては少し落ちる。エアコンの空調はR34よりは多少静か、クラス相応のレベルに感じた。
ボーズのサウンドシステムは低音をよく利かせた歪みっぽいもの。ラグジュアリー志向のこのクルマにはミスマッチである。
走り
走り出した瞬間、高い静粛性と揺れの少なさが感じとれる。V6エンジンのフィールはストレート6と全く異なるが、これはこれで静かだ。
路面が凸凹でもクルマの傾きが少なく、突き上げもよく吸収する。
サスは決してヤワヤワではなく、路面の手応えから、そこそこ固められていることが伺える。とはいえ、R34GT-Vよりはずっと柔らかいセッティングで、ロールも大きい。ステアリングフィールはなめらか。曲がりやすいように感じるが、それは単にステアリングが軽いせい。R34より軽くなっているため曲がりやすくなったように錯覚させる。
ブレーキフィールはR34ほどではないが、必要にして十分といえるもの。
ハンドリングは一級品。この乗り味はトヨタなど他のメーカにはない、スカイライン独自の味といえる。ただ今度のスカイラインは、走りのスポーツカーではなく、ラグジュアリーセダン。このクルマにMT仕様の追加を望む声もあるようだが、キャラクターから言ってMTで乗るようなクルマではない。
総合
このスカイラインには、従来のスカイラインが持っていた「走り」の良さはほとんど継承されていない。ちょっと足を固めたラグジュアリーセダンだ。なにより高すぎるヒップポイントがそのイメージを強めている。スカイラインは、ラグジュアリーセダンとして新しい道を歩み始めたようだ。
このクラスのラグジュアリーセダンで、ここまでハンドリングがいいクルマは、おそらく本車が唯一。この乗り味を好む人もいるかもしれない。ただ、完成度がやや中途半端な感じなので、購入を検討している人はMCを待ってから買うといいかもしれない。
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